最新技術の「走る見本市」。クーペ風味を感じさせる丸みを帯びた新型Sクラスが登場

■第2世代の「MBUX」と5つのディスプレイを並べたインパネ

メルセデス・ベンツSクラス
新型メルセデス・ベンツSクラスのエクステリア

メルセデス・ベンツは、新型Sクラスをドイツ本国で発表しました。ドイツ国内では2020年9月中旬からオーダーが可能で、2020年12月には販売店に並ぶ予定。

新技術の見本市といえるような充実ぶりで、まず第2世代の対話型インフォテイメントシステムである「MBUX」が搭載されています。インパネには、最大5つのスクリーンが搭載されていて、その中には有機EL技術が採用されたパネルもあります。新しい3Dドライバーディスプレイは、ボタンに触れるだけで非常にリアルな3D効果でシーンの空間認識が可能になるそう。

メルセデス・ベンツSクラス
新型メルセデス・ベンツSクラスは、クーペのような流麗なリヤエンドが目を惹く

同様に目を惹くのは、拡張現実のコンテンツを表示する非常に大きなヘッドアップディスプレイです。

メルセデス・ベンツ
新型メルセデス・ベンツSクラスのインパネ

たとえばナビゲーション時には、アニメーションで表示された矢印が車線上に正確に投影されます。また、ドライバーディスプレイの新しいアシスタンスディスプレイには、運転支援システムの動作が全画面表示として明確に表示されます。

新型Sクラスに搭載されている50以上の電子部品は、新しいソフトウェアの「OTA(Over-the-Air)」アップデートが可能になっています。

「MBUX」インフォテインメントシステムをはじめ、ドライバーディスプレイ、運転支援システム、マルチビームLEDとデジタルライトシステムが含まれます。同技術によってディーラーに入庫する必要が減り、さらに、車両はライフサイクルを通して最新の状態を維持し、新しい機能にアップデート可能になります。

■前方の道路にマーキングエイドや警告シンボルを投影にする最新ヘッドライト

メルセデス・ベンツSクラス
アクティブ・アンビエント・ライティングを採用する

また、アクティブ・アンビエント・ライティングの設定もトピックス。アンビエント・ライティングを追加の光の層で補完するシステムで、約250個のLEDを搭載したアクティブ・アンビエント・ライティングは、運転支援システムに統合。運転支援システムの警告を視覚的に強化するのが狙いだそう。

さらに、クライメートコントロールシステムや「Hey Mercedes」の音声アシスタントを操作する際にもフィードバックが可能です。

メルセデス・ベンツSクラス
最新のデジタルライトを採用する新型Sクラス

また、革新的なヘッドランプ技術であるデジタルライトは、前方の道路にマーキングエイドや警告シンボルを投影するなど、新しい機能が用意されています。各ヘッドランプには、130万個のマイクロミラーで屈折、指向性を持たせた強力な3つのLEDを搭載したライトモジュールを搭載。そのため、解像度は1台あたり260万画素以上になっているそう。

頭上にあるコントロールパネルに設置されたカメラと学習アルゴリズムを使い、「MBUXインテリア・アシスト」が乗員の希望や意図を認識し、予測。頭の向きや手の動き、ボディランゲージを解釈して、対応する車両機能で対応する機能です。

「MBUXインテリア・アシスト」は利便性を高めるだけでなく、安全性も向上。たとえば助手席のチャイルドシートをカメラが検知したにもかかわらず、シートベルトが装着されていない場合など、走行開始前であってもドライバーに通知されます。

さらに、「MBUXスマートホーム」機能により、Sクラスは家庭のコントロールセンターにも早変わりします。エアコンの温度や照明、ローラーブラインド、電化製品を遠隔でモニターし、制御することができます。人感センサーと窓の接点は、歓迎される訪問者や歓迎されない訪問者もユーザーに通知するそう。

パッシブセーフティでも進化が図られています。激しい衝突となる前面衝突時には、リヤエアバッグが後席の外側シートベルト着用者の頭部と頸部にかかる荷重を大幅に軽減。後席エアバッグは、筒状構造が採用された革新的な構造により、とくに穏やかに展開されるそう。

側面衝突の危険性がある場合は、E-アクティブ ボディ コントロールサスペンションにより、コンマ数秒以内に車体を上昇させることが可能。これはPRE-SAFEインパルスサイドの新機能で、衝撃力を車両下部、特に抵抗力のある構造物に向けることで、乗員にかかる荷重を軽減することができます。

●プラグインハイブリッドも設定予定

また、機構面では、リヤアクスルステアリングの採用もトピックスで、新型Sクラスのリヤアクスルの操舵角は最大10度になり、ターニングサークル(最小回転直径)は最大2mも短縮されているそう。新型Sクラスは、2021年後半からドイツの高速道路で、交通量の多い状況などで新しい「ドライブパイロット」により、条件付きの自動運転が可能になる見込みとしています。

メルセデス・ベンツSクラス
新型Sクラスのフロントシート

もちろん、キャビンの快適性向上にも余念がありません。ラウンジのような新型Sクラスには、10種類のマッサージプログラムが用意。助手席での快適性は、最大19個のモーター(調整用8個、マッサージ用4個、換気用5個、ランバーサポート用1個、モニターを反転させて動かすための1個)が担い、音質面では31ものラウドスピーカーと8つのエキサイターを搭載したBurmesterハイエンド4Dサラウンドサウンドシステムが用意されています。

メルセデス・ベンツSクラス
新型Sクラスのリヤシート

ショートホイールベースとロングホイールベースのSクラスの快適性に関連するサイズは、フロントシートだけでなく後席にも及んでいて、よりゆったりした着座感が得られるそう。

なお、気になるパワーユニットについては、複数の出力が設定される直列6気筒ガソリンとディーゼルエンジンが登場時に用意され、将来的には、ISG(スタータージェネレーター)を積むV8エンジンの48Vマイルドハイブリッドモデルを投入予定としています。また、Sクラスのプラグインハイブリッドは最大100kmのEV走行が可能になるとしています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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