リチウムイオン電池とは?リチウムイオンの移動により充放電ができる高性能電池【バイク用語辞典:電装編】

■鉛バッテリーに対して、圧倒的な容量と出力を実現する先端電池

●レーシングマシンやスーパースポーツモデルで採用が進む

ほとんどのバイク用バッテリーは、クルマと同じ鉛バッテリーが使われています。一方で、レーシングマシンやスーパースポーツ(SS)モデルなど一部のバイクでは、電気自動車などが使っているリチウムイオン電池を採用しています。

バイクでも採用が始まった小型軽量で高出力のリチウムイオン電池について、解説していきます。

●バイクでも採用が進むリチウムイオン電池とは

クルマおよびバイク用の電池としては、鉛バッテリーが一般的に使われています。一方で、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)で採用されているリチウムイオン電池が、バイクでも採用され始めています。

電池のエネルギー・出力比較
電池のエネルギー・出力比較

EVやPHEVでリチウムイオン電池が使われているのは、鉛バッテリーに比べて大容量で高出力だからです。

一般的なリチウムイオン電池の特性は、航続距離に関わる単位質量あたりに取り出せるエネルギー密度(Wh/kg)は鉛バッテリーの3~8倍程度、瞬間的に引き出せる出力に関わる単位質量あたりの出力密度(W/kg)は2倍近くあります。

容量が大きいということは小型軽量化できることを意味し、レーシングマシンや市販のスーパースポーツモデルなどで採用され、また、標準仕様の鉛バッテリーをリチウムイオン電池に交換してカスタム化をするライダーも増えています。

●リチウムイオン電池のメリット

リチウムイオン電池の最大のメリットは、前述のように容量が大きく小型で軽量化できることです。

鉛バッテリーの半分以上軽いリチウムイオン電池を搭載すれば、加速性能や制動能力、ハンドリング性の向上が期待できます。レーシングマシンやスポーツタイプのバイクでは、大きな武器になります。

その他にも、次のようなメリットがあります。

・耐放電特性に優れる
バッテリーは使わなくて放置するだけでも、自然放電によってバッテリー容量が低下します。鉛バッテリーは半年放置で60%程度まで容量が低下しますが、リチウムイオン電池では1年間放置しても80%程度の容量が確保できます。

・長寿命
鉛バッテリーの交換サイクルは通常3年ですが、リチウムイオン電池は5年程度使えます。

・始動性が良い
リチウムイオン電池は内部抵抗が小さく、始動時に大電流が流せるため、セルモーターを力強く回すことができます。

●リチウムイオン電池の作動原理

リチウムイオン電池の作動原理
リチウムイオン電池の作動原理

正極にリチウム系材料、負極にカーボン系材料、電解質としてリチウムイオンを含む電解質を用います。正極と負極の間をリチウムイオンが移動することによって、充電や放電を行います。

リチウムイオン電池の充放電原理を、正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素、電解質に有機電解液を使用した場合を例に示します。

放電) 6C + LiCoO2 → LinC6 + Li(1-X)CoO2

充電) 6C + LiCoO2 ← LinC6 + Li(1-X)CoO2

放電時にはイオン化したリチウムイオンが負極から正極へ、充電時にはリチウムイオンが正極から負極へ移動して、充放電を繰り返します。

●リチウムイオン電池の課題

リチウムイオン電池は、リチウムやコバルト、ニッケルなどのレアメタルを使うので、コストが高いことが最大のネックです。コストはこの6年間で1/4まで低減しており、今後も低減することが期待できます。

充放電制御
充放電制御

また、過去にPCやスマホで発火の不具合があったように、リチウムイオン電池は制御が難しいという課題がありました。過充電や過放電を防止するために、充電放電時に電圧制御するバッテリーコントローラーの技術が進み、最近はほとんど問題になることはありません。


EVやPHEVでリチウムイオン電池が採用されるのは、その大容量によってモーター走行の航続距離を延ばすためです。一方バイクの場合は、小型軽量化によって走行性能やハンドリング特性を向上させることと、バッテリーの長寿命化を図るためです。

(Mr.ソラン)

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