■3.5L V6ターボは、燃焼室形状やコンロッド形状の最適化なども盛り込む
レクサスの最上級セダンであるLSがマイナーチェンジを受け、2020年11月19日に発売されました。高速道路などの自動車専用道路で車両が車線と車間維持、分岐やレーンチェンジ、追い越しなどを支援する最新の高度運転支援技術「Advanced Drive」搭載車は、2021年の発売予定とアナウンスされています。
パワートレーンの改良点からチェックすると、3.5LのV型6気筒ツインターボエンジンは、常用域のエンジントルクの立ち上がりを向上することで余裕のある力強い走りが得られるそう。
具体的には、電動駆動方式で過給圧を制御するウェイストゲートバルブのバルブ開度を緻密に制御することで、アクセル操作に対して発生するエンジントルクの精度を向上。これによって加速レスポンスが向上するとともに、Direct Shift-10ATのシフトスケジュールの変更により、ギヤ段を維持したまま加速できる領域を広げることで、シフトダウンの頻度を低減させたとしています。
また、燃焼室形状の最適化という大がかりな変更も盛り込まれています。燃焼効率を高めることで、出力と燃費性能の向上という相反する要素をクリアし、静粛性も高められています。さらに、コンロッド形状の最適化やクランクシャフトのクランクピン径を拡大することにより、軽量化と剛性向上により、静粛性向上を両立しているそう。
可変バルブタイミング機構(VVT)を油圧制御化して軽量化を図ると共に、オイルコントロールバルブをVVT内部に配置する「センタースプール」構造により油路を短縮することで、レスポンスの改善も図られています。
登場時の現行LSは、最上級セダンとしては乗り心地に課題があるという声もあったそうで、年次改良のような度重なる改良で改善しています。今回、減衰力可変ダンパーの「AVS」では、新設計された油圧制御用ソレノイドのオイル流量制御バルブの流路を拡大。これにより減衰力を低減し、上質な乗り心地が得られたそう。
減衰力の可変幅拡大によって優れた操縦安定性に寄与。さらに、足まわりでは、乗り心地を左右するランフラットタイヤの縦バネ剛性、スタビライザーバーのばね定数、バウンドストッパーの先端剛性(2WDはリヤのみ)の最適化が盛り込まれています。
ほかにも、エンジンマウント内のオリフィスを変更(4WDのみ)することにより、減衰特性の変更が行われ、キャビンに伝わる振動や衝撃を低減しています。さらに、2WDのフロントサスペンションの高強度アルミ鍛造アームへの変更や、タイヤの質量低減によりばね下質量を約3.5kgの軽量化。路面からの入力をボディへ伝わりにくくすることで乗り心地を向上させたとしています。
シートも乗り心地を左右する要素ですが、シート表皮の縫い位置をより深い位置に変更し、新開発の低反発ウレタンパッドが用意されています。振動吸収と柔らかな座り心地により、さらに快適性が高まったそうです。このように、静粛性や乗り心地など快適性の向上は念入りに行われています。
レクサスLSの価格帯は、3.5L V型6気筒ツインターボを積む「LS500」が1073万円〜1580万円。3.5L V型6気筒+モーターのハイブリッド「LS500h」は、1219万円〜1728万円です。
(塚田 勝弘)