走行時CO2排出量ゼロの燃料電池大型トラックをトヨタと日野自動車が北米で開発

■2021年前半に試作車両を開発

トヨタと日野自動車は、2020年3月に燃料電池大型トラックを共同開発し、走行実証などを通じて実用化に向けた取り組みを推進すると発表済みです。

トヨタ 日野
2020年3月に発表された、トヨタと日野が共同開発する燃料電池大型トラックは、ベースは日野の大型トラック「日野プロフィア」

2020年10月6日、トヨタの北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)と、日野自動車の米国販売子会社の日野モータース セールス U.S.A.(米国日野販売)、生産子会社の日野モータース マニュファクチュアリング U.S.A(米国日野製造)の3社は、北米での大型電動トラックへの関心の高まりを受けて、同地域向けに燃料電池で走行する大型トラックの開発に共同で取り組むとアナウンスしました。今回の発表は、同年3月の発表を発展させるものとしています。

燃料電池大型トラックは、日野が北米で投入している新型「HINO XL」シリーズのシャシーをベースに、トヨタの燃料電池技術を組み合わせ、CO2を排出せずに走行する高性能な大型トラックを開発。今後、2021年の前半に試作車両を開発し、評価を進めていくとしています。

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日野が北米で投入している新型「HINO XL」シリーズのシャシーをベース

なお、2020年3月に発表された、トヨタと日野が共同開発する燃料電池大型トラックは、日野の大型トラック「日野プロフィア」をベースに、両社が培ってきた技術を最大限に活かして開発。

シャーシは燃料電池車に最適なパッケージングを専用設計し、徹底した軽量化により十分な積載量の確保を目指します。パワートレインにはトヨタの次期「MIRAI」用に新開発されるトヨタFCスタックが2基搭載され、日野の強みである大型車ハイブリッド技術を応用した車両走行制御を組み合わせるものです。

航続距離は600kmを目標とし、環境性能と商用車としての実用性を高次元で両立することを目指します。

TMNA R&Dのシニア・エグゼクティブ・エンジニアである横尾将士氏は「燃料電池を搭載したHINO XLシリーズは、顧客と地域社会の双方にメリットをもたらします。静粛性、スムーズな走り、そしてパワフルな走行性能を実現したうえで、走行時に排出するのは水だけです。トヨタが20年以上にわたって開発してきた燃料電池技術と、日野の大型トラックに関する知見を組み合わせることで、革新的で競争力のある製品を生み出すことができるでしょう」とコメントしています。

米国日野販売のカスタマー・エクスペリエンス担当シニア・バイス・プレジデントであるグレン・エリス(Glenn Ellis)氏は「日野の強みであるパワートレーンをさらに発展させ、トヨタの持つ燃料電池技術を活用することで、商用車としての実用性に加えて、優れた航続距離と環境性能を持つゼロ・エミッション車を短期間でユーザーに提供することが可能になります。日野は、イノベーション創出に向けたお客様中心の開発思想や、製品の耐久性・信頼性へのこだわりなど、トヨタと多くの価値観を共有しています。今回の協業成果をゲームチェンジャーとするべく、取り組んでいきます」と意気込みを語っています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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