2Lディーゼルエンジンを積むT-Roc、T-Crossよりも若干マイルドな足まわりが印象的

■T-Rocの最小回転半径はT-Crossよりも小さい5.0m

フォルクスワーゲンが2020年12月、SUVを中心としたプレス向けの試乗会を開催しました。その機会を含めてT-Cross、T-Roc、ティグアンという3モデルを改めて乗り比べると、作り分け、クラス分けがきっちりとされていることがサイズやエンジンの違いだけでなく、走りからも伝わってきます。

ここでは、Cセグメント級のT-Rocについてお届けします。

フォルクスワーゲン T-Roc
フォルクスワーゲン T-Rocのエクステリア

ボディサイズは、全長4240×全幅1825×全高1590mmで、ホイールベースは2590mm。T-Crossは、全長4115×全幅1760×全高1580mm、ホイールベースは2550mmです。

クロスオーバー風のエクステリアを与えられたT-Rocではあるものの、全高はしっかりと確保されていて、後席の頭上まわりも窮屈ではありません。T-Rocの方が125mm長く、65mmワイド、全高は10mm高くなっています。ホイールベースは40mm長くなっています。T-Rocのエンジンは、2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボで、150PS/3500-4000rpm、340Nm/1750-3000rpmというスペック。

フォルクスワーゲン T-Roc
フォルクスワーゲン T-Rocのインテリア

組み合わされるトランスミッションは、7速DSGのデュアルクラッチトランスミッションです。ゴルフ・トゥーランでもお馴染みの同エンジンは、ディーゼルらしく分厚いトルク感は得られないのの、踏んだ分だけ扱いやすい範囲内で加速を引き出せます。

アイドリング時や低速域ではディーゼルエンジンらしい音、振動が若干伝わってきますが、静粛性は高く、快適といえるドライブが楽しめます。なお、WLTCモード燃費は18.6km/Lという数値で、ディーゼルエンジンの割にはトルク感が薄いものの、燃費という実利が得られるのはうれしいポイント。ゴルフ・トゥーランと同様に、走りと燃費のバランスを両立したエンジンといえそうです。T-Rocの乗り味は、T-Crossと似たテイスト。

フォルクスワーゲン T-Roc
2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボを搭載

足まわりは硬めで、高いボディ剛性感とダンピングの利いた乗り心地を示します。T-Crossよりも高速域でのフラット感は高いのが美点で、高速道路やワインディングなどでのスタビリティもより高く感じられます。

T-Rocからティグアンに乗り替えると、後者の方がよりフラット感も重厚感もあり、乗り心地は良好に感じられます。高速道路を使ったロングドライブが多いのならT-Rocの方がより快適に移動できそう。また、T-Crossと比べるとひと回り大きくなっているにもかかわらず、最小回転半径は5.0m(T-Crossは5.1m)とT-Rocの方が小さく、トレッドに余裕の出たT-Rocの方が前輪の切れ角が大きくなっていると思われます。

フォルクスワーゲン T-Roc
フォルクスワーゲン T-Rocのフロントシート

後席の足元空間は、ボディサイズとホイールベースに余裕がある分、T-Rocの方が若干広く感じられます。なお、荷室容量は445L-1290Lで、T-Crossは455L-1281L。T-Rocは、テールゲートがかなり寝かされていて、印象的なリヤビューがあまり大差のない荷室容量(通常時はT-Crossの方が広い)に影響していそうです。

(文・写真:塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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