最近増えてきたオールシーズンタイヤ、トーヨータイヤ「セルシアス」の快適なドライ性能と安心のスノー性能に本気でビックリ!【TOYO TIRES CELSIUS試乗】

■快適なドライ性能と安心のスノー性能、どちらも8割以上いけるオールマイティ!

●日本で増えてきた「オールシーズンタイヤ」

日本の冬ドライブでの必需品と言えばスタッドレスタイヤが第一に頭に浮かびますが、最近にわかに注目を浴びるようになってきたのが“オールシーズンタイヤ”と言われるジャンルのタイヤです。タイヤメーカー各社が徐々にラインアップを追加するようになってきました。

セルシアス 走りイメージ
安定した圧雪路性能を発揮するセルシアス

そうした中、2019年8月から日本国内で発売が開始され、2020年11月にはサイズラインアップの充実を行ったのが、トーヨータイヤのオールシーズンタイヤ「セルシアス(CELSIUS)」です。

「セルシアス」は2015年から欧州や北米で販売されているモデルで、すでに1年を通じて安心して使うことができるタイヤとして評価されています。また、トーヨータイヤのオールシーズンタイヤ「セルシアス」、スタッドレスタイヤ「OBSERVE GIZ2(オブザーブ ギズ ツー)」、トラック&バス用オールウェザータイヤの「M646」の3種のタイヤが2020年度グッドデザイン賞を受賞。機能面も含めたデザインが高く評価されています。

セルシアス パターン
ストレートグルーブを3本配置。向かって右が外側になる左右非対称デザイン
セルシアス パターン説明
外側がドライ&ウエット性能を担当。内側がスノー性能を担当する
セルシアス サイズ表
XLはエクストラロード対応タイヤ

スタッドレスタイヤでも舗装路面を走ることはできますが、どうしても性能はダウンしてしまいます。オールシーズンタイヤは、乾いた舗装路面、濡れた舗装路面での性能を確保しながら、雪上でもグリップするという性能を確保しています。トーヨータイヤでも「セルシアス」について「過酷な積雪や凍結路がある環境下では、スタッドレスタイヤの使用をおススメします」とアナウンスしています。冬になれば確実に雪が降り、路面が凍結する地域ではスタッドレスタイヤに履き替えるべきです。が、雪が「降るかどうかわからない」「年に数回は雪が降るかも」という地域では、いざ降ったときにサマータイヤでは身動きが取れないという事態となってしまいます。そこで、スタッドレスタイヤよりもドライ&ウエット性能が高く、突然の雪にも対応できるオールシーズンタイヤが注目されているわけです。

セルシアス 秋イメージ
深まる秋のなか、ドライ性能を試すべく東京郊外で試乗

すでに2020年2月には北海道のテストコースにて「セルシアス」に試乗していますが、まずは11月に東京郊外で試乗したドライ路面でのインプレッションをお届けします。テスト車両はフォルクスワーゲンのゴルフトゥーランで、装着タイヤサイズは215/55R17 98Vです。

タイヤサイズで注目なのはスピードレンジが「V」となっていること。スピードレンジ「V」は240km/hの速度に耐える(規程の条件下で)ことを示しています。多くの国産スタッドレスタイヤのスピードレンジが160km/hまでの「Q」ですから、かなり高いマージンが与えられていることがわかります。

セルシアス ドライ走り
ドライ時の走りは十分に快適で安定性もいい
セルシアス アウト側デザイン
アウト側はサイプが少なく、オンロードよりのパターンとなる

乗り出して少しして思わず、助手席に乗っているトゥーランのオーナーに聞いたのが「これ、タイヤ交換してきたんですよね?」でした。スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤは、サイプと呼ばれる細い溝が横方向に配置されるため、どうしても“ブーン”というタイプのノイズが出やすいのですが、「セルシアス」はそうしたノイズが発生していないのです。速度を上げていっても、ステアリングを切っていても、スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤに特有のノイズがありません。ノイズレベルとしてはサマータイヤと比べて遜色のないものといっていいでしょう。

セルシアス 装着パターン
パターンデザインもスタッドレス要素が少なく、普段使いでのイメージもいい
セルシアス 装着ドライ
テスト車両はフォルクスワーゲンのゴルフトゥーランを使用した

ハンドリングと乗り心地もかなり高いレベルを確保しています。試乗中に貯水池の周囲をぐるっと巡る道を走りました。道路には暴走防止のために赤い縞模様のペイントが施されていましたが、いやみのある突き上げ感などは感じられず上手に段差をいなしていきます。

ハンドリング面も上質に味付けされています。ステアリング切り始めのレスポンスはさほど高くなく、「セルシアス」がターゲットとしているSUVやミニバンといった、重量があり重心が高いクルマとのマッチングがいいものです。トーヨータイヤは「トランパスシリーズ」というミニバン専用タイヤを最初に展開したメーカーで、車重があり重心の高いクルマに対するノウハウをしっかりと持っていて、それが生かされている印象を受けます。

セルシアス 走りリヤ
コーナリングでは滑り出し時の感覚もつかみやすく安全性が高いイメージがある
セルシアス内側トレッド
サイプが多い、イン側のトレッドデザイン

さて、これから訪れる冬のドライブに対する「セルシアス」の第一印象は、『オールシーズンタイヤはここまでグリップを上げてきてるのか!』というものです。

筆者はこの業界に入った当時がちょうどスタッドレスタイヤの黎明期だったので、スタッドレスタイヤの進化とともに経験を積んできましたが、「セルシアス」のウインター性能は少し前の世代のスタッドレスタイヤと比べても遜色のないものであると感じました。ウインター試乗はテストコースで行ったので路面は安定した圧雪路で条件はよかったのですが、発進時のグリップ、コーナリング時の手応えや横方向のグリップ感、そして多くの人が気にするブレーキング時のしっかり感も問題なしと言えます

タイヤのタイプによる路面とのマッチングイメージと走行可能道路
タイヤのタイプによる路面とのマッチングイメージと走行可能道路

「セルシアス」は、スノーフレークマークの刻印が押されているタイヤなので、高速道路の冬用タイヤ規制時にも走行が可能。現在のチェーン規制は従来のチェーン規制とは異なり、指定された道路での「全車チェーン規制」となるので、スタッドレスタイヤであってもチェーン未装着では走行ができません。規制上はスタッドレスタイヤも「セルシアス」も走れる道路、走れる規制は同じということになります。

レポーター
レポーターは自動車評論家の諸星陽一氏

どのタイヤと比べるか?もありますが、「セルシアス」はサマータイヤの8割、スタッドレスタイヤの8.5割の性能を持たされているタイヤという印象。雪が降る可能性がある非降雪地ではショッピングリストの上位に載るタイヤとなるでしょう。

(文:諸星 陽一/写真:トーヨータイヤ・諸星陽一)

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この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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