■マツダしか勝っていない、スーパー耐久・富士24時間のST-5クラス
9月5日の15時にスタートして6日の15時にフィニッシュという、現在日本で行われる唯一の24時間レースが、ピレリスーパー耐久シリーズ2020開幕戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」。
![DXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_012-20200917020842-800x533.jpg)
日産GT-RやメルセデスAMG GT3、アストンマーチンVANTAGE GT3などのスーパーカーの走るST-Xクラスとは対照的に、一番小さなエンジンのクラスであるST-5クラス。このクラスはガソリンエンジンで1500cc相当のコンパクトカーで競われるクラスで、富士24時間レースで最多出場台数の12台という激戦のクラスです。
![村上モータースMAZDAロードスター](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_023-20200917020911-800x533.jpg)
スーパー耐久としての富士24時間レースは今回で3回目となりますが、このST-5クラスに関していえば昨年開催の2回目までを村上モータースMAZDAロードスターが2連覇するという快挙を果たし、1500ccクラスでのND型ロードスターの強さを見せつけてきました。
![夜明けの豪雨を走るST-5クラスのマシン](https://clicccar.com/uploads/2020/09/22/20fuji24h_024-20200922141136-800x533.jpg)
強いマシンのベースモデルに偏りがちなスーパー耐久ですが、ST-5クラスはND型ロードスターが独占しているわけではなく、ホンダFIT3、トヨタヴィッツ、そしてマツダデミオもしくはマツダ2と、4モデル・5タイプが参戦しています。
![TEAM NOPROのドライバーとスタッフ](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_003-20200917020819-800x533.jpg)
ST-5クラスとST-2クラスにディーゼルエンジンのマシンを投入し参戦している、いかにもスーパー耐久らしいと言えるTEAM NOPRO。このTEAM NOPROが2015年からディーゼルエンジンのマツダデミオで参戦したことでST-5クラスに燃費という概念が生まれ、燃費を考慮しなければ勝てないというレベルの高い戦いを繰り広げるようになりました。
![大雨の中を走るDXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_017-20200917020855-800x533.jpg)
ディーゼルエンジンの燃費はレース時間が長ければ長いほど有利となりますが、一昨年は小型軽量の利点を生かし速さで勝った村上モータースMAZDAロードスターが優勝、昨年はDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dがマシントラブルで順位を大きく落とすうちに村上モータースMAZDAロードスターが逃げ切る展開で村上モータースMAZDAロードスターの連覇となりました。
■大雨で読めない戦局
天候によって車種の特徴が出やすいのもST-5クラスの面白さといえます。
![DXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_005-20200917020824-800x533.jpg)
FR駆動のNDロードスターはドライ路面では絶大な速さを誇りますが、雨が降るとFF駆動のデミオやフィットが頭角を現してきます。
![DXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_013-20200917020845-800x533.jpg)
ディーゼルのデミオは一見、雨に強そうなイメージを持ちますが、あまりに土砂降りだとNDロードスターやフィット勢も速度を押さえてしまうために燃費に差が出にくい状況となります。また、今回の富士24時間レースのように4時間30分も赤旗中断や10回ものセイフティカー導入となってしまうと、全体のレース距離も短くなってしまうことでますます燃費の優位性が損なわれます。
![大雨の中を走るDXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_015-20200917020849-800x533.jpg)
ST-5クラスのディーゼルデミオにとっては、実はドライ路面のペースの速い展開での長距離レースが望まれるところです。とはいえ、大雨の中でペースダウンしたガソリン車とディーゼルデミオでのラップタイムは全くの互角となります。
この大雨の状況下をミスなくやり過ごし燃費が生かせる時間帯にロングランを重ねてしぶとくトップを狙っていく戦い方が必要となってきます。
![DXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_005-20200917020824-800x533.jpg)
6日の5時40分頃に夜明けを迎え、日が高くなるにつれ雨も弱まってきます。午前10時頃には路面も乾き始めペースも上がってきます。この頃になるとライバルは1時間強おきにピットインとなりますがディーゼルデミオは2時間弱で1回というペース。
![J'S RACING☆FITとDXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_007-20200917020829-800x533.jpg)
正午を過ぎ、あと3時間というところでトップのJ’S RACING☆FITとディーゼルのDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dはほぼ同一周回を走るという激戦となってきます。
![DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dの給油](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_019-20200917020900-800x533.jpg)
そして13時過ぎころに最後の給油を終えてコースに復帰、レースの残り時間である2時間弱をノンストップで走り切ろうという作戦です。
![DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dの優勝の瞬間](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_001-20200917020814-800x533.jpg)
最後のロングランで見事に逃げ切ったディーゼルのDXLワコーズNOPROデミオSKY-D。ST-5クラスの優勝を飾りました。
![ピットロードでチームメンバーの祝福を受けるDXLワコーズNOPROデミオSKY-D](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_011-20200917020839-800x533.jpg)
村上モータースMAZDAロードスターの2連覇に続きディーゼルデミオDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dの初優勝で、マツダはスーパー耐久での富士24時間レースのST-5クラスを3連覇したことになります。
![TEAM NOPROのレースクイーン](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_010-20200917020837-800x533.jpg)
コンパクトカーとオープンスポーツの両方を1500ccで出しているメーカーはマツダしかない…と言えばそれまでですが、ディーゼルにもMT車を用意しスポーツ志向を強めていることでロードスターのスローガンである「人馬一体」がデミオなどにも通じていることが3連覇の大きな要因と言えるのではないでしょうか?
![TEAM NOPROの優勝記念写真](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_002-20200917020816-800x533.jpg)
コロナ禍でスケジュールに大きな変更が余儀なくされてはいますが、ピレリスーパー耐久シリーズ2020はこの富士24時間を開幕戦として全6戦を開催することが決まっており、最終戦は年明けの鈴鹿戦となります。
![表彰台で優勝を喜ぶTEAM NOPROのドライバー](https://clicccar.com/uploads/2020/09/17/20fuji24h_020-20200917020903-800x533.jpg)
ここ数年、総じてマツダが強いとされるスーパー耐久のST-5クラスですが、次戦は魔物が棲むというスポーツランドSUGO。戦局はどのように動くのでしょうか?
(写真・文:松永和浩)