日産ノートが発売1ヵ月で20,044台を受注。話題の機能「プロパイロット」装着率が41%にとどまるワケは?

■先進運転支援システム「プロパイロット(ナビリンク機能付)」を選んだユーザーは2人に1人。これは多いか、少ないか?

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人気のボディカラートップ3は、ピュアホワイトパール(27%)、オーロラフレアブルーパール(13%)、ダークメタルグレー(11%)となる。写真のイメージカラーであるビビッドブルー/スーパーブラック 2トーンを選んだのは10%ほど

コロナ禍の影響を大きく受け、非常に厳しい状況の日産自動車が、その復活の狼煙としてフルモデルチェンジしたコンパクトカー「ノート」が好調です。

従来型ではガソリンエンジン車と「e-POWER(ハイブリッド)」の両方を用意していたのに対して、新型ではe-POWERだけに絞ったことで価格帯が上がってしまい、コンパクトカーとしては苦戦するのでは?という声もありましたが、なんのなんの。月販目標の2.5倍となる2万44台もの受注を発売から約1ヵ月で集めたと発表がありました。

しかも人気グレードは圧倒的に最上級の「X」グレードで、その比率は84.2%。中間グレードの「S」が15.6%、廉価グレードの「F」は0.2%ということですから、多くのユーザーはもっとも高いノートを選んでいるということになります。

もちろん、そこにはノートのイメージカラーであるブルーとブラックの2トーンは「X」グレードにしか設定されていないことや、高速道路で活用できる高機能な運転支援システムである「プロパイロット(ナビリンク機能付)」も最上級グレードでしか選ぶことができない仕様であることも影響しているのでしょう。

さて、その「プロパイロット(ナビリンク機能付)」とは、どのような機能なのでしょうか。

通常のプロパイロットは、高速道路での同一車線走行時に、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作をサポートするシステムです。上限速度はドライバーが設定する必要があるため、制限速度が変わったり、急なカーブなどでは、ドライバーが設定速度を変更したり、作動を解除したりする必要があります。

しかし、「プロパイロット(ナビリンク機能付)」では、制限速度が変わった時の設定速度の切り替えやカーブの大きさに応じて減速を車両が支援することが可能になっています。まだまだ自動運転レベル2なのは変わりませんが、ドライバーの負担軽減につながる進化版プロパイロットといえるものです。

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ノートでプロパイロット(ナビリンク機能付)が選べるのは最上級Xグレードのみ。その場合もナビシステムなどとセットオプションとなり、42万200円の追加予算が必要だ

これほど便利な機能なのですが、日産自動車の発表によると新型ノートの初期受注において装着率は41%にとどまっているといいます。そのひとつの理由は「プロパイロット(ナビリンク機能付)」はメーカーオプション設定の機能で、前述したようにオプション装着できるのは最上級「X」グレードのみとなっているからです。

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進化版プロパイロットの機能はNissan Connectナビゲーションがなければ成り立たないが、プロパイロットを望まなければNissan Connectナビゲーション(とこれに付随するデバイスもセット)のみを選ぶことはできる。

しかも、「プロパイロット」を単独で装着することはできません。専用のNissan Connectナビゲーションシステムは必須ですし、そのほか電子ルームミラーやアラウンドビューモニター(移動物検知機能付)、SOSコール、 BSI(後側方衝突防止支援システム)、BSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)などとのセットオプションでしか選べない設定となっています。

そのメーカー希望小売価格は42万200円。「X」グレードのメーカー希望小売価格が218万6800円ですから、車両価格に対して、かなりコスト感のあるオプションになっているのです。そうしたこともあり、せっかく「X」グレードを選んだユーザーの2人に1人がプロパイロットの装着を躊躇してしまうという結果になっています。

ちなみに、ナビゲーションシステムの装着率も58%となっています。コンパクトカーのノートですから、高速道路を走って遠出はしないというユーザーが意外に多いのかもしれません。

(山本 晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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