レトロと未来の融合。フェアレディZ プロトタイプの新しいデザインとは?

9月16日、日産は「フェアレディZ プロトタイプ」をオンラインイベントにて世界公開しました。事業構造改革ニッサンネクストの重要モデルと位置づけられる同車について、さっそくエクステリアデザインのチェックをしてみましょう。

●初代をモチーフにしたシルエット

フェアレディZ・メイン
初代S30型をモチーフにしたフォルムはレトロと未来の融合

グローバルデザイン担当専務執行役員のアルフォンソ アルバイサ氏によれば、日本のデザインチームによるプロトタイプはレトロモダンとフューチャリズムの融合として、初代であるS30型のシルエットや前後のモチーフを引き継いだといいます。

なるほど、どこかレトロなイメージを持つフォルムですが、同時に近年のZ32型以降の基本シルエットも踏襲しているようです。ちなみにサイズは現行のZ34型比で122mm長く、50mm広く、5mm低いという、最近のモデルチェンジの流れに沿ったものです(ホイールベースは不明)。

フェアレディZ・サイド
初代とともに、Z32型以降のスタイルも取り入れたサイドビュー

フロントランプは「240ZG」のドーム型レンズをモチーフに、内部は半円を上下に組み合わせたLEDタイプです。外形はアーモンド形状ですが、内側をフードのライン沿って鋭角にカット。「エッジと丸さの組み合わせ」が特長という言葉のとおり、グリルもまたカチッとした長方形となっています。

ちなみに、公開された新色のイエローのボディでは陰影が弱く、とくにフロント周りはノッペリとした顔に見えますが、よく観察するとボンネットフード上の五角形やセンターのライン、ランプやグリル周りの丁寧な面取り、バンパー両端の縦ラインなど、かなり細かい部分まで手が入っていることが分かります。

フェアレディZ・ナナメリア
キャラクターラインと豊かなフェンダーの融合が新しい提案

サイドボディでは、緩やかに下がるキャラクターラインと、ドア下の大きな折りがボディに「絞り」を与えているのが特長。とくに明快なキャラクターラインは歴代でも使われいないだけに、かなり思い切った表現と言えます。また「刀」を想起させる長い金属モールは、ブラックルーフとの組み合わせではアクセントとして効果を上げているようです。

フェアレディZ・フロント
アーモンド形のヘッドランプはフードのラインで鋭角にカットされる

●イエロー以外の色にも期待

切り落とされたリアもまたS30型がモチーフとされますが、実はリアパネル自体あまり高さはありません。したがって、Z32型などをモチーフとしたランプ一体型のブラックガーニッシュもより薄型となっており、これが先進感を与えているのがユニークです。ちなみに、このリアビューはかつてのコンセプトカー「MID4」も思い起こさせるもの。

今回はプロトタイプですが、デザイン的にはほぼ完成しているとのことです。初代を意識したレトロモダンということだけでなく、シャープなキャラクターラインや絞り込んだボディなど、歴代にはない造形に大きく踏み込んだのが次期フェアレディZと言えそうです。

フェアレディZ・リア
ブラックのガーニッシュはZ32型などがモチーフ。

それも含め、たとえばシルバーやガンメタ、あるいは濃色系など、今回のイエローとは異なるボディカラーで見ると、その特徴的な造形がより一層明快に伝わって来るのではないでしょうか。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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