●悪天候に翻弄され続けた大荒れのレース。チェッカードライバーを担当して気持ちを新たに
9月5日・6日、スーパー耐久の開幕戦が「NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」として開催され、私はチーム「OVER DRIVE」から66号車「odula TONE Idia ロードスター」を駆ってST-5クラスに出場しました。
実はスーパー耐久は初参戦でしたが、それに加えてコロナ禍で日程が大幅にずれ込んで開幕戦がいきなりの富士24時間耐久となり、さらに台風10号の影響を受けて悪天候にも翻弄され続けた大荒れのレースになりました。
チーム「OVERDRIVE」はオーナー兼ドライバーの武地孝幸さんら、私を含めて6人のドライバー構成で、当初のプランでは私は19時30分~、22時30分~とナイトセッションで2スティント、そして翌日の昼間にもう1スティントを走ることになっていました。
ところが、レース開始から夜に入って間もなく、雨のため4時間に渡る赤旗中断…
やっと22時30分にレース再開となったものの、その後SC(セーフティカー)やFCY(フルコースイエロー)がひっきりなしに入り、結局私の出番がやって来たのは午前4時。あたりはまだ暗く、しかも激しい雨の超ヘビーウエットの中という、なかなか厳しいS耐デビューランとなりました。
約1時間30分のスティントが終わる頃には夜が白々と明け始め、やっと雨が小降りになって来ました。そしてドライバー交代してマシンを降りた私の頭の上には大きな虹がかかって、まるで私のデビューランを祝ってくれているかのようでした。
しかしその後、日の出とともに疲れきったチームクルー、そしてドライバーたちに今度は猛暑が襲いかかります。
ドライ路面から何の前触れもなく雨が降ったり止んだりと、タイヤの選択に悩むことは幾度となくありましたが、スタッフはスマホのお天気アプリを読み取りながら、そしてドライバーたちは辛抱強くバトンを繋げていきました。
チェッカーまであと1時間30分となった13時30分、光栄にもチェッカードライバーとして私にバトンが渡りました。
それまで我がチームは数々のアクシデントやトラブルに見舞われましたが、私が最後のスティントを走り切ることで、24時間「完走」という目標が達せられると強く自分に言い聞かせながら、慎重かつ1秒でも速く走るよう、チーム一丸となって頑張りました。
ここでは2018年、2019年にニュルブルクリンク(独)の耐久レース(VLN)を走らせて頂いた経験がすごく役に経ったことを実感しました。そして、24時間を完走したという達成感をチームと共有できたことは、何事にも代えられない喜びとなりました。
今回、S耐24時間を走るチャンスを頂いたTONEさん、ピップさんらスポンサー各社、そしてともに戦ってくれたチームスタッフやドライバーの皆さんに深く感謝しています。
この経験をもとに、これからもドライバーとして成長していけるように頑張ろうと気持ちを新たにしています。また、コロナ禍の中、いろいろな制限がありながらもこの大会を開催頂いた関係者の皆様の労をねぎらいたいと思います。
(塚本奈々美)