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■ETCカード未挿入のうっかりミスが圧倒的に多い
高速道路料金所のETC専用レーンは、基本的に減速するだけで停止せずに通過することが可能です(ETC専用スマートICを除く)。ところが、たまにバーが開かずに立ち往生しているクルマを見かけます。
ETC専用レーンでバーが開かず停車してしまうことの原因には、ETC未装着車が専用レーンに誤って進入するケースやETCカードの期限切れや車載器の故障などが考えられますが、実際は全体の半数以上がETCカードの挿し忘れだといわれています。
たとえば、九州の福岡都市高速と北九州都市高速の両方で、2019年(令和元年)度中にバーが開かず停車した件数は合計で14万6600件/1年にもおよび、そのうち64%以上がETCカード未挿入が原因だったそうです。
つまり、ほとんどが「うっかり」ミスによるものなのですが、逆にいえば、こういったことは誰にでも起こりうることでもあります。そこで、ここでは実際にもし自分がETC専用レーンで立ち往生してしまったらどうすべきかなど、ETC関連のトラブル対処法を紹介します。
●ETCカード未挿入の警告を確認
まずは、事前にできることから紹介します。高速道路を利用する予定があれば、クルマで走り出す前にETCカードを車載器に挿入しているかどうか確認するのは当然ですが、それ以外にも確認する手段があります。
それは、各高速道路の料金所手前や入口、SA・PAからの流出後などに設置されている「ETCカード未挿入お知らせアンテナ」による情報を確認することです。
このアンテナは、ETCカードの挿し忘れや挿し込み不良があった場合には、車載器から音声や信号音などで不具合を知らせるためのもの。
そういった不具合があった場合、音声対応の車載器であれば「ETCカードが挿入されていません」といった声で知らせますし、音声機能がない車載器の場合はインジケーターが点滅するなどで未挿入を知らせます。
日頃から高速道路を出入りする時やSA・PAに立ち寄った際に、この警告を気にする習慣をつけておけば、ETC未挿入によるうっかりミスはかなり防げます。もし、料金所の入口手前で「ETCカードの未挿入」が判明したら、安全な場所に停車してETCカードを車載器に入れるのが一番。
ですが、もしそういった余裕がない場合は「一般」または「ETC/一般」のレーンを利用しましょう。この場合は通行券が発行されますので、出口でも「一般」または「ETC/一般」のレーンに入り、その券を出し精算することになります。
ちなみに、ETC専用レーン手前で慌てて「一般」または「ETC/一般」のレーンに移ろうと、急な車線変更をしたり停車するのは御法度。後続車との接触事故などの原因になりますから、落ち着いて徐行しながら走行しましょう。
●急いでカードを入れても反応しない時もある
それでも、ETCカード未挿入のまま専用レーンに入ってバーが開かなかった時。前述の警告に気づかなかった場合はもちろんですが、他にも、料金所手前で警告によりETCカード未挿入に気づき、急いでカードを探して車載器に入れながらETCレーンに入った場合などが考えられます。
そういった場合に、ドライバーはギリギリ間に合ったと思っても、車載器がカードを読み込む時間があるため、それが終了する前に専用レーンに入るとやはり「未挿入」と認識されてしまいます。
ETC専用レーンに入りバーが開かなかった時は、まず、大前提として絶対にバックは禁物。後続車に追突されるおそれがあるからです。慌てずにその場に停車して、追突事故防止のためハザードランプを点灯、レーンに設置してあるインターホンや呼び出しブザーで料金所係員を呼び出して案内に従いましょう。
料金所入口でそういった事態になったら、まず呼び出した係員から通行券を発行してもらいます。そして出口では、「一般」または「ETC/一般」のレーンに入り、通行券とETCカードを出すとETCでの支払いが可能となります(出口が料金精算機しかない場合は、通行券とETCカードを挿入すればOK)。
また、料金所入口ではETCで高速道路に入ったものの、途中のSAやPAでカードを抜き差ししたなどで、車載器との接触エラーや未挿入になったまま出口に来てしまった場合。
この時も、もし警告で事前にカード未挿入の状態だと分かっていれば、「一般」または「ETC/一般」のレーンに入り、係員に事情を説明すれば精算の処理をしてくれます。
さらに、料金所入口をETCで通過、カード未挿入の状態に気づかず出口のETC専用レーンに入って、バーが開かなかった場合。この場合も、入口の時と同じで、慌てずにその場に停車し、係員をインターホンなどで呼び出しましょう。
係員がバーを開き、ゲートを出た周辺の安全な場所に停車するなどの指示をしてくれるのでそれに従い、ETCカードを渡せば敷地内の事務所などで精算処理をしてカードを返却してくれます。
ちなみに、料金所出口でバーが開かなかったのに通過したり、一般レーンを通過した場合には「料金未払い」扱いになります。その場合は高速道路の運営会社に連絡して、後日料金を支払いましょう。
もし、連絡せずにそのままにしていて、料金所に設置してある監視カメラで車両を特定されると、道路整備特別措置法により不正通行とみなされます。警察に通報され、30万円以下の罰金が科せられるとともに、不正に支払わなかった通行料金と割増金(通行料金の3倍相当)も支払わなければならないなど、重い罰則が課せられます。
便利なはずの高速道路のETCにも、様々な落とし穴があることがお分かりでしょうか。最初はうっかりミスだったとしても、料金所で慌てたことで事故になったり、「大丈夫だろう」と通行料金を払わず多額の罰金を請求されることにならないよう、十分注意したいものです。
(文/写真:平塚直樹)