■コロナ禍でのニーズに加えて、商談などの交渉が不要に
浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディンググループ)は、子会社として吉利汽車(ジーリー)、ボルボを抱えています。吉利汽車(ジーリー)は、すでにオンライン販売も手がけているほか、浙江吉利控股集団とボルボが共同出資した「Lynk & Co(リンク・アンド・コー)」もコロナ禍以前からオンライン販売、サブスクリプションも手がけています。
電動化を加速させ、2030年までにすべてのボルボ車をEVにすると表明したボルボは、段階的にオンラインに移行し、顧客と強力な関係を築くことで、伝統的な販売モデルを変革していくと発表しています。
ヨーロッパを中心に、このコロナ禍でオンライン販売は、新車販売の分野でも拡大しています。
2020年の英国においては、オンライン販売のテスラが販売台数を急増させたのも話題になりました。また、ボルボは、2030年までに世界的に完全な電気自動車(EV)メーカーになることを目指していて、今後数年のうちに全く新しいEVのラインナップを発売する予定。
さらに、新しい商業戦略の一環として、ボルボはオンライン販売チャネルに多額の投資を行い、製品提供の複雑さを根本的に減らし、透明性の高い価格設定モデルで販売していくとしています。
オンライン販売と組み合わせることで、ボルボは「Care by Volvo(ケア・バイ・ボルボ)」の名の下に、利便性の高い顧客サービスを提供することに注力。ボルボは、オンライン販売プラットフォームに多額の投資を行い、さらにディーラーと共に、より強固な顧客関係を構築すると表明しています。ディーラーは、顧客体験の重要な部分を担い続け、クルマの準備や納車、整備など、様々な重要なサービスを引き続き担当することになります。
また、同社はオンラインとオフラインを完全かつシームレスに統合する必要があると指摘しています。オンライン、ショールーム、最新のショールームであるボルボ・スタジオ、クルマの運転中など、ボルボのユーザーがどの場所にいても最高の顧客体験が提供されることになります。
最近までボルボのサブスクリプションサービスの名称として知られていた「Care by Volvo(日本導入は未定)」は、総合的な利便性を高めることを目的とした幅広い顧客サービスに拡大。オンラインでボルボのEVを購入する際には、サービス、保証、ロードサイドアシスタンス、保険(利用可能な場合)、家庭用充電オプションなどの項目を含む便利な「ケアパッケージ」が付帯されます。
同ブランドのフラッグシップ・オンラインストアであるvolvocars.comでは、EVを購入するためのプロセスを大幅に簡素化し、契約に関わるステップ数を削減するそう。
ボルボEVを購入する人は、簡単で便利な注文をはじめ、迅速な納車が可能な魅力的な仕様をボルボEVの中から選ぶことができるようになります。利便性の向上と簡素化は、透明性の高い価格設定モデルによってもたらされ、商談などの交渉の必要性がなくなり、透明性が高まり、信頼を築くことができるなどの利点もあります。
(塚田 勝弘)