ロードもオフも街中も!全方位型レジャーバイク・新ハンターカブの包容力【ホンダ CT125ハンターカブ・走り編】

■扱いやすくパワフルなエンジン

CT125ハンターカブのエンジンは、低速域から力強いトルクを発揮し、ストレスなく滑らかに吹け上がる乗りやすさが持ち味です。

CT125
タイトなワインディングも、全域トルクフルなエンジンのおかげでストレスなく走れます。

ポテポテとつぶやくような低速域の可愛い排気音は、高回転域まで回せば「びゃーん」という刺激的なサウンドに。でも、だからといってぐいぐいトルクが盛り上がってくるわけではありません。無理に回転を上げて走るよりも、ワイドなパワーバンドを活かし、ほどよく回す走り方が似合います。

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7700rpmで8.8PSを発揮する空冷4ストローク124ccエンジン。セルスターターのほかにキックペダルでも始動できます。

2速トップエンドまで回せば法定速度の60km/hに到達しますが、そこまでギンギン回す必要はまずありません。早めのシフトアップで4速ギアをフルに使い、よりスムーズで快適な走りを楽しむのがよさそうですね。

■使いこなせば楽しみひろがる4速ミッション

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のんびりムードが嬉しいスーパーカブ・スタイルの4速ミッションですが、峠の走りにもまったく不満はありません。

ミッションは、最近のスーパーカブ・シリーズと同じく、走行中には逆シフトの4速リターン式、停止時だけ4速ロータリー式として動作するタイプです。

CT125ハンターカブのシフトペダルは、ほかのスーパーカブ・シリーズと同じシーソー型ですが、爪先側のペダルには、普通のスポーツバイクのように上下両側から操作できるタイプが採用されています。わざわざかかと側ペダルを踏み込まなくても、爪先側ペダルを下から掻き上げてシフトダウンができるのが便利ですよね。

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シフトペダルは、スーパーカブ独特のシーソー型を踏襲しながらも、爪先側ペダルの形はスポーツバイク風。爪先側ペダルだけでアップとダウン両方の操作ができる仕様です。

スーパーカブ・シリーズのシフトペダルは、どれも下までぎゅっと踏み切っているときにはクラッチが切れる仕組み。その状態でエンジンの回転をあげ、パッとシフトペダルを離せば、スポーツバイクで左レバーをポンと離してクラッチをつないだときと同じように、フロントアップなどのアクションが使えます。ロードではめったに必要なさそうですが、姿勢制御にクラッチを使う場面が多いダート・ライディングでは、これも嬉しい機能のひとつです。

●安心確実、ナチュラルな利きごこちのブレーキ

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フロントブレーキにはABSを装備。きちんと止まれる安心感がいつでもライダーをサポートしてくれます。

ブレーキは前後ともディスクブレーキが採用されています。もちろんきちんとよく利きますが、タッチはかなり硬め。握り込んだときの感触が薄いので、コントローラブルとまではいえません。繊細なブレーキタッチが必要なスポーツ・ライディングには物足りないと思うライダーもいるかもしれませんが、街中をくるくる走り回るには、むしろ気楽に使える良いブレーキだと感じました。

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フロントブレーキディスクは直径220mmのシングルディスク。2ピストンのキャリパーにABS付きという本気の構成が、CT125ハンターカブの熱い走りを感じさせます。

フロントブレーキにはABSが装備されています。フルブレーキングで作動テストしてみましたが、ガタガタと振動するようなキックバックはほとんど感じませんでした。そのかわりABSが働くより前にフロントタイヤがわずかに鳴きはじめ、ロック寸前を知らせてくれます。感覚的にはABS非装備のブレーキとほとんど変わらない、とても自然な使いごこちのブレーキでした。

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扱いやすいブレーキがCT125ハンターカブの走りをいっそう楽しいものにしてくれます。

いっぽうリアにはABSがついていません。でも、ガツンと一気にブレーキペダルを踏み込んでも瞬時にタイヤロックするようなことはなく、じわりといい感じに粘ります。フルロック後の挙動も比較的おだやかで、テールが暴れることもなく安心感がありました。

●シャキッと安定のサスペンション

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リアサスは昔ながらのツインショック。リアブレーキには、ABS非装備ながらもディスク式がおごられています。

CT125ハンターカブの足まわりは、ふわつき感の少ない落ち着いたサスペンションに支えられています。ピッチング・モーションも、ほどよく抑えられていて、加減速時にマシンの姿勢が大きく乱れるようなことはありません。

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たくましいエンジンとすぐれた足まわりが、スーパーカブのイメージをこえた鋭い走りを実現します。

とはいえ、ハード・コーナリングなどで無理な応力をかけると、腰くだけ感をみせることも。とくにブレーキング直後にフロントに荷重を残したままクイックにコーナリングに入ると、軽くフレームがよじれるような感覚がありました。

スポーツバイクライクな走りが得意なCT125ハンターカブですが、やはりフレームに大きな負担をかける過度の急操作は避けたほうがよさそう。コーナー手前では、ブレーキをリリースしたあと一呼吸おいてターンインすれば、コーナリングも見違えるようにぴたりと安定します。

CT125
どんなフィールドでも走れて、どんなフィールドにも映えるCT125ハンターカブ。近所の買い物からロング・ツーリングまで、バイクライフの夢がひろがるマシンです。

男女問わず、多くのライダーに喜ばれそうな「メカ可愛い」デザインを身にまとい、山あそびにぴったりのワイルド感をにじませつつも街あそびに似合うおしゃれ感を兼ね備え、ロードもオフも思い切り走れるCT125ハンターカブ。あまりの大人気に、注文したけどなかなか納車にならないという悲鳴がいまだに聞こえてくる一方で、そろそろあちこちの街を元気に走る姿を見かける機会も増えてきました。

まさに全方位型レジャーバイクとでも呼べそうなこのマシンが爆発的大ヒットを記録したことにも、じかに実車に触れ、実際に乗ってみた人なら、誰もがきっと納得できるはず。この可愛らしい125ccの狩人が運んでくる実り豊かなバイクライフの喜びは、これからまだまだ多くのライダーをとりこにしてゆくことでしょう。

【ホンダ CT125 主要諸元】

全長×全幅×全高:1960mm×805mm×1085mm
シート高:800mm
エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒
総排気量:124cc
最高出力/最大トルク:8.8ps/1.1kgm
燃料タンク容量:5.3L
タイヤ(前・後):80/90-17 44p
メーカー希望小売価格:44万円(税込)

(文:村上 菜つみ/写真:高橋 克也)

【関連リンク】

CT125 Official Site
https://www.honda.co.jp/CT125/

村上菜つみさんがホンダ・CT125で出かけたツーリング記事は、月刊誌「モトチャンプ」2020年12月号(1月6日発売)に掲載されています。

モトチャンプ2020年12月号

この記事の著者

村上菜つみ 近影

村上菜つみ

福岡出身・東京在住のモデル&モータージャーナリスト。ツーリング雑誌での編集経験を経て独立し、二輪・四輪問わず幅広い分野で執筆中。「月刊モトチャンプ」連載中の「ぶらり二輪散歩」で使用したバイクのインプレッションを毎月6日(モトチャンプ発売日)に公開する他、乗り物関連の展示を紹介する「村上菜つみのミュージアム探訪」をシリーズ連載しています。
愛車はホンダ・モビリオスパイク&ホンダ・VTRです。
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