■同じスペックのライバル車と比べれば価格は相当安い
現行型スカイラインは2019年7月にマイナーチェンジを行いました。同時に登場したのが、408馬力を発生する3.0リッターターボエンジンを搭載したスカイライン400Rです。
今回はこの注目モデルに、ドリキンこと土屋圭市さんに比較試乗してもらいました。
●スカイライン400R、ドリキンチェック!
2019年7月のマイナーチェンジで注目を集めたのは、ハイブリッド車に搭載された「プロパイロット2.0」。俺も試したけれど確かに技術面ではスゴイと思った反面、違和感は拭いきれなかった。しかしこれからの自動運転の道筋は感じられた。
しかし、このスカイラインのマイナーチェンジで俺が最も注目したのは400Rだ。最高出力405psを発生する3LV6エンジンを搭載したFRセダンで、車両本体価格は562万5400円。
このハイスペックのエンジンを搭載した国産セダンは見当たらないし、輸入車だと最高出力387psを発生する3L直6ターボを搭載したBMW M340i xDriveが987万円。最高出力390psを発生する3L V6ツインターボを搭載したメルセデス・AMG C43 4MATICが車両本体価格995万円と同じようなスペックのエンジンを搭載したモデルは1000万円クラスとなっていてしかも4WD車だ。
最高出力405ps・RWDの400Rがどのような走りをするのか非常に楽しみだ。
今回の試乗場所はアネスト岩田ターンパイク箱根。新車の試乗会やメディアの試乗コースとして良く使用される場所でスカイライン400Rのインプレッションを行った。
ターンパイクを走っての感想を率直に言うと、ワインディングの走りだけで評価するにはもったいない実力のクルマだということ。
この400Rはクルマの動きとか作り込みとかかなりレベルが高い。
400Rの車両重量は1760kg。GT-Rのプレミアムエディションが1770kgだからわずか10kgしか変わらないのだけれど、400Rの動きは軽いし、感覚的にはシルビアに乗っているようなフィーリングだね。とても1770kgもあるようなクルマの動きではない。そしてフロントタイヤの接地感がしっかりしているからかなり安心できる。
400Rはこういうワインディングでは評価できないくらいのレベルに達しているクルマだと思う。だからサーキットを走行したときの限界域でアンダーステアなのか、オーバーステアなのか。危険が動きなのか、安全に動くのか。
その領域での走りを見てみたいね。すごくワクワクさせてくれる。
全体的には高評価だけれども、気になるところが一点。それは、エンジンのレスポンスにタイムラグがある。エンジンのツキが悪いね。
アクセルをフルスロットルにしたときに400psが出るまで2~3秒くらいタイムラグがある。これは制御系によるものなのかわからないけれども、これはもったいない点。もし自主的にスロットルの制御しているのであれば、普通のターボ車で良いと思ってしまう。ここは改良してもらいたい。
このエンジンのタイムラグを除けば、トルク感も欧州車と勝負できるし、ハンドリングも良い。だから最初に挙げたメルセデス・AMG C43とBMW M340i x-Driveとサーキット走行で見極めたいよね。
400Rがどれくらいのポジションにいるのか。同等なのか上なのか下なのか。やはり俺の中でのスカイラインは国産車の代表であってもらいたいし、このメルセデスやBMWと比較したくなるようなポテンシャルがほしいよね。
この感覚はスカイラインファンならみんな思うのではないかな。
400Rは約600万円、ライバル車は1000万円。サーキットを走行したときに1周でいいやと思うのか、5周走りたくなるのか。そして600万円だからこんな感じで仕方ないと思うのか。それともこれで600万円ならばコスパスゴイ!となるのか。ワクワクしてくるよ。
現時点で言えることは、400Rというクルマは日産が真面目にちゃんと作ったクルマだということ。それをサーキットでの全開走行で見極めてみたい。
(コメント:土屋 圭市/まとめ・スチール撮影:萩原 文博)