バイクの基本構造とは?「走る」ためのパワートレインと「曲がる」「止まる」ための車体で構成【バイク用語辞典:バイクの誕生と種類編】

■2輪と4輪の違いはあるが、「走る」「曲がる」「止まる」ための必要な機能は自動車と同じ

●フレーム、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、サスペンション、ホイール/タイヤで構成

自転車にエンジンを搭載した原動機付自転車から始まったバイクですが、長い歴史の中で多様な用途に使われ、さまざまな構造の多くの種類のバイクが出現しました。

ここではバイクの一般的な基本構造について簡単に解説していきます。なお、個々の構成要素と技術の詳細については、別途解説します。

●バイクの基本構造

基本構造
基本構造

バイクの構造は、時代とともに変化し、また種類や用途によって異なります。

最新バイクでは最先端の技術を採用している例もありますが、基本的な構造は概ねフレーム、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、サスペンション、ホイール/タイヤから成ります。バイクの構造は、エンジンで動力を発生しタイヤに伝達するパワートレイン部と、運転操作するためのステアリング、衝撃を吸収するサスペンション、速度を落したり止まったりするブレーキなどの車体部に大別されます。

以下に、それぞれの各構成要素の概略について、解説します。

●パワートレイン部

・エンジン

自動車のエンジンと同様、レシプロ(ピストン)エンジンが使われます。エンジンの燃焼室に吸入された燃料の混合気を燃焼させ、その爆発力でピストンを押し下げる力をクランクシャフトの回転運動として取り出す内燃機関です。

エンジンの吸気・圧縮・燃焼・排気の4つの行程をエンジン2回転で行う4ストロークエンジンが一般的ですが、4行程をエンジン1回転で行う2ストロークエンジンもあります。また、気筒数は単気筒や2気筒、3気筒、4気筒エンジンなどがあります。

・トランスミッション

トランスミッションは、ギアを切り替えることでエンジン回転を変速する装置です。

通常、ギアを介してエンジンのクランクシャフトと直結され、5段や6段のギアによって変速します。また、ギア切替え時にエンジン動力を断続するためのクラッチ機構が付いています。変速後のトランスミッションの最終出力は、チェーンによって後輪軸に伝えられます。

●車体部

・フレーム

バイクの土台を形作り、エンジンやトランスミッションなどを支えます。

一般に鋼管が使われ、スポーツ走行用バイクにはアルミ製が使用されます。また形状については、パイプを組み合わせたもの、鋼板やアルミ板をプレス加工して溶接したもの、アルミ押し出し材を利用したものなどがあります。

・サスペンション

サスペンションは、ショックアブソーバーとスプリングで構成され、フレームと前後のホイールの接合部に装着して振動と衝撃を吸収します。

フロントサスペンションは、フロントフォークに組み込まれています。リアサスペンションは、フレームとリアタイヤを上下に可動するスイングアームでつなぎ、その間にダンパーとスプリングを付けています。

・ブレーキ

ブレーキは、前後のホイールに装着され、ドラムブレーキとディスクブレーキの2種類があります。

一般的には、ブレーキの効きが良くコントロールしやすいディスクブレーキが使われますが、安価なスクーターにはドラムブレーキが使われている場合があります。

・ホイール/タイヤ

バイクの重量を支えて、駆動力や制動力を伝え、同時に衝撃を和らげるのが基本的な役割です。

バイク用タイヤは、クルマ用タイヤのようにトレッド面が平面的でなく、丸くなっているくらいで構造的にはほぼ同じです。


バイクは、「走る」ための動力源のパワートレインと、「曲がる」「止まる」ための機能を持つ車体で構成されているという点においては、大まかに言えば自動車と同じ構成と言えるかもしれません。

しかし、実際には自動車とバイクの形態は全く異なるので、個々の構成要素と技術には大きな違いがあります。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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