■より力強く、スムーズになったディーゼルエンジン搭載車はやはり魅力的
2020年12月に商品改良を受けたマツダCX-8/CX-5。マツダは今後2年間、ハードウェアのアップデート、制御技術によって商品力の維持、向上を図るという戦略を掲げています。
CX-8/CX-5ともに最大のトピックスは、「SKYACTIV-D 2.2」の最高出力を190PS/4500rpmから200PS/4000rpmに引き上げと、アクセルペダル操作力の最適化。これはAT変速反応を含めた加速感の一致も含まれていて、より意のままの加速フィールを引き出すことを狙ったとしています。
さらに全開トルクの向上も盛り込まれていて、3500rpmから4500rpm手前くらいの領域でトルク向上が図られています。なお、最大トルクは450Nm/2000rpmと変わっていません。
CX-5の試乗会には、改良前と改良後のアクセルペダルも用意され、手で押すことで、違いを感じることもできました。アクセルペダルの最適化とは、アクセルペダルユニット内スプリング(ばね)のレートを引き上げたそうで、手で押すと改良後のほうが硬く(重く)感じられます。確かに手で押してみるとその差は明らか。
さて、試乗車は2.2Lディーゼルエンジン搭載車のCX-5で、改良後モデルは2WDと4WD、改良前の4WDも乗り比べることができました。
実際に改良後モデルに乗り込むと、「あまり変わっていない?」というのが第一印象。その後、改良前モデルも連れだし、高速道路にステージを移すなど多様なシーンで走らせると、10PSアップの恩恵がジワジワと実感できました。
その後も街中も含めて何度か乗り替えると、改良後モデルは、パーシャル域からスーッと前に出るのが実感できます。また、ATの制御見直しは、状況に応じて早くダウンシフトがされるようになったそうで、6ATは他ブランドと比べると段数では少なくても、シフトフィールはスムーズかつ、必要な際に瞬時に行われます。
とくに、ダウンシフトして加速して欲しい、という状況でのレスポンスが高まっています。こうしたATの熟成も進んでいるのは朗報。
また、アクセルペダルの反力が硬く(重く)なったことで、発進時の飛び出し感は、ほとんどと言っていいほど感じさせず、踏んだ分だけリニアに加速感を引き出せるのも好感が持てます。微細なコントロールもしやすく、パワートレーンそのものがよりスムーズになったような感じを受けます。
少し気になったのは、CX-30/MX-30という新世代のSUVと比べると足が硬い点。ボディの剛性感は十分なので不快ではないものの、とくに後席は突き上げが大きく感じられます。もう少しソフトな乗り味であれば、動的な面でライバルと比べても魅力的なトータル性能を備えているといえそうです。
今回の一部改良は、乗り比べることでより実感できたというのも正直あります。
言い換えれば、毎日乗っているオーナーであれば即座に気がつくはずで、売れ筋のディーゼルエンジン搭載車を中心とした商品改良向上により、CX-5(CX-8)の販売台数のさらなるアップにつながるか注目です。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)