自動運転レースカーがスタート直後にぶざまなクラッシュ! でも挑戦にこそ意義がある!?【動画】

■超オーバーステアじゃない!? スタート直後に信じられない右ターン

自動運転レース車両のクラッシュ
自動運転レース車両のクラッシュ

いやー、これはひどい。コース上からスタートしたと思ったら、レースカーはすぐに右ターン。なんの躊躇もなくコンクリートウォールにクラッシュしてしまいました。さっそく下の動画をごらんください。

幸いケガ人はいないはずです。なぜならこのレースカーは無人の自動運転車だからです。このレースはRoborace(ロボレース)という自動運転の電気自動車の競技で、まだお試しシーズンの段階です。公式ウェブサイトがあるくせに情報が少なく、詳しいことがぜんぜんわからない。いろいろググってみると、10月末に開催されたようで、公式YouTubeチャンネルによれば、アメリカ、イギリス、イタリア、ロシア、スイス、オーストリアから計6チームが参戦することになっていたようです(動画を見ると2台しか出走していないように見えます)。ちなみに今年はお試しシーズンの2シーズンめなのですが、昨シーズンがどういう状況だったのかはよくわかりません。

車両は有人でも無人でも運転できるようになっています。以前の記事では、今シーズンまで有人で行う予定だったようですが、動画を見ていると、ドライバーはピットからスタート地点までクルマを動かしたあと降りているので、レース本番は無人だったようです。

レースといっても、複数台が同時にスタートするわけではありません。この大会は2レース行われたようですが、1レースめは1台ずつふつうにコースを走行。2レースめはコース上にバーチャルな障害物を設置して、そこを避けたり通過したりして競うようです。

最初に、いきなり右ターンしてクラッシュしたのは、Acronis SIT Autonomousという、IT企業のアクロニス社がスイスの大学と提携して作ったチームです。今回はレース以前のひどい結果に終わったわけですが、この競技は始まったばかり。これを糧にどんどん技術革新が進むのでしょう。

自動運転の技術が進めば、将来的には自動運転車による、より本格的なモータースポーツが開催されることも十分考えられます。モータースポーツでは、ドライバー/ライダーの運転の個性やミスが勝敗を分け、そこが面白さでもあるのですが、AIが運転するようになったらどうなるのでしょう? 開発者によって運転の個性が出るのでしょうか? それとも画一的なドライビングになるのでしょうか?

また、無人の自動運転車のレースであれば、有人のレースならではの安全性への配慮が必要なくなるという面もあるでしょう。観客やスタッフへの配慮は必要なので限界はあるでしょうが、有人のレースよりずっと過激なレースが行われるようになるかもしれません。

今回、このぶざまなクラッシュを取り上げるのは、ややアンフェアな気もします。このほかに、競技車両がちゃんと走行している映像もあるし、自動運転は将来的に大いに可能性がある技術であり、失敗した部分だけを切り取って伝えるのはイメージを損なう恐れがありますからね。とはいえ、この動画によってRoboraceという競技が行われていることを知ったひとも多いのではないでしょうか? ちょっと調べてみると、なかなか面白そうな企画です。

今年、アメリカでは民間のスペースX社が宇宙船クルードラゴンで初めての有人飛行を成功させました。でもスペースX社も実験を始めたばかりの2013〜2015年頃は、ぶざまな失敗ばかりを繰り返していたものです。自動運転車も数年のうちにはめざましい進化を遂げるでしょう。このRoboraceに興味を持ったひとは、今後ときどきチェックしてみても面白いかもしれません。

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
続きを見る
閉じる