フリースタイルドアを採用するマツダMX-30の走りは、良好な乗り心地も含めてかなりの優等生

■ISG(モーター)、24Vリチウムイオン電池などからなるマイルドハイブリッドを搭載

バッテリーEVよりも先にマイルドハイブリッドが投入されたマツダのMX-30。プラットフォームはCX-30と共通で、1795mmという全幅も同値、全高はMX-30が1550mm、CX-30は1540mmとなっています。

マイルドハイブリッド仕様の「e-SKYACTIV-G」は、2.0Lの直列4気筒ガソリンエンジンを搭載し、最高出力は115kW(156PS)/6000rpm、最大トルクは199Nm/4000rpm。モーターは5.1kW(6.9PS)/1800rpm、49Nm/100rpmとなっています。

マツダ MX-30
MX-30のボディサイズは全長4395×全幅1795×全高1550mm

なお、トランスミッションは6ATのみで、CX-30に設定されている出来のいいMTは選択できません。試乗したのは4WDで、車両重量は1520kg。FFの1460kgよりも60kg重くなっています。

マツダ MX-30
フリースタイルドアが目を惹くが、最小回転半径は5.3mと小回りが利くのも魅力

基本的にはエンジンが主体であり、24Vマイルドハイブリッドであることを感じさせるのは、発進時のアシスト感や、エンジンの再始動が静かであること、変速がスムーズに感じる程度。ハイブリッド感は薄いですが、イニシャルコストの抑制や燃費(WLTCモード燃費は15.1km/L)などの恩恵もあります。

高速域ではもう少しパンチ力が欲しく感じるシーンもありますが、実用上モアパワーを抱かせる状況は少なそう。

乗り心地は、CX-30の純ガソリンエンジン車、純ディーゼルエンジン車よりも若干の重さと足まわりの硬さ、渋さも感じられましたが、CX-30と同様に最近のマツダ車ではベストといえる乗り味といえます。

マツダ MX-30
T字型で水平基調のインパネ。コンソールにコルクを使っている

なお、MX-30のタイヤサイズは215/55R18。また、ハンドリングは安定感重視といえる味付けになっていて、マツダ車に抱く軽快なフットワークというイメージよりも素直で運転しやすいのも印象的。とはいえ、タイヤからのロードインフォメーションも把握しやすく、ワインディングや高速道路でもクルマと対話しながらドライブできるというマツダらしい良さが伝わってきます。

MX-30最大の特徴であるフリースタイルドアは、2人までの使用がメインであればそれほど不便を感じないはずで、何日間か1人で乗っていると慣れました。ただし、3人以上で乗る機会が多いのであれば、通常のヒンジ式ドアと比べて後席の乗降性に制約があるのは確か。

マツダ MX-30
後席は収まってしまえば大人でもきちんと座れる

なお筆者は、都内のオシャレな戸建てにすでに収まっているMX-30を見かけたことがあります。家も含めたライフスタイル、カーライフにこだわりがありそうで、どんな方がMX-30を指名したのか少し気になりました。

いずれにしても新しいクロスオーバーSUVがどう受け入れられるか注目です。

(文・写真:塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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