■ハイブリッドモデルでとくに際立つ静粛性
2020年11月にフルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジを受けたのがレクサスISです。レクサスのセダンの中で、販売面でもイメージ的にも牽引役を担うのはもちろん、ドイツプレミアム御三家を中心とした、輸入車勢と対抗する必要があります。
マイナーチェンジ後モデルのISは、ドライバーの感性まで踏み込んだ開発が行われたそうで、やはり印象的なのはレクサスの強みである静粛性、乗り心地。
筆者は、ここ2か月の間に、メルセデス・ベンツCクラス、BMW 3シリーズ、アウディA4(ワゴンのアバントでしたが)、日産スカイライン400Rなどに乗る機会があり、こうしたライバルと比較してみても静粛性の高さはトップクラスといえるほど静かさを実感できます。
より静粛性が際立つのがハイブリッドで、街中中心で乗る機会が多いのであれば、積極的に選択する手もありそう。今回、新型ISには、「IS300“F SPORT Mode Black”」「IS300h“version L”」に試乗しました。とくに後者は、マイナーチェンジ前よりも低速域のコツコツ感が抑制された感がかなりあり、乗り味も一段と洗練されています。
個人的には、新型ISが登場する前までは、Dセグメントの中ではメルセデス・ベンツCクラスのフラットライドな乗り心地に惹かれていました。Cクラスは、ビッグマイナーチェンジで日本仕様が脱ランフラットタイヤになったことで、低速域での改善をみています。そのCクラスと甲乙つけがたい快適性を得たのが新型ISです。
また、レクサスらしいのがパワステの操舵フィールの軽さで、走行モードを「SPORT」にしても、もう少し手応えがあった方が安心感はありそう。それでも高速域のスタビリティやコーナーが連続する山岳路でも姿勢はピタリと安定しています。
中でも走りをより楽しむのなら“F SPORT”が適任でしょう。スタビライザーやEPSなどが専用チューニングを受けていて、前後で異なるサイズの19インチタイヤを装着することで、足まわりは引き締まっていてもコーナリング時の安心感やロードインフォメーションの確かさは少し上に感じられます。タイヤの接地感も“version L”よりも若干高く感じられます。
それでも、両仕様共に、乗り心地のブラッシュアップと共に、先述したようにコーナリング時のロールや揺り戻しも少なく、ワインディングでも安心して踏み込めるのは朗報です。
さらに、新型ISは、大胆に生まれ変わったエクステリア(それと比べるとインテリアはあまり変わっていないように見えるのが残念ですが)や先進安全装備のアップデートも盛り込まれていて、レクサスらしい静粛性、乗り心地をブラッシュアップすることで、個性が磨かれています。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)