ホンダは日産サニーにCVCCエンジンを積んでテストした!1973年12月13日はホンダシビックCVCC発売の日【今日は何の日?12月13日】

■「CVCC」は内容がわからないようなネーミングだった!?

1973年12月13日に発売されたホンダ・シビックCVCC
1973年12月13日に発売されたホンダ・シビックCVCC。

47年前の本日、1973年12月13日はホンダ・シビックCVCC発売の日だそうです。アメリカで施行された排ガス規制「マスキー法」をクリアすべく、世界中が血眼になって解決策を探している中、ホンダは「CVCC」によってその規制をクリアするのですが、そのCVCC搭載のシビックが日本で発売されたのです。

大まかに言えば、燃料の比率が少ない、薄い混合気でも安定してエンジンが回るようにするため、一般的なエンジンのシリンダーともうひとつ、副室という小さな燃焼室を持ち、その副燃焼室で火を点けてから燃焼を広げるというもの。

CVCCは、Compound=複合・複式、Vortex=渦流、Controlled Combustion=調速燃焼の略。まだまだ研究段階であった1971年2月12日の技術発表のタイミングでは、そのネーミングからエンジンの内容がわからないようにするようにしたそうです。

また研究当時、ホンダの4輪はまだ軽自動車しか発売しておらず、日産サニーのエンジンを施策CVCCエンジンに積み替えてテストが行われたとか。

1973年12月13日に発売されたホンダ・シビックに搭載されたCVCCエンジン
1973年12月13日に発売されたホンダ・シビックに搭載されたCVCCエンジン

ちなみに、アメリカ市場へのCVCCエンジン搭載シビックは1975年モデルから輸出されました。このワケは、1972年にCVCCエンジン単体でマスキー法の適合審査に合格していたものの、完成車としての審査はそれまで受けていなかったからなのだそうです。この間、1974年には一度不合格となったとか。日本では適合していたものの、アメリカでは諸条件が異なり、それが理由だったとか。

ストーリーの途中で、世界中がクリアするのは不可能であろうとさえ言われていたマスキー法ですが、本田宗一郎氏は、
「4輪の最後発メーカーであるHondaにとって、他社と技術的に同一ラインに立つ絶好のチャンスである」
と述べたそうです。

後から考えると、よくある「ピンチはチャンスのエピソード」と言えなくもないですが、先行するメーカーが困難を極めている状態でそう思えたのは常人には真似できないことでしょう。今こそ、様々な困難がありますが、これを思い起こせばクリアする勇気が湧いてきそうな気がしてきますね。

当時の排出ガス、燃費、価格は以下のように発表されています。排ガス規制により、パワーも燃費もダウンしたのが一般的でしたが、CVCCでは希薄燃焼により燃費も向上しているのに注目です。

【排ガス】
51年排出ガス規制平均値(CO/HC/NOx)
2.10/0.25/0.60
NEW CIVIC CVCC 1200 マニアル
2.04/0.23/0.55/
NEW CIVIC CVCC 1200 オートマチック
2.07/0.21/0.59/
NEW CIVIC CVCC 1500 マニアル
2.06/0.23/0.57/
NEW CIVIC CVCC 1500 オートマチック
2.06/0.22/0.58/
※完成検査目標平均値、排ガスは10モード測定g/Km

【燃費】
NEW CIVIC CVCC 51年規制適合車 トランスミッション 燃費(48年規制適合車)
1200 4速マニアル22Km/l(22Km/l)/オートマチック 20Km/l(20Km/l)
1500 4速マニアル21Km/l (20Km/l)/5速マニアル22Km/l(なし)/オートマチック 19Km/l (18Km/l)
※燃費:60Km/h定地走行テスト値

【価格】
NEW CIVIC CVCC シリーズ 東京地区標準現金価格(スペアタイヤ・標準工具付)単位:千円
■1200 2door
スタンダード 656
デラックス 693
ハイ・デラックス 727
GL 751
■1500 2door
GTL 794
RSL 868
(1200・1500 3doorは18千円高、1200スタンダードは2ドア仕様のみ、1500RSLはマニアル仕様のみ)
■1500 4door
スタンダード 706
デラックス 761
ハイ・デラックス 802
GF 827
◆オートマチック車はすべて36千円高

当時は都市によって車両本体価格が違っていました。また、排ガス規制対応の1200ccモデルには、「自動車取得税の減免」があったようです。現在のグリーン税制のようなもの。歴史は繰り返しますね。

(小林 和久)

参考
https://www.honda.co.jp/50years-history/challenge/1972introducingthecvcc/index.html

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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