名声復活・水面下で進んでいた新生Zプロジェクト! 21世紀をゆく5代目Z33【7代目新型フェアレディZ プロトタイプ発表記念・5代目Z33編】

■フェアレディZ ロードスター(HZ33型・2003(平成15)年10月)

フェアレディZ ロードスター(HZ33型・2003(平成15)年10月)
フェアレディZ ロードスター(HZ33型・2003(平成15)年10月)
フェアレディZ ロードスター(HZ33型・2003(平成15)年10月)
並行開発がものをいったのだろう、後追いの急づくりモデルにありがちな不自然さはどこにもない、美しいオープンスタイルとなっている。

Z33から約1年と余、フルオープンのフェアレディZが登場しました。Z32の「フェアレディZ コンバーチブル」から「フェアレディZ ロードスター」に改称です。

いくら元のクルマがあったところで、1年ちょいでオープン型ができるはずはなく、ベースのクローズドモデルと並行で開発が進んでいたに違いありません。だからこそのTバールーフ廃止だったのでしょう。ひとつのクルマに、そうでなくても量産の見込めないスポーツカーにクローズド、Tバールーフ、オープン型…3つのボディ型が用意されたZ32こそ稀な例でした。

フェアレディZ ロードスター(HZ33型・2003(平成15)年10月)
写真右下に見えるリッド下がソフトトップの格納部分。

ところで並行開発ならクローズドモデルには、先々のロードスターの都合も採り入れた箇所がどこかしらにあるかもしれません、いや、あるのです。それはどこでしょう? ヒントは前項、トランクルームの解説の中に潜んでいます。

答えは「リヤサスペンション上端左右を結んで補強する『リヤストラットメンバー』です。これは荷室を前後に分断して使い分けられるようにする役目も果たしており、前側は上着などを座席からでも置けるように、後ろ側は…」のところ。

そう、上着などを置く、リヤストラットメンバーで隔てた荷室前半分は、ロードスターでの幌の収容部に使うスペースで、このメンバーは、ロードスターでのオープン使用時の剛性確保を視野に入れたものだったのです。

フェアレディZ ロードスター(HZ33型・2003(平成15)年10月)さて、肝心の開閉ルーフの部分には、メタルタイプではなく幌型が選ばれたのはZ32カブリオレと同様。ただし開閉は、Z32の手動式から、Z33では電動式に昇格しました。

フロントガラス上端のロックを解除し、運転席右ひざあたりにあるインパネ上のスイッチを押すと…。

1.ドアガラスが下降
2.助手席背もたれ前傾
3.ソフトトップ(幌)後端が垂直に持ち上がる
4.ストレージ(幌の収容部=先述したクローズドモデルの荷室前半分に相当)のリッドが開く
5.ルーフが畳み込まれてストレージリッド閉
6.助手席背もたれ定位置に

となってオープンZへの変身完了、その間約20秒弱で、なかなか複雑な動きの割には短時間ですべてが終了する、優れた機構でした。

【スペック】日産フェアレディZ ロードスター Version T(HZ33型・5AT・2003(平成15)年10月)

●全長×全幅×全高:4310×1815×1325mm ●ホイールベース:2650mm ●トレッド 前/後:1535/1540mm ●最低地上高:120mm ●車両重量:1560kg ●乗車定員:2名 ●最小回転半径:5.4m ●タイヤサイズ 前/後:225/50R17 / 235/50R17 ●エンジン:VQ35DE(水冷V型6気筒 DOHC) ●総排気量:3498cc ●圧縮比:10.3 ●最高出力:280ps/6200rpm ●最大トルク:37.0kgm/4800rpm ●燃料供給装置:EGI(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:80L(プレミアム) ●サスペンション 前/後:独立懸架マルチリンク式/独立懸架マルチリンク式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク式/ベンチレーテッドディスク式 ●車両本体価格(当時・東京価格、消費税抜き):390万円

その後Z33は2005(平成17)年9月に、外観ではバンパーやヘッドランプの変更、リヤランプのLED化など、内装ではアルミの化粧パネルやソフトフィール塗装の採用、収納スペース追加にシート地変更、エンジン出力向上(280→294ps)などの変更を施したマイナーチェンジを実施。

2007(平成19)年1月には、エンジンフードの意匠変更、内外装カラーの入れ替え、エンジンは最高出力315ps、最大トルク36.5kgmを発するVQ35HR(HRはハイ・レスポンスの意)に載せ替えるといった一部変更受け、2008年のモデルチェンジを待つことになります。

(文:山口 尚志 写真:中野 幸次/日産自動車/モーターファン・アーカイブ)