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■トヨタの完全子会社となり、トヨタのノウハウを生かして小型車の開発を担当
●使い勝手や実用性などを重視したユーザー層を絞ったクルマづくりが特徴
ダイハツは、2007年以降(2014年を除く)スズキとの激しいシェア争いを制して軽自動車販売のトップの座を占めています。スズキに比べると比較的保守的なイメージですが、トヨタのような堅実な戦略が特徴です。
2016年にトヨタの完全子会社となったダイハツのこれまでの歩みについて、解説していきます。
●会社概要と業績
ダイハツは、2016年トヨタの完全子会社となりました。
・会社名:ダイハツ工業株式会社
・取締役社長:奥平総一郎
・創立:1907年
・資本金(2019.3現在):284億435万円
・従業員数(2019.3現在):連結4万4472人、単独1万3114人
・販売台数:147万台(2019.1~2019.12)
●起源
ダイハツの起源は、1907年に設立された発動機製造株式会社です。
同年に、国産初の6馬力吸入ガス発動機を製作し、1930年に自社製エンジンを搭載した3輪自動車のHA型を発売して自動車市場に参入しました。
4輪車としては1937年にFA型を発売していますが、本格的に移行したのは1960年代に入ってからのHC型/HD型/HE型です。
●メーカーとしての歩み
1951年ダイハツ工業に改称し、1957年に軽3輪のミゼットを、1963年には4輪のコンパーノを発売して乗用車分野に参入しました。保守的なイメージの強いダイハツですが、1965年にはEVの開発に着手、またコンパーノスパイダーやシャレードでモータースポーツに積極的に参加していた時期がありました。
1967年に、トヨタはダイハツの株の過半数を取得して子会社化。2016年には、ダイハツの持ち株すべてがトヨタ株に交換され、ダイハツは上場を廃止してトヨタの完全子会社になりました。
2010年代に入り、各社がニューモデルを投入して空前の軽自動車ブームが起こりました。その結果、スズキと日産・三菱で熾烈な燃費競争が勃発しましたが、そのような中ダイハツは軽のシェアトップの座を維持し続けました。
●往年の代表的なモデル
1931年に発売したHA型3輪車に始まり、1957年の軽3輪のミゼットが大ヒットし、ダイハツの乗用車の歴史が幕開けました。
・1960年、現在もコンスタントに売れている軽貨物車の初代ハイゼットが登場
・1963年コンパーノのバン、1964年にはセダンのベルリーナを発売して4輪乗用車にも進出
・1966年、軽乗用車フェローを発売。水冷2ストロークで4輪独立懸架を採用して軽自動車としては当時画期的な100km/hでの巡行を実現
1967年トヨタと業務提携を結び、協業のメリットを生かした開発を進めました。
・1969年、トヨタの小型乗用車パブリカのボディを流用したコンソルテを発売
・1974年、カローラをベースにしたシャルマンを発売
・1977年には、ダイハツオリジナルのシャレードが登場
●最近の代表的モデル
1980年代から、ダイハツとスズキとの激しいシェア争いが始まりました。
・1980年、ロングセラーのミラを発売。長らくスズキのアルトと熾烈なトップ争いをして、1991年には当時の国内通年最多販売台数を記録しました。
・1995年、トールワゴンのムーヴを発売。左右独立スライドリアシートや横開きバックドアの採用、ターボモデルの採用などスズキのワゴンRを意識した仕様をアピール
・2002年、2シーターオープンのコペンが登場
・2003年のスーパーハイトワゴンのタントを発売、その後もモデルチェンジを繰り返して人気を堅持
・2014年には、新たなボディ構造と脱着構造が特長の2代目コペンが登場
・2020年、スズキハスラーに対抗してタフトを発売
2010年頃から、従来の安くて扱いやすい軽自動車のイメージが大きく変わりました。普通乗用車に負けない居住空間や乗り心地、性能が求められるようになり、激しい燃費競争も起こりました。
トヨタとスズキとの資本提携が合意され、今後のダイハツとスズキの役割や棲み分けなどが注目されています。
(Mr.ソラン)