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■コストが課題だが、プリウスPHEVが太陽光パネルを搭載
●まだ発電効率が低く、太陽光電池だけでは3~6kmのEV走行が限界
一般住宅や工場の屋根に備え付けられた太陽光パネルが目立つようになり、2017年のプリウスPHEVのルーフには太陽光パネルが搭載されて話題になりました。太陽電池は、光を当てると起電力が発生する光起電力効果を利用した再生可能エネルギーです。
再生可能エネルギーの中で比較的普及が進んでいる太陽電池について、解説していきます。
●太陽電池の仕組み
太陽電池は、光を当てると起電力が発生する光起電力効果を利用したもので、現在実用化されているのはシリコン(Si)系や化合物系の半導体が使われています。
太陽電池は、n型半導体とp型半導体を重ね合わせて、表裏それぞれに電極を設けた構造です。
n型半導体とp型半導体の接合面に光が当たると、マイナスの電荷をもった電子とプラスの電荷をもった正孔が発生します。その結果、電子はn型へ、正孔はp型へ引き寄せられて電流が発生します。光が当たっている間は、連続的に電流が発生して外部回路へ電力が供給され続けます。
●太陽電池の発電効率
太陽光エネルギーをどれくらい電気エネルギーに変化できるかの指標が、太陽電池の変換効率です。変換効率が高いほど、同じ面積の太陽光パネルで多くの電気量が発生できます。
太陽電池の変換効率には、モジュール変換効率とセル変換効率の2つがあります。
・モジュール変換効率
太陽光パネル(電池モジュール)の1平方メートル(m2)当たりの変換効率を表す指標です。
・セル変換効率
セルとは、モジュールを構成する最小単位の電池であり、太陽電池セル1枚当たりの変換効率を表す指標です。
代表的な再生可能エネルギーの変換効率は、以下の通りです。
・太陽光発電(セル):20%
・水力発電:80%
・風力発電:25%
・バイオマス発電:1%
・地熱発電:8%
●プリウスPHEVの太陽電池
2017年発売のプリウスは、量産車初の太陽光発電による充電システムを採用して注目されました。オプション設定ですが、ルーフに合計561セルで最大180Wの太陽電池を搭載して、発電電力を車載リチウムイオン電池に充電します。
太陽光電池の発電量を最大0.58kWh/日、平均で0.28kWh/日と想定すると、プリウスPHEVは1kWhの電力で10.54km走行できるので、太陽電池によって1日最大で6.1km、平均で2.9km走行できます。
太陽電池という再生可能エネルギーを使うことで、走行距離は短いもののその間はWell-to-Wheel(エネルギー源製造から走行までの全過程)CO2量を大きく低減できます。
ただし、プリウスPHEVのオプション価格の設定は28万800円なので、コストパーフォーマンスはまだ不十分なレベルです。
●今後のクルマへの適用
現在太陽電池のほとんどのセルは、変換効率が比較的高い結晶シリコン(Si)系です。
最近、変換効率がシリコン系の2倍近いガリウムヒ素(GaAs)の開発が進展しています。これまでは、製造コストが高くて人工衛星など限られた用途にしか使われていませんでしたが、ここにきて大きくコストを低減する技術開発が進んでいます。
高効率のGaAs系を使えば、1日50~100kmであれば太陽電池だけでEV走行が可能になることが期待されています。
実際に、1日100km近く太陽電池だけで走行可能な中国Hanenergy HoldingのEVやオランダLightyearのEVが出現しています。また、プリウスもシャープ製のGaAs系太陽電池を使った実証試験を始めています。
日本の1次エネルギー供給構成の中で、再生エネルギーの割合は6%程度です。その中で太陽光発電は、徐々に増えつつあります。
現時点は、コストパーフォーマンスに大きな課題が残っている太陽電池ですが、トヨタだけでなく世界中の多くのメーカーがクルマへの適用に取り組み始めています。
(Mr.ソラン)