コロナ禍で需要が増えている中古車を適切に選ぶ方法【中古車の選びの基礎知識】

●元ディーラー営業マンが教える 中古車の見るべきポイントはココ!

クルマ選び
中古車を購入する際は、状態や性質をしっかりと理解して購入しよう

コロナ禍で自動車市場でも買い控えが増える中、中古車販売は前年に比べて大きな落ち込みが少なく、堅調に推移しています。

2020年4月から9月までの新車(普通・小型車)登録台数が107万9768台(前年同期比76%)となっているのに対し、中古車(普通・小型車)登録台数は160万2172台(前年同期比96.8%)と、コロナによる買い控えの影響は小さくなっています。

今回は、需要の高まる中古車を選ぶ際に知っておきたいこと、チェックすべき項目などを、元自動車ディーラー営業マンの筆者が、解説していきます。

・ネットを駆使して中古車選びをしていこう

中古車選びをする際に、いきなり展示場へ行くのは少し抵抗があるという方がいるのではないでしょうか。営業マンが話しかけてきて、ゆっくりクルマを見たいのに、焦ってしまう…そんなときにはインターネットで中古車を探してみましょう。コロナ禍では対面にならないという点も、インターネットを使う利点です。

インターネットでは、大手の中古車取り扱い会社のサイトや、各自動車メーカーの認定中古車など、幅広く情報が出ています。細かな条件検索ができるので、好みに合ったクルマを探すことができるのではないでしょうか。

また、購入が前提となりますが、欲しいクルマが居住地から遠方にある場合は、販売店のネットワークを使って、取り寄せをしてもらうことができる場合もあります。インターネットを使った中古車選びは、ユーザーにとって多くの情報が手に入るというメリットがあり、積極的に活用してほしい方法です。

・カーチェックシートについて理解しよう

ネット上でクルマを探す際に、傷や凹み、事故や修復歴を知ることができるのが、カーチェックシートです。カーチェックシートには、クルマの装備や状態が事細かに記載されています。

クルマの傷などの状態を確認するのに使うのが、カーチェックシートの中でも車両展開図というものになります。平面上にクルマを切り開いた図が示してあり、記号でクルマの状態を表しているものです。

車両展開図
車両検査証明書などに記載されている車両展開図。図内の記号の意味を正しく読み取り、クルマの状態をイメージしましょう。

カーチェックシートに記載されている記号には、次のようなものがあります。

A(傷)、U(凹み)、B(曲がり)、W(液後)、S(錆び)、C(腐食)、T(亀裂、破れ)、H(穴)、X(交換)、P(変色・退色)、M(跡)、L(文字)、G(ガラス傷)

傷、凹み、曲がり、錆、腐食、交換、変色の各項目は1~4の数字が後ろにつき、数字が大きくなるほど、その範囲が大きいことを意味します。

たとえば、フロントドア(運転席側)にA2と記載がある場合には、20㎝~30㎝の傷があるという意味になるわけです。

メーカー認定中古車では、カーチェックシート(もしくは車両品質証明書)に、記号の意味を注釈としてつけているところもありますが、基本的なA、U、S、Xといった記号が何を指し示すのかは覚えておいても良いでしょう。

リアバンパー傷
一口に傷といっても、凹み、塗装の剥がれを伴うのかどうかなど、状態は様々です。記号表記は一つの目安として考えておきましょう。

また、中古車を購入する際に気になるクルマの傷については、1cm未満の小さな傷については車両展開図に記載していないことが多いです。

カーチェックシート記載のルール上は、1cm未満の傷は記載対象外となっているので、小さな傷、細かな傷は実際にクルマを見て確認することとなります。

・クルマを目の前にしてチェックすること

最近では、大手中古車販売店、自動車メーカーの認定中古車共に、事故車や修復歴車であるかどうかは明記されていることが多いですが、自分でチェックできる目を持っておくと、中古車選びはさらに充実したものとなるでしょう。

フロントドア
ドア回りは凹み、傷が多く発生する場所です。事故に直結しない場合でも、交換される部品の一つです。

しかしながら、修復歴車を見分けるために、内張を剥がして、クルマのフレーム部分を見るのは、現実的に難しいですし、どの跡が修復歴なのかを見分けることも大変です。

そこで使えるのが「交換した可能性があるかどうか」を見極める方法になります。

ドア、ボンネット、トランクなどの交換可能な部品を取り外した跡は、各部品を取り付けているネジの部分に出てきます。

ネジの頭に工具をひっかけた跡(塗装が剥がれた痕跡)があった場合、各部品を何らかの理由で取り外したことがあるということになるので、部品交換をした可能性が高まります。

ドアやボンネットを交換しているということは、大きな傷や凹み、変形を伴う接触をしている可能性が高いということです。ただし、工具をかけた跡=事故歴という風には必ずしも直結しません。なぜ、ドアを外したり、ボンネットを外す必要があったのかという裏側を確認することが重要なポイントになります。

ボンネット
ボンネットやトランクは衝突事故による交換が考えられる場所です。ネジ頭をチェックすることで、事故歴を知ることができるかもしれません。

現車確認中に発見した場合には、何故交換する必要があったのかということを、店員さんや営業マンに聞いてみましょう。

「こういった傷や凹みがあり、交換しました」としっかり話をしてくれるお店は、信用できるお店です。逆に、交換の可能性について、詳しく説明ができないお店は、クルマの状況を正確にわかっていない可能性があります。

正直にクルマの状態について話をしてくれるお店は、中古車購入をするユーザーの立場を理解し、ユーザーに寄り添ってくれるお店です。

・まとめ

中古車は一台一台状態が異なり、同じ商品は二つとないものです。それぞれの商品の状態や性質をしっかりと理解し、購入することが、失敗しない中古車選びの一番のポイントになります。専門の技術の高い査定員が十分なチェックをし、包み隠さず商品の状態を教えてくれるお店を選び、安心の中古車ライフを送りましょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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