数字ではなく親しみや温もりをカタチにする。新型MX-30の「Human Modern」なデザインとは?

■話題のマツダMX-30のデザインについて聞いてみた!

mx-30・メイン
自然体をテーマにした温もりのある佇まい

EVなど電動化を前提に、全く新しい方向性を打ち出して大きな反響を呼んでいるマツダのMX-30。意表を突いたそのスタイリングの意図はどこにあるのか?
さっそくチーフデザイナーの松田氏に話を聞きました。

●数字主義から脱却したパッケージ

── 最初に、MX-30では従来の「魂動デザイン」とは大きく異なった方向を打ち出しましたが、そのきっかけはどこにありましたか?

「まず、100年に一度の変革期と言われる今、マツダも純粋な内燃機関にとらわれず、電動化をリードするクルマ作りが必要になったこと。また、ITの普及やリモートワークの定着など、ライフスタイルの変化にも対応したい。そうした中で異なるアプローチを模索した結果です。もちろん、魂動デザインでありながらまったく別の価値観を出すため、とにかく数え切れないスケッチを描きました」

mx-30・サイド
ルーフが緩やかに下るサイドビュー。フリースタイルドアも見どころ

── このクルマはCX-30がベースですが、パッケージングの意図はどこにありますか? たとえばより広さを追求するといった発想はあったのでしょうか?

「いえ、あくまでもパーソナルユースに絞りました。今回は「自然体」をテーマにしていますが、たとえば積載容量や乗車人数など、従来の数字主義では測れないもの、単に便利なモノじゃない存在を目指しました。いま、デザインの世界では他の分野でも似たような傾向にあって、どこも数字を追うことに疲れてきたのかもしれません。もちろん、電動化によるバッテリー搭載容量確保といった兼ね合いもあります」

── 細いフロントグリルの意図はどこにありますか? また、ランプを縦方向にするなど別の顔付きも考えましたか?

「プロダクトとしての佇まいを議論する中で、親しみやすさを出したいけれど、しかし頼り甲斐も外せないことがありました。ランプについては、丸や四角だとどうしても可愛らしさが出てしまい、これも安心感に結びつかない。魂動デザインとしては生命感を示す「目」が重要ですから、マツダブランドを示すこの形状が必要なんです」

mx-30・リア
豊かなショルダーラインとシンプルなリアパネルが特徴

── ツートンのルーフが特徴的ですが、これは全体のデザインを形成する要素と言えますか?

「はい、この提案は初期スケッチの段階から出ていたものです。ひとつには、EVはバッテリーを置くため床が厚くなります。そこをルーフとボディ、アンダーカバーの3層構造とすることでスマートに見せたい。もうひとつは、豊かなライフスタイルを示すアイテムとして、様々な色の組み合わせが可能になるだろうと」

●オートバイから発想したデザイン

── サイドボディはシンプルですが、全体での面の張りというより、ショルダーをしっかり出していますね

「魂動デザインの「引き算の美学」として、実はショルダーの強調もやりたくなかったんですね。ただ、面の張りだけでトライしたところ、何もない、あたかも素うどんのような造形になってしまった。今回は親しみがテーマですし、そうであれば人を投影する意味から肩を表現しようと。ただし、それでも最小限の要素でまとめています」

mx-30・ランプ
オートバイから発想したパーツの集合体という表現

── リアのルーフからランプへ下りてくるパーツは何を意図したのですか?

「リアパネルではツートンのルーフとボディがぶつかりますが、その間を埋める存在として考えました。あえて別パーツのようにしたのは、さまざまな部品の集合体であるオートバイからの発想なんです。リアはルーフとボディ、ランプなど色々な要素が集まっていますが、そこへさらにこのパーツを重ねた。そうすることでパーソナルなキャラクターを表現したわけです」

── 最後に。このMX-30で魂動デザインはふたつの方向性を得たわけですが、これはマツダデザインにとってどんな意味を持ちますか?

mx-30・デザイナー
【語る人】 マツダ株式会社 デザイン本部 チーフデザイナー 松田 陽一氏

「Mazda3やCX-30といった第7世代商品は、ある価値観に絞ってデザインされています。今回はそこからかなり離れたところにひとつのコマを置いたわけで、その「間」には大きな可能性があると思います。最近はこだわりを持った生活はしているけれど、クルマには興味がない層が少なくないと言われます。MX-30はそうしたユーザーの価値観を見つつ開発したのですが、それはマツダデザインの新しいアプローチと言えるかもしれませんね」

── 完全なプロダクトアウト商品とは少し違うということですね。本日はありがとうございました。

(インタビュー:すぎもと たかよし)

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