■静かなSUV。でも加速は滑らかで繊細
「海へ行こうよ!」
そんな彼女のリクエストに応えて、今日のドライブの目的地としたのは、夏の終わりの海。去りゆく夏を惜しみに行くドライブだ。
「静かすぎない? エンジンが付いていないみたい」と彼女が助手席からボクに伝えた。そしてその表現はけっこう的を射ていると思う。
「e-POWER(イーパワー)」とキックスのパワートレインは、一般的にシリーズハイブリッドと呼ばれるもの。エンジンは電気を起こすことに徹し、そこで発電した電気でモーターを回して駆動力とするのが特徴だ。
静かな理由は、そのシステムにある。エンジンは付いているけれど、常にかかっているわけではない。バッテリー残量が減らない限り低速走行中はほぼエンジンがかからないので、エンジンの気配がしないのだ。
速度を高めるとエンジンがかかることが多いけど、その時はタイヤからの音なども入ってくるからエンジン音が目立たない。エンジンを積んでいるけれど、本当は積んでいないんじゃないかとすら思う。
この静かさには本当に驚いた。
■魔法の絨毯みたい
走行感覚だって、普通のエンジン車とはまるで違う。e-POWERはエンジンと駆動輪が機械的につながっておらず、すべての駆動力をモーターで作り出す。だから走行感覚は電気自動車と同じで、加速はスーッと滑らかで繊細。まるで魔法の絨毯に乗っているみたいだ(乗ったことないけど)。
反応が良くてアクセルを踏むとリニアに速度が増す感覚は、アクセルとタイヤが直結しているかのような気持ちよさがある。爽快感が凄いし「アクセルをひと踏みすれば惚れる」という日産のキャッチコピーにも納得だ。
「ちょっと遠回りして帰ろうか」と彼女。
ボクもそう思う。だって運転が楽しいから。(おしまい)
(文:工藤 貴宏/今回の“彼女”:夏本 あさみ/ヘア&メイク:東 なつみ/写真:ダン・アオキ)