目次
■正しく理解しないと反則金や罰金になることも
●雪道における規制のイロハを知って、安全安心のウィンタードライブを
高速道路を走行中に「すべり止め必要」という道路情報を見る機会が増えてきました。雪道の走行にあまり縁がない方は、「すべり止め必要」の正しい意味をご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、冬にはスタッドレスタイヤを装着し、雪道に慣れた方でも「すべり止め必要」と「チェーン規制」を同じように考えている方はいませんか。
今回は、積雪地域で発令される「すべり止め必要」と「チェーン規制」について、それぞれの詳細や違いについて解説していきます。
●2018年に改正された「チェーン規制」とは?
2018年12月、道路標識、区画線および道路標示に関する命令が一部改正され、新たに「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の標識が定められました。この改正に伴い、全国の高速道路7区間と国道6区間が、チェーン規制を実施する区間として定められています。
「チェーン規制」とは、大雪に関する緊急発表がされるような集中的な大雪が発生し、降雪による立ち往生車が多発する危険性が高まった時に行われる交通規制です。
チェーン規制が行われた区間を走行するには、ノーマルタイヤはもちろん、オールシーズンタイヤやスタッドレスタイヤを装着しているクルマでも、金属・ウレタン・ゴム・布のいずれかのタイヤチェーンを装着する必要があります(スプレータイプのタイヤチェーンでは走行不可)。
チェーン規制が行われる区間は以下の通りです。
★高速道路
上信越道:信濃町IC~新井PA
中央道:須玉IC~長坂IC 飯田山本IC~園原IC
北陸道:丸岡IC~加賀IC 木之本IC~今庄IC
米子道:湯原IC~江府IC
浜田道:大朝IC~旭IC
★国道
山形県:国道112号 西川町志津~鶴岡市上名川)
山梨・静岡県:国道138号 山梨県山中湖村平野~静岡県小山町須走御登口
新潟県:国道7号 村上市大須戸~上大鳥
福井県:国道8号 あわら市熊坂~同市笹岡
広島県・島根県:国道54号 広島県三次市布野町上布野~島根県飯南町上赤名
愛媛県:国道56号 西予市宇和町~大洲市松尾
上記区間でチェーン規制が行われた際に、チェーン非装着で走行した場合は、車両通行止め区間を走行したとみなされ、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
雪道に慣れている地域にお住いの方の中には、スタッドレスタイヤを装着していれば、雪の規制は全て大丈夫!と思われている方もいるのではないでしょうか?
筆者も東北地方の山間部に住んでいて雪道には慣れていますが、恥ずかしながら「チェーン規制」と「すべり止め必要」は同じようなものだと思っていました。今一度、2018年改正のチェーン規制について理解し、スタッドレスタイヤの装着に合わせて、タイヤチェーンの携行を行うようにしましょう。
●ノーマルタイヤでの雪道走行で反則金
冬の高速道路でよく見る「すべり止め必要」の道路情報、これは走行の際にスタッドレスタイヤの装着か、ノーマルタイヤの場合はタイヤチェーンを装着する必要がある区間に発令されるものです(オールシーズンタイヤの場合は、高速道路冬用タイヤ規制に対応しているものであればタイヤチェーン無しで走行可能)。
この「すべり止め必要」は、各都道府県の公安委員会が定める滑り止めルール(道路交通規則・道路交通法施行細則)に基づいて発表される情報です。沖縄県以外の46都道府県の公安委員会では、道路が積雪または凍結した際には、タイヤチェーンを装着するかスタッドレスタイヤを装着しなければならないと決めています。
また、岩手、宮城、秋田、山形、福島、石川、福井、兵庫、鳥取、広島では、冬用タイヤであっても「50%以上摩耗しているタイヤの使用禁止」を明文化しています。
50%以上摩耗しているスタッドレスタイヤは、スタッドレスタイヤとしての使用限度を超えている(プラットフォームが露出している)ことから、装着していても「すべり止めとはみなさない」ということになります。
雪道や凍結路をすべり止め装着無しで走行した場合には、一時停止無視やスピード違反、携帯電話保持の運転などと同様に取り締まりを受けます。反則金が大型自動車等7,000円、普通自動車・自動二輪では6,000円、原動機付自転車では5,000円となり、違反点数の減点はありません。
ノーマルタイヤや使用限度を過ぎたスタッドレスタイヤでの雪道・凍結路の走行は立派な交通ルール違反です。早めのスタッドレスタイヤの装着、そして点検と交換を行いましょう。
●まとめ
冬のドライブに必要な知識、「すべり止め必要」と「チェーン規制」の違いについて解説してきました。季節限定の規制やルールですが、違いや内容をしっかりと理解し、安全安心な冬のドライブを行いましょう。
(文:佐々木 亘)