ホイールとは?タイヤとともに足元を支える重要パーツ【バイク用語辞典:ホイール・タイヤ編】

■強度とともに軽量化、そしてファッション性が求められる

●スチールホイールとアルミホイール、スポークホイールの3種に大別

ホイールはバイクの代表的なファッションアイテムのひとつですが、タイヤとともに車体を支えながら駆動や制動、路面からの衝撃などに耐えられる強度が必要です。さらに、バネ下重量に大きな影響を与えるので軽量化も求められます。

タイヤとともにバイクの足元を支えるホイールについて、解説していきます。

●ホイールの役割と構造

ホイールには、車体を支えながら駆動や制動、路上からの衝撃などに耐えられる強度とともに、一方で軽量化も求められます。また機能面だけでなく、そのデザインはバイクの重要なファッションアイテムのひとつです。

代表的なホイール
代表的なホイール

バイクのホイールには、大別して3種類のタイプがあります。主に小型スクーターで使われる鉄製の「スチールホイール」、オフロードモデルで採用される「スポークホイール」、ほとんどのロードモデルで採用される「キャスト(鋳造)ホイール」です。それぞれ、モデルの種類や用途などによって使い分けられます。

●スポークホイール

車輪のセンターハブとリムを多数の金属製スポークでつなぎ合わせるのが、スポークホイールです。

スポークホイール例
スポークホイール例

軽量で衝撃吸収性が良く比較的安価なため、主としてビジネスバイクやオフロードモデル、特にモトクロッサーやトライアラーで採用されています。また、クラシックな雰囲気があるので、クラシックなロードモデルでも使用されます。

ハブ部はアルミ合金の鋳物、外周部にスポークを取り付ける穴が開けられています。リム部は、鋼板を成形したものやアルミ合金の押し出し材を使用したものがあります。リム部にスポークを取り付けるための穴が開いているので、通常はチューブレスタイヤが使用できない、ハブとリムの結合がスポークのため剛性が低いといった弱点があります。

またスポークホイールは組み立て式のため、ホイール中心のずれやリムの振れに対する精度が低く、走行時の振動や衝撃によってスポークが緩むため、定期的な増し締めが必要です。

●キャストホイール

キャストホイール例
キャストホイール例

ハブ部、スポーク部、リム部が、一般的にはアルミ合金で一体鋳造され、チューブレスタイヤを装着できるため、ほとんどのロードバイクで採用されています。鋳造後に機械加工をするので、ホイールの中心のずれやリムの振れに対する精度が高く、ホイール全体の剛性が向上します。

一方、キャストホイールはスポーク部での衝撃吸収性が少なく、またチューブレスタイヤを使う場合、リム部にピンホールなどがあると空気が漏れるため製造時に高い工作精度が求められます。また材質としては一般的なアルミ合金以外にも、リム部の重量やバネ下重量の増加を抑えるため、マグネシウム合金やカーボンを採用したもの、鍛造による強度を高めた仕様もあります。

●鋳造法と鍛造法

鋳造
鋳造
鍛造
鍛造

アルミホイールの製造法には、一般的な鋳造製法と軽量化を狙った鍛造製法の2種類があります。

鋳造製法は、ホイールの金型に溶かした材料を流し込み、それを固めて成形する製法。同じ型から作るので生産性が良く、軽量化、コスト面で優れています。

鍛造製法は、型に合わせて材料を叩いて作る製法。手間がかかる分コストがかかりますが、金属組織が緻密になるため、高度や剛性が高められます。


バイクのホイールとして代表的なのは、主にオフロード車で使われるスポークホイールとほとんどのロードモデルで使われるキャストホイールですが、バネ下重量に大きな影響を与える部品なので、強度とともに軽量化が図られています。

(Mr.ソラン)

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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