■プラットフォーム共有による規模の拡大、パフォーマンスの向上を検討
ゼネラルモーターズ(GM)とホンダは、2020年9月3日、北米市場での協業を燃料電池やEV以外にも拡大し、内燃機関エンジン(ガソリンエンジンなど)、電動パワートレーンを含めたプラットフォームの共有に向けた検討を開始する予定と発表しました。
GMとホンダの関係は20年以上前にスタートしていて、燃料電池やバッテリー、自動運転モビリティサービス事業専用車「Cruise Origin(クルーズ オリジン)」といった協業に取り組んでいます。
以前お伝えしたように、北米で発売されるホンダ・ブランドのEVは、GM製プラットフォーム、次世代電池の「アルティウムバッテリー」を共同開発する検討にある、とアナウンス済みです。
両社は北米四輪事業でのアライアンス確立に向け、幅広い協業の検討を始める覚書を締結。北米で各ブランドで販売される車両向けの研究開発をはじめ、共同購買、コネクテッドサービスなどの領域で協業の可能性を検討していくそうです。
■GMのグローバルEVプラットフォームを使ってホンダ製EV2モデルを北米に投入
また、同アライアンスで両社は北米の複数のセグメントにおいて、内燃機関エンジンと電動パワートレーンを含めたプラットフォームの共有に向けた検討を開始する予定としています。今後、早い段階で共同開発に向けた議論が開始され、2021年年初での共同作業開始を目指していくとしています。ただし、気になる資本提携についてこの発表では触れられていません。
同協業は、2020年4月に両社が発表した「アルティウムバッテリー」を搭載したGMのグローバルEVプラットフォームをベースに、ホンダ向けの新型電気自動車(EV)2車種を共同開発する内容を基に合意したそうで、EVのみならずガソリンエンジンにも拡大されたようです。
検討されている内容は、まず「プラットフォーム共有による規模の拡大、パフォーマンスの向上」が挙げられています。
両社間の北米での戦略的アライアンスを通じて、車両のプラットフォーム、パワートレーンの共有、共同購買、生産効率、そして様々な領域での協業に取り組み、ベストな技術とコスト効率の向上を目指します。これにより、両社は、次世代の先進技術領域へ多くの投資を行うことが可能になるとしています。
今回、資本提携には触れられていませんが、両社は将来、共同で開発するプラットフォーム、パワートレーンに関する研究開発費用を共同で負担することも検討しているそう。これにより両社は、求められている将来のモビリティ領域や既存四輪ビジネスのさらなる成長への投資に向けて、大幅な経営効率向上、資本の有効活用が可能になるとしています。
規模と効率を高めるための共同購買も検討項目。両社それぞれの規模、知見、そして標準化手法を活用することで、さらなるコスト効率化を検討するそう。共同購買では、部品の共同調達、物流、地域ごとの戦略立案などを重点的に進めていく予定です。
研究開発とコネクテッドサービス分野における協力も盛り込まれています。同協業では、電子プラットフォーム(自動車の電子制御部品やソフトウェアなどの配置と構成の規則)、次世代ADAS(Advanced Driver Assistance System/先進運転支援システム)、インフォテインメント、コネクティビティ、V2X(Vehicle-to-everything。車車間/路車間通信の略)などの先進技術分野に関する研究開発を両社で行う可能性も検討するとしています。
2020年4月に両社は、GMのコネクテッドサービス「OnStar(オンスター)」の「セーフティ アンド セキュリティ」機能を、ホンダ向けの新型EV二車種に組み込み、「HondaLink(ホンダリンク)」に統合することも発表されています。
同機能統合をベースに、両社での「OnStar」活用を検討すると共に、インフォテインメントを含む将来のコネクテッドサービスについても、共同開発の可能性を両社で検討するそう。なお、同協業は、両社の上級幹部で構成された合同ガバナンス委員会によって運営するとしています。
(塚田勝弘)