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■2020年末、ドゥカティがADAS(ACC、BSDなど)を採用した新モデルの発売を発表
●ドゥカティに続いてBMWやカワサキ、KTMも採用予定
クルマではすでに当たり前のように装備されているADAS(先進安全運転支援システム)ですが、2020年末にドゥカティが初めて、アクティブクルーズコントロールや死角検知などのADASを採用した「新型ルムティストラーダV4」を発売することを発表し、実用化が現実になりました。
今後の動向が注目されるバイクのADASについて、解説していきます。
●ADASとは
すでにクルマで採用されているADAS(先進安全運転支援システム:Advanced Driver Assistance System)は、走行中の周辺状況を各種センサーで把握し、ドライバーに状況を通知したり危険を警告、あるいはステアリング機能やブレーキ機能に関与してドライバーの安全運転を支援するシステムの総称です。
現在、ほとんどのクルマには何かしらのシステムが採用され、代表的なものとして次のようなシステムがあります。
・AEBS(緊急自動ブレーキ)
車両や人、障害物を検知して、衝突回避あるいは被害軽減のために自動的にブレーキを制御
・ACC(アダプティブルクルーズコントロール)
ブレーキに加えてアクセルも操作して、前方車両を検知しながら一定車間距離を維持しつつ定速走行
・LDW(車線逸脱警報)
カメラによって車線を検知、車線を逸脱しそうなると警報を発信
・LKAS(車線逸脱防止支援)
車線をはみ出しそうになると、車線の中央付近を走行するようにステアリング操作を支援し、安全かつドライバーの運転負荷を軽減
●バイクへ搭載されているADASシステム
現在、バイクでもブレーキを制御するABS(アンチロックブレーキシステム)や駆動力を制御するトラクションコントロールの採用は進んでいますが、ADASは採用例がありませんでした。しかし、ここにきて2020年末にドゥカティ「新型ルムティストラーダV4」で初めて採用されることが発表されました。
ドゥカティが採用するシステムはボッシュ製で、以下のようなADAS技術をパッケージングした「アドバンスト・ライダー・アシスタントシステム」です。
・ACC(アダプティブルクルーズコントロール)
上記のクルマ用と機能は同じです。前走車との距離を保ちながら長期間バイクで走行するのはクルマ以上に集中力を要し、疲労を招くので、追突事故を効果的に抑えることができます。
・衝突予知警報
他の車両が危険なほど接近してきた場合、聴覚や視覚に訴える方法でライダーに警告します。
・BSD(死角検知)
車両の周囲をモニターしてライダーから見えづらい位置に走行している車両がいることをミラーに表示するなど、ライダーが安全に車線変更できるように支援します。
●今後の展開
ボッシュの「アドバンスト・ライダー・アシスタントシステム」はドゥカティの後に、BMWやカワサキ、KTMも2021年中に量産モデルへの採用を発表しています。
バイクへの採用は、レーダーやカメラの搭載のためのスペースが限られる、突然ブレーキをかけると転倒のリスクがあるといったクルマとは異なる実用化の壁があります。また小型バイクには、コスト高が大きな課題です。
クルマに比べると死亡事故割合が10倍以上のバイクこそADASが必要だと考えられ、クルマに遅れること約10年、やっとバイクにADASが採用されることになりました。搭載やコストの問題で最初は大型の高級バイクで実用化されると予想されますが、一般のバイクに普及するかどうかは、まだ不透明です。
(Mr.ソラン)