冬こそ注意! タイヤの空気圧チェックしていますか?

■寒い冬に低下しやすいタイヤ空気圧、1ヵ月に1度のチェックを

例年になく厳しい寒さが続く今シーズンの冬、寒さはクルマのコンディションを保つのにも厳しい環境です。気温が下がると同時に、気にかけなければいけないのがタイヤの空気圧、知らぬ間に大きく下がっていたということも珍しくありません。今回は、冬場にチェックするべきタイヤ空気圧について考えていきます。

●気温による空気圧の変化は予想以上

タイヤ
タイヤ空気圧は知らぬ間に減っているものです。定期的なチェックが、安全安心につながります。

皆さんが最近タイヤの空気圧チェックをしたのは、いつ頃か覚えていますか? 昨年の10月よりも前だという方は、早めにタイヤの空気圧をチェックしてください。

タイヤの空気圧は約1ヵ月の間に5%程度自然に減少していて、10kPaから20kPa程度、空気圧が下がっていることになります。また、自然減少の予防のために窒素ガスを入れているドライバーも多いと思いますが、窒素ガスでも空気圧の自然減少は発生します。

通常の空気に比べて、100日後の内圧低下量が半分になるものの「減りにくい」というだけで「減らない」ということにはなりません。

さらに追い打ちをかけるのが外気温の低下です。気温が10度下がると、タイヤ空気圧も10kPa下がると言われています。2ヵ月前から現在まで、外気温の変化はどの程度あったか、考えてみてください。最高気温が15度前後あった地域でも、現在では5度を切る日々が続いていませんか? タイヤの空気圧は刻一刻と減っています。

2ヵ月前から現在まで、自然現象で20kPa~30kPa、気温の下降で10kPa減少し、適正空気圧から40kPaも下がっていれば、立派な空気圧不足です。冬場は特にこまめな空気圧チェックが必要になります。

●空気圧の減少で起こる危険な現象

パンク時のタイヤ
空気圧の低下がパンクトラブルを招くこともあります。

タイヤにとって、適正空気圧で走行することは重要なことです。タイヤ空気圧が減少することで、タイヤに様々な影響が出てしまいます。タイヤの転がり抵抗が増え燃費が悪化する、タイヤの偏摩耗が発生しやすくなるといった点では、タイヤの寿命を縮めることにもなりますし、燃費が落ちるとガソリン代も増え、お財布にも優しくないですね。

さらに、クルマの運動性能の低下やハイドロプレーニング現象・スタンディングウェーブ現象が発生しやすくなる、ホイールからタイヤが外れやすくなるなど、安全性の面でも大きく性能を落とすことになります。空気圧の低下からパンクが発生しやすくなることもあるのです。

たかが空気圧と侮ることなかれ、クルマの重さはタイヤの空気圧で支えられています。1t~2t前後の重さを、わずか4輪の空気圧で支えているのです。クルマの重さは変わらないままで、タイヤの支える力が下がるということは、タイヤ自体に大きな負荷をかけていることになります。

タイヤ空気圧を適正値で維持することは、経済的にも安全性を高める意味でも重要なポイントです。

●スタッドレスタイヤの空気圧は低いほうがいい?

寒冷地や積雪地帯はもちろんですが、スキーレジャーなどに行く際にも大活躍するスタッドレスタイヤは冬のすべり止めの定番です。スタッドレスタイヤに履き替えた際の空気圧はどうしたらいいのでしょうか。

エアゲージ
クルマに一つ積んであると便利なエアゲージ、千円前後で販売されています。

スタッドレスタイヤの空気圧は少し低めがいいと言われることがありました。先に挙げた通り、空気圧が下がるとタイヤの転がり抵抗が増えます。摩擦力が増えるという意味で、すべりやすい積雪路では空気圧を低めにしたほうがグリップ力が上がる、という考え方です。

ぬかるみや雪でのスタック時に、一時的に空気圧を下げて、スタックを脱出するという方法はありますが、空気圧が低いままで走行することは、多くの危険を伴います。

空気圧ラベル
クルマごとに設定された適正空気圧が、タイヤの性能を最大限に発揮できる数値です。

スタッドレスタイヤの空気圧も、クルマごとに指定された適正空気圧に調整することが、最もスタッドレスタイヤの性能を引き出す方法です。雪の地域を走行する際には、新雪、圧雪、凍結路など様々な路面状況になります。いかなる路面状況でも、タイヤの最高の状態で走行するためには、適正空気圧への調整がベストです。

スタッドレスタイヤをインチダウンして装着している場合には、タイヤ専門店やカーディーラーに適正空気圧を聞いてみると、丁寧に答えてくれます。

冬場の空気圧調整で大事にしたいのが、タイヤができるだけ冷えている状態で空気圧調整を行うことです。気温変化と同様に、タイヤが走行して温まった状態だと、空気圧も高くなっています。温まった状態で適正値に調整すると、駐車場において一晩経過し、タイヤが冷え切ったころには大きく空気圧が下がっている状態になります。

適正空気圧=冷間時タイヤ空気圧です。たっぷりと走行したお出かけ後ではなく、お出かけ前、タイヤが温まる前に空気圧を調整しましょう。

スタッドレスタイヤへの交換が必須ではない地域では、夏タイヤを寒い冬でも使い続けることになります。四季のある日本では、夏と冬の温度差は20度以上です。想像以上にタイヤの空気圧は減っていることがありますから、最低でも1ヵ月に1度は、タイヤの状態をチェックしましょう。

(文・写真:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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