オイルフィルターとは?エンジンオイルに含まれる不純物を除去する部品【バイク用語辞典:潤滑編】

■目の細かい繊維状の濾紙で1/100mm程度以上の不純物を除去

●徐々に不純物が堆積する定期交換部品なので2回のオイル交換時に1回交換

走行時間とともに、エンジンオイルには金属摩耗粉や燃焼の煤に起因するスラッジなどが混入して、潤滑性能が悪化してエンジンの耐久信頼性が低下します。オイルフィルターは、繊維状の濾紙を使ってオイル中の金属摩耗粉やスラッジなどを取り除きます。

エンジンオイル中の不純物を取り除くオイルフィルターについて解説していきます。

●オイルフィルターの役目

エンジン内部のギアやジャーナル、ピストン、ライナーなど摺動部は、潤滑オイルを介してはいるものの、金属同士が摺動、接触するので、微小な金属摩耗粉が発生します。特にエンジンのすり合わせが十分でない新車状態では、金属摩耗粉の発生は避けられません。

また、エンジン内を循環するエンジンオイルには、燃焼室内で発生した煤などに起因する固形のカーボンやスラッジも発生します。

これらの金属摩耗粉やスラッジがオイルに混入すると、摺動面に噛み込んで傷つけ、耐久信頼性が低下します。最悪の場合は、オイル通路を閉塞して潤滑不良やオーバーヒートを起こします。このような不具合を回避するために、循環するオイルを濾過して金属摩耗粉などの異物を除去するのが、オイルフィルターの役目です。

●オイルフィルターの仕組み

オイルフィルターは、オイルパンから吸い上げられた直後のオイルポンプ下流に装着され、目の細かい繊維状濾紙(エレメント)によって濾過し、オイル中の不純物を排除します。

筒状のエレメントは、1/100mm程度の不純物まで除去し、きれいになって再びオイルラインに戻されます。また、フィルターが詰まった場合でもオイルの供給が途切れないように、フィルターを迂回するバイパスバルブが設けられています。

オイルフィルターには、カートリッジ式とインナー式の2つのタイプがあります。

2種のフィルタ
2種のフィルタ

・カートリッジ式
フィルターケースとエレメントが一体化した構造で、外部からねじ込んで取り付けます。エンジンの外側に取り付けるので整備性が良く、最近のエンジンでは主流の方式です。また、最近はフィルター内部にマグネットを装備して、磁力で金属の摩耗粉を吸着するタイプもあります。

・インナー式
エンジン側面の蓋を開けて内部にあるエレメントを脱着します。古くから採用されているので、旧型バイクやクラシカルバイクなどに採用されています。エレメントがエンジンに内蔵されているので、整備性はよくありません。

●オイルフィルターの交換の目安は

オイルフィルターで濾過した不純物はそのままフィルター入口部に溜まって堆積するので定期交換部品です。

バイク用エンジンオイルの交換の目安は、通常は6ヶ月ごと、あるいは3000km~5000kmごとが推奨されています。一方オイルフィルターの交換は、2回のオイル交換時に1回行うのが適正と言われているので1年ごと、あるいは6000km~1万kmごとにオイル交換と同時に行う必要があります。

しかしオイルの汚れ方は、運転の仕方や使用環境によって大きく異なります。例えば、日常的に激しい加減速を繰り返すような運転を行う場合は、金属摩耗や燃焼によるスラッジの発生がより早く進行するので、フィルターの交換時期のインターバルは上記よりも短くすべきです。


エンジンオイルに異物が混入すると、本来の役目である適正な潤滑ができないので、燃費や出力、さらにはエンジンの寿命に大きく影響します。バイクを長く乗り続けるためには、エンジンのメンテナンス、特にオイルとオイルフィルターの定期交換は基本中の基本です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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