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■飛行機技術をベースにした安全性や信頼性重視のクルマづくり
●近年はアイサイトに代表される安全支援技術で業界をリード
スバルの2019年の販売台数は世界第18位でした。筆頭株主のトヨタと連携して効率的な開発を進める一方で、スバルの強みである水平対向エンジンや4WD技術、安全運転支援技術などの独自の個性的なクルマづくりは健在です。
自動車メーカーの中で「選択と集中」を徹底させているスバルのこれまでの歩みについて、解説していきます。
●会社概要と業績
2017年4月、富士重工からSUBARUに社名を変更しました。
・会社名:株式会社SUBARU
・代表取締役社長:中村知美
・創立:1953年
・資本金(2019.3現在):1537億9500万円
・従業員数(2019.3現在):連結3万3554人、単独1万4879人
・販売台数:100万台(2019.1~2019.12)
●起源
富士重工の起源は、元海軍機関大尉の中島知久平が創立した「飛行機研究所」です。
飛行機研究所は1919年に「中島飛行機製作所」になりましたが、終戦とともに飛行機の生産を停止し、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により15社に分割されました。
一旦分割されたものの、1950年にその中枢が富士産業として再出発し、さらに1953年には飛行機と新たな自動車開発のため、富士重工業が設立されました。
●メーカーとしての歩み
最初に手がけたのは1954年の「ふじ号(バス)」です。ボンネットバスが主流の時代に、国産初のフレームレス構造のモノコックボディを採用し、エンジンをリアに搭載することでボンネットをなくして、客室のスペース効率を上げました。
飛行機製作から始まった富士重工業は、航空機技術をベースにした技術の高さが売りでした。早い時期にモノコックボディや水平対向エンジン、4WDなどを採用して技術をアピールしました。
現在は、筆頭株主のトヨタ自動車を迎えて効率的な開発をしながら、独自性のある商品を投入。他社に先行した安全運転支援技術「アイサイト」は、市場でも高い評価を得ています。
●往年の代表的なモデル
1958年デビューのスバル360は、RRレイアウトを採用することで軽自動車としては初の4人乗車を実現。実用性の高さに加え低価格で、しかも「てんとう虫」と呼ばれた卵型のスタイルが人気を呼び大ヒットになりました。
・1966年、FFレイアウトで水平対向エンジン搭載の小型車スバル1000を発売
・1971年、スバル1000の後継車としてレオーネを発売、ジープタイプでない世界初の量産4WDシステムを採用、続いて1972年にエステートバン、1975年にセダンに4WDを設定
・1977年、レックス550で当時もっとも厳しかった「昭和53年排ガス規制」に適合
・1985年、リトラクタブルライトのアルシオーネを発売
●最近の代表的モデル
1980年代経営不振の富士重工を救ったのは、1989年発売のレガシィです。水平対向エンジンに4WD、ステーションワゴンの設定などが人気を博し、久々のヒットとなりました。
・1991年、高級クーペのアルシオーネSVXを発売
1992年には、インプレッサが登場。ほどよいサイズのセダンと「スポーツワゴン」と呼ばれたステーションワゴンが人気となり、その後長く人気ブランドなりました。4WDターボのスポーティなWRXは、世界ラリー選手権の活躍もあり、イメージリーダーとなりました。
・2008年、4代目レガシィに先進安全技術「アイサイト」を設定
・2010年、レガシィやインプレッサの派生車としてXVを投入
・2012年、トヨタと共同開発したFRスポーツカーBRZを発売(トヨタは、トヨタ86として発売)
・2014年、直噴ターボ、「アイサイトver.3」搭載のレヴォーグを発売
・2015年、SUVとして人気の5代目フォレスター発売
スバルの技術には、中島飛行機を源流とする高い信頼性と安全性へのこだわりが受け継がれています。それが、今日の水平対向エンジンや4WD、アイサイトの安全運転支援技術などの個性的な技術に生かされています。
(Mr.ソラン)