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■北海道・東北の高い山では降雪を観測。昨年履いたスタッドレスタイヤは今年も履ける?
11月になり、各地の山で初冠雪の便りが届いています。急激に気温が下がり、突然の雪となった時に焦らないよう、スタッドレスタイヤへの交換は早めに済ませておきたいものです。
中でも2シーズン、3シーズンと履いているスタッドレスタイヤは、今年も効果を発揮してくれるのでしょうか。今回は、スタッドレスタイヤのチェック方法や、交換時の注意点を、東北地方に住む筆者が解説していきます。
●そのタイヤ、スタッドレスタイヤとして使えますか?
スタッドレスタイヤが、しっかりとした滑り止めのタイヤとして使用できるかを確認できるよう、スタッドレスタイヤにはスリップサイン(夏タイヤとしての使用限界を示すもの)と、プラットフォーム(スタッドレスタイヤとしての使用限界を示すもの)の2つのサインが作られています。
スタッドレスタイヤの使用限度を判断するには、まずプラットフォームを確認しましょう。プラットフォームには確認の方法があり、タイヤの側面、ホイールに近い円の内側部分に矢印が刻まれています。この矢印をタイヤのトレッド面に向かって辿っていくと、プラットフォームを確認することができます。
プラットフォームはタイヤの残り溝が、新品時の50%で露出するようになっており、プラットフォームが露出したスタッドレスタイヤは、大幅に雪道や凍結路での滑り止め性能が落ち込みます。プラットフォームが露出したタイヤは、スタッドレスタイヤとしては使うことができませんので、速やかに交換する必要があります。
スタッドレスタイヤには、同時に夏タイヤにもあるタイヤとしての使用限度を示すスリップサインもついています。このスリップサインとプラットフォームを間違わないように注意しましょう。
よくある勘違いが、「10月に車検があり、スタッドレスタイヤも問題なく通ったから、今年の冬も大丈夫」と思ってしまうことです。
車検時のタイヤチェック項目は、残り溝が1.6mm以上あるかという点です。つまりプラットフォームでチェックをしているわけではなく、スリップサインでチェックしているので、車検に通っているからと言って、スタッドレスタイヤとして使用できるかどうかは別問題となります。
また、ゴム製品であるタイヤは、経年劣化により硬化が進みます。溝が十分残っていても、硬くなったスタッドレスタイヤは十分な効果を発揮しなくなります。
何年か使用していて今年も使えるかどうか不安に思ったら、一度タイヤ専門店やカーディーラーなどで残り溝とタイヤ硬度をチェックしてもらうといいでしょう。
●雪が降らなくても、スタッドレスタイヤを履くメリット
「自分の住む地域は降雪が少ないから、スタッドレスタイヤは必要ないのではないか」と思っている方もいらっしゃると思います。
確かに日本でも、冬季期間にスタッドレスタイヤを必要としない地域はあります。では、スタッドレスタイヤを履いたほうが良い地域と、そうではない地域の境界線はどこにあるのでしょうか。
まずは、外気温の変化です。外気温が5℃~7℃以下になると、夏タイヤの性能を十分に発揮しにくくなると言われています。外気温が低くなるにつれて、タイヤが硬くなっていき、グリップ性能やブレーキング性能は低くなっていくのです。
また外気温が5℃を下回ると、路面凍結のリスクが高くなります。ブラックアイスバーンと呼ばれる、降雪が無い状態で発生する路面凍結が発生する気温となり、スリップ事故が発生しやすくなるのです。
11月を過ぎると、朝晩の気温が5℃を下回る日が多くなっていきます。昼間の気温が高くとも、早朝、夜間の通勤時などに外気温が低くなる際には、降雪が無くてもスタッドレスタイヤを装着することをお勧めします。
●まとめ
スタッドレスタイヤは、降雪の有無ではなく、外気温の変化で装着する時期を考えるといいでしょう。
昨年装着したスタッドレスタイヤを引き続き使用する際には、事前のチェックをしっかりと行い、十分な準備が必要です。カーディーラーやタイヤ専門店なども混雑し始める時期となり、すぐに交換できないことも考えられます。スタッドレスタイヤは早めに準備、装着をしていきましょう。
(文:佐々木 亘)