■最もスポーティな走りが楽しめるのは「RS」の6MT仕様
2代目にスイッチしたホンダN-ONEは初代と同じボディパネルを使い、エクステリアデザインは見事なほどキープコンセプトになっています。初代のユーザーから「外観デザインは変えないで」という声があったからだそう。N360にインスパイアされた初代N-ONEとこの2代目は、カタチを変えずに認知されていくことが選択されています。
一方の走りはフルモデルチェンジらしく、さらに磨かれています。スーパーハイトワゴン、ハイトワゴンが人気を集める軽自動車マーケットにおいて、1550mm以下の機械式立体駐車場にも入庫できる1545mmの全高は低め。先代もとくにターボ車の走りは力強く、しかもフットワークも軽快なものがありました。
新型でもまず印象的なのは、64PS/6000rpm・104Nm/2600rpmのターボ仕様。最高出力は例の自主規制という縛りがありますが、104Nmの最大トルクは、ワゴンR(ターボ)やハスラー(ターボ)の98Nm/3000rpm、ダイハツ・タフト(ターボ)の100Nm/3600rpmなどよりも発生回転数が低く、しかも上回っています。
2代目N-ONEは、先述したように全高がやや低めに抑えられているため、ターボは860〜910kg(FF/4WD)とハイトワゴンやスーパーハイトワゴンよりも軽く、重心高も低くなっています。これにより、低速域から力強く、ターボの過給が始まるとかなり元気な走りを容易に引き出せます。
「RS」のCVTは、Sレンジが専用制御となり、アクセルの中間開度までが高回転化され、アクセル低開度のレスポンスが高められています。これにより、CVTに盛り込まれているステップダウンシフト制御は、加速に備えるためのダウンシフトになり、鋭い加速が引き出せるのが特徴。
ターボ車で最もスポーティなのは、S660のギヤレシオが組み合わされた6速MTで、1-5速がクロスレシオ化。同時に、ダブルコーンシンクロとカーボンシンクロを採用され、1-2速、2-3速のシフトアップ力が低減されたことで、ショートストローク化されたという力作。
インパネに配されるシフトは、スポーツカーかと思えるほどの剛性感があり、カチッと各ゲートに収まるのが印象的です。
ミートポイントも分かりやすいクラッチは重すぎず、軽すぎずというフィーリング。「RS」を指名するのなら、スポーティモデルといえそうな完成度の高いMTを選択するのもかなりオススメできます。
また、軽自動車としてはフラットライドな乗り心地も光ります。後席に座るとやや上下動が気になるものの、前席は思ったよりも路面から衝撃が抑えられていて、荒れた路面をのぞけばホイールベースが短い(2520mm)軽自動車と考えると上出来。これも全高が比較的抑えられている利点ともいえそうです。
同時に意のままに操れるフットワークの良さ、高速域のスタビリティ、直進安定性も光るものがあり、ホンダらしい走りのよさを楽しめるモデルに仕上がっています。
(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)