ボルボV60&XC60 T8 Polestar Engineeredの特別仕様度を清水和夫が試してみた!【SYE_X】

■超特別仕様のV60 T8&XC60 T8 Polestar Engineeredを堪能せよ!

●ボルボ他、欧州1モーターのイイトコロは日本車にも必要かもby清水和夫

V60&XC60 T8 Polestar Engineered
V60&XC60 T8 Polestar Engineered

ごめんなさい、勉強不足で「Polestar Engineered」(ポールスター エンジニアード)というボルボのスペシャルバージョンを知らなかったワタシ(汗)。

Polestar Engineeredとは、分かりやすく言えば日産のNISMO、メルセデス・ベンツのAMGなどと同じで、ボルボのスペシャル仕様を制作する特別共同事業…とのこと。

で、そのPolestar Engineered仕様の特別バージョン、V60 T8とXC60 T8(セダンのS60 T8にも設定あり)に国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが袖ケ浦フォレストレースウェイにて試乗しました。V60 T8が20台、XC60 T8が30台(S60 T8は15台)という限定お宝仕様はすでに「完売御礼!」(涙)ですが、その特別度を見ていきましょう!

【VOLVO XC60 T8 Polestar Engineered】

●「ヘイ、ボルボ! エンジンかけろ!!」では動きません!

VOLVO XC60 T8 Polestar Engineered
VOLVO XC60 T8 Polestar Engineered

スウェーデンが誇るプレミアムブランド、ボルボの高級なSUV、XC60 T8 Polestar Engineeredに乗っています。これはプラグインハイブリッドで、エンジンと電気のふたつのキャラクターで走ります。どんな走りなのかな?

シートベルト
ゴールドのシートベルトがオシャレで目立つ!「皆さん、ベルトはちゃんとしてくださいね!!」

シートベルトの色がイイねぇ。してるかしてないかすぐ分かる! 皆さん、ベルトはちゃんとしてくださいね!!

そうそう、3点式シートベルトはボルボが考案したんですよ! そのときにパテントを世界に向けて公開したので、世界中の交通事故で命が助かったという歴史があります。このクルマはボルボの電動車両。ボルボは昔から安全に関してはこだわりがあります。安全と環境、そのトップランナーがXC60 T8 Polestar Engineeredですね。

ン? エンジンどうやってかけるの?? 音声認識?

「ヘイ、ボルボ! エンジンかけろ!!」…あれ?

●静かで高級な走りを見せる1モーター・プラグインハイブリッド

VOLVO XC60 T8 Polestar Engineered
いろいろなんかいいなぁ~、欲しいゾ!

やっぱりモーターで動くから静かだな。電動車両はこれにやられちゃうんだよね。V12×100基分くらい高級なエンジン…じゃない、モーターみたいな。

走り出しはモーターだけで走っていますね。ちょっとスロットルを多めにすると…エンジンが目を覚まします。お~気持ちいいな!

最近トヨタもプラグインハイブリッドをRAV4などでやっています。が、トヨタ、ホンダは2モーターのシリーズパラレルハイブリッドのプラグインなので、走り味がちょっと違うんですよね。コチラは1モーターなので完全にEVみたいに電気だけで静かにスーッとトルキーに走り、その先に待ち構えているのがエンジン。もちろん、モーターとの合わせ技もあるんですけど。

2モーターだとシリーズパラレルなので、どちらかというとトランスミッション的に言えば電気CVT的な走り味。が、こちらは1モーターなので、モーターの領域を超えて高速になれば普通のエンジン車みたいにトルコン8速ATでダイレクト感のあるドライバビリティですよね。

試乗中の清水和夫さん
あまりスポーティすぎると捕まっちゃいそう!?

なので「走り」という点では1モーターハイブリッドのプラグインっていいんですよね。ヨーロッパは2モーターを持っていなかったがゆえに、1モーターのハイブリッドをプラグイン化してドライバビリティを上げているというのが、このボルボだけではなくメルセデス・ベンツ、BMW、アウディの考え方です。

逆に言うと、日本がもっと走る電動車両を作るには、この1モーター式も必要なのではないかと思いますね。その現実的なのが、この8速トランスミッションは日本のトヨタ系列のアイシンが作っていること。トルコン8速ATの中に小さなモーターを入れて、それがスターターモーター用とか回生ブレーキ、バッテリーへの充電の発電機などになるんですけど。そして約90ps近い大きなモーターをリヤアクスルに持っていて、センタートンネルの要らない4WDシステムになっていますね。

●XC60 T8 Polestar Engineeredのブレーキキャリパーは日本のAkebono製

Akebono製ブレーキキャリパー
XC60 T8 Polestar Engineeredには強力なAkebono製ブレーキキャリパーが装備されます。

SUVなので当然、車重が重くなっているために、デカいブレーキローターを付けたいということからタイヤ&ホイールが標準で21インチ、オプションで22インチです。このXC60 T8にはフロントにドリルド ベンチレーテッド ディスクタイプのブレーキローター(フロント:400mm)に合わせて、Akebono(曙ブレーキ)社製6ピストンのキャリパーが付いています(S60 T8とV60 T8はブレンボ製キャリパー)。

いや~いいなぁなかなか。ブッ飛べば気持ち良く走れます!

ちょっといろいろ魅力的。マイカーにしてみたい1台だな。

オーリンズ製調整式ダンパー
オーリンズ製調整式ダンパーで乗り味が変化します。

サスペンションは前後とも22段階切り替え可能の、オーリンズ製のアダプティブ。自動可変ではなく手動で前後を切り替えます。今は1番スタンダードな状態の10番/10番。乗り心地、一般道重視。ただちょっとコーナーを攻めるとロールピッチが出てきます。

では4番/4番のハードスペックで行ってみます。確かにサスが固くなるからステアリングがクイックになりました。ロールが無い分、頭の入り方にシャープさが増しています。でも、サス固めてスポーティになると人間にブーストがかかったみたい! それイケ~!!みたいな。

最初の状態でもしなやかでいいですね。あまり固くしなくてもいいかな。固くすると攻めなきゃいけないかな!って、一般道だとスピード違反しちゃいそう!

【VOLVO V60 T8 Polestar Engineered】

●もうすっかりスポーツカーモード!

VOLVO V60 T8 Polestar Engineered
VOLVO V60 T8 Polestar Engineered

次はV60 T8 T8 Polestar Engineered、オーソドックスなステーションワゴンでサイズもそこそこコンパクト。

プラグインハイブリッドなので、XC60 T8とパワートレーンは一緒。こちらのほうが車高が低く、路面の見え方が違うので乗用車ライク。ドライブモードをPolestar Engineeredにすると1番張り切って走ってくれます。こりゃも~スポーツカーのスポーツ走行だな!

プラグインの面白さは用途用途でいろんなドライブパターンが選べることですね。それには明確に違いがあって、それぞれに意味を持っています。ただアクセルを踏むだけではなく、電気をどう使うか。

ハイブリッドモードは普通のエンジンとモーターと充電と燃費、そして走りのバランス。その総合的なところで通常はハイブリッドモードがいいと思います。街中はピュアモードがいいですね。

はい、スポーツカーチックなクルマでした!

・・・・・・・・・・・

では、清水和夫さんのインプレッションのすべては動画で!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

XC60 T8 Polestar Engineered
XC60 T8 Polestar Engineeredの主なスペック

■SPECIFICATIONS
車名:VOLVO XC60 T8 Polestar Engineered
全長×全幅×全高:4690×1940×1660mm
ホイールベース:2865mm
トレッド フロント/リヤ:1675/1680mm
車両重量:2160kg
エンジン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ インタークーラー付ターボ&スーパーチャージャー ガソリン+電気モーター
エンジン排気量:1968cc
ボア×ストローク:82.0×93.2mm
圧縮比:10.3
最高出力:245kW(333ps)/6000rpm(ECE)
最大トルク:430Nm(43.8kgm)/4500rpm(ECE)
電動モーター フロント/リヤ:T39/AD2/交流同期電動機
最高出力 フロント/リヤ:34kW/2500rpm/65kW/7000rpm
最大トルクフロント/リヤ:160Nm/0-2500rpm/240Nm/0-3000rpm
トランスミッション:電子制御8速AT
駆動方式:電子制御AWDシステム(エンジン+モーター)
サスペンション F/R:ウイッシュボーン式/マルチリンク式
ブレーキ:Akebono社製6ピストン・フロントブレーキキャリパー+ドリルドベンチレーテッドディスク
タイヤ:255/40R21
車両本体価格:10,240,000円(税込)

VOLVO V60 T8 Polestar Engineered
VOLVO V60 T8 Polestar Engineeredの主なスペック。

■SPECIFICATIONS
車名:VOLVO V60 T8 Polestar Engineered
全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm
ホイールベース:2870mm
トレッド フロント/リヤ:1600/1600mm
車両重量:2050kg
エンジン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ インタークーラー付ターボ&スーパーチャージャー ガソリン+電気モーター
エンジン排気量:1968cc
ボア×ストローク:82.0×93.2mm
圧縮比:10.3
最高出力:245kW(333ps)/6000rpm(ECE)
最大トルク:430Nm(43.8kgm)/4500rpm(ECE)
電動モーター フロント/リヤ:T39/AD2/交流同期電動機
最高出力 フロント/リヤ:34kW/2500rpm/65kW/7000rpm
最大トルクフロント/リヤ:160Nm/0-2500rpm/240Nm/0-3000rpm
トランスミッション:電子制御8速AT
駆動方式:電子制御AWDシステム(エンジン+モーター)
サスペンション フロント/リヤ:ウイッシュボーン式/マルチリンク式
ブレーキ:ブレンボ社製6ピストン・フロントブレーキキャリパー+スリット入りベンチレーテッドディスク
タイヤ:235/40R19
車両本体価格:9,190,000円(税込)

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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