初めてでも失敗しない中古車の購入法がココにある!
2020年9月8日、トヨタ自動車は中古車をオンラインで注文できる「トヨタ中古車オンラインストア」を開始しました。
このサービスの開始は、2020年4月に発表されたトヨタの中古車事業強化策の一環で、T-Valueをはじめ、4つに区分されていた中古車ブランドを「トヨタ認定中古車」に統一。
同時に行ったトヨタ公式中古車サイトのデザイン一新に続く、第三のサービスがオンラインで商談・注文できる「トヨタ中古車オンラインストア」となります。
新車は工場から出荷されるため品質は一定ですが、中古車は「一物一価」と言われているように、同じ車種、年式、グレードであっても1台1台、使われ方やメンテナンスの頻度に差があるため、同じ個体は存在しません。
そのため、「中古車選びは販売店選び」と言われるほどで、どの販売店で購入するかがその後のカーライフに大きく影響を及ぼすのです。筆者は20年以上に渡って中古車専門媒体の編集部員でしたので、グレーな部分の多い中古車業界との長い格闘をよく知っています。
オトリ広告(実際にはすでに売れてしまった中古車をまだ存在しているようにしてユーザーを獲得する)や、メーターの走行距離巻き戻しの撲滅させるための車体番号の表示をはじめ、修復歴の表示や、現在では当たり前のようになっている評価点の表示など、ユーザーのために血のにじむような努力をしてきたのを見てきました。
また、編集ページでも「チェックポイント○○」といった、ユーザーを保護するための記事も山のように作りました。なぜそんなことをしなければならないのか。それは掲載している販売店全てが良い店であるとは限らないからです。
中古車販売店には大きく2種類あり、いわゆる自動車メーカーの看板を掲げるディーラー系販売店と一般的な専業店と言われるものに分けられます。それぞれメリットとデメリットがあり、ディーラー系販売店の特徴は品質も高く、保証も付いているけれども価格が高い。下取り車が中心のため、人気の高いクルマが少ないと言われていました。
しかし今回開始された「トヨタ中古車オンラインストア」は、トヨタ販売店が取り扱う一部の中古車を、見積もりから契約までオンラインで完結できるサービス。その結果、来店の手間がなく、24時間365日いつでも注文可能となっています。
決済方法も銀行振込に加えて分割払いも選ぶことができ、分割払いを選んだ場合は審査もオンラインで実施できるというのがポイントです。販売店に行くのは納車時のみという画期的なサービスなのです。
対象車型は広く、コンパクトカーやミニバンなどで展開。
エリアは現在のところ関東、関西、東海に絞られており、掲載台数も約200台にとどまっていますが、年内に500台を目指し、将来は5万台の販売を目標としています。中古車情報は2週間に1度クリアされるため、ユーザーはいつでもフレッシュな情報が入手できるというのも嬉しいところです。
●新サービスのメリットとは?
個人的にこの新サービスである「トヨタ中古車オンラインストア」の素晴らしいと思うポイントは、低価格車にキチンとした保証を付けて販売していることです。サイトを見ると、本体価格に諸費用を加えた、実際に街を走ることができるようになるまでの支払総額が掲載されていますが、50万円以下という低価格の中古車が多く掲載されています。
これまで、ディーラー系販売店はこういった価格の安い下取り車はオークションに流してしまうのが一般的でした。しかしこの「トヨタ中古車オンラインストア」が掲載しているのは、街のディーラーが扱っている中古車ではなく、トヨタ自動車の子会社であるトヨタユーゼックが扱っている中古車なので、この「トヨタ中古車オンラインストア」でしか購入することができません。
これは一般的なディーラー系販売店では売りにくい、走行距離の延びたクルマや人気のないボディカラーのクルマなどをトヨタユーゼックが引き取り、クリーニングや12カ月点検相当の整備を行い、1年間・走行距離無制限の「ロングラン保証」を付けて販売するという、これまでのディーラー系販売店とは全く異なる販売方法なのです。
わかりやすく言い直すと、ディーラー系販売店は地方自治体。トヨタ自動車本体は国です。そのように例えると、行える施策のスケールが大きく異なります。この「トヨタ中古車オンラインストア」はトヨタ自動車が展開するサービスなので、これまでの規模感とは大きく異なるというわけです。
価格の安い中古車は、初めてクルマを購入するというユーザーが選ぶことが多い商品。最初に購入した中古車がトラブル続きなんてことになれば、2度と中古車は選ばない! という中古車アレルギーになってしまうでしょう。
この「トヨタ中古車オンラインストア」はそういったビギナーにも「低価格車でも安心・安全を提供する」という、まさに画期的にして中古車購入維新とも言えるサービスなのです。
なぜそのようなことが言えるかというと、掲載されている約200台のクルマはすべて整備済み、保証付きのクルマだからです。
そしてクルマに詳しくない人でもこの「トヨタ中古車オンラインストア」でクルマを検索すれば、自動的に保証付きの中古車が低価格で手に入れられるからです。現在は低価格車を中心に展開されていますが、今後は車種も拡大していくとのこと。
もしかすると、パーツを再販した70系、80系スープラのレストア済み中古車なども扱うかも・・・と期待が膨らむばかりです。
豊田社長が良くおっしゃる「もっと良いクルマ作ろうよ」は、これまで新車に対しての言葉と思っていましたが、この新サービス「トヨタ中古車オンラインストア」の開始によって中古車にも当てはまると思いました。
新車だけではなく、中古車でも安心・安全を提供してトヨタファンの拡大を狙っているとことでしょう。
これは自動車業界の巨人であるトヨタが中古車事業に本格的に進撃を開始したと言うことです。
(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車、萩原文博)