「Honda e」いよいよ正式発表! 同時にスタートする「”with” Project Honda e」とは?

●4つのテーマによる「”with” Project Honda e」

ホンダは新型EVの「Honda e」を8月27日に発表、10月30日に発売を開始するとしました。オンラインで行われた発表会では、同社の新しい取り組みとして「”with” Project Honda e」の概要も同時公開されました。

話題の新型車の登場に合わせて立ち上げたこのプロジェクトについて、その内容をと意義をリポートします。

Honda e・メイン
いよいよ正式発表となった「Honda e」。これからのホンダを象徴する存在になれるか?

●4つのテーマによるプロジェクト

本田技研工業株式会社 商品ブランド部 商品企画課の河津健男氏によれば、本プロジェクトは「シームレス ライフ クリエイター」をコンセプトとした未来志向の新型EVである「Honda e」によって実現する、未来の生活を提示・提案しようとするもの。

具体的には「防災」「デザイン」「多様な働き方」「アート」と4つのテーマを掲げ、同日スタートされました。

まず、防災については「もしものときも with Honda e」というキーワードを設定。近年相次ぐ大型災害に対し、非常電源としての役割はもとより、WiFiやコネクト機能を備えたリビングのようなインテリアが、「密」を避ける快適な空間になり得るとします。

2つめのデザインでは「未来のクリエイター with Honda e」を提示。理想的なライフスタイルを提案する雑誌「Pen」と連携、デザインやアート、建築、ファッションなどを通して未来を模索します。今後、美大生などを対象に「Honda e」がある未来の風景」をテーマに作品を公募する予定です。

Honda e・ロゴ
新プロジェクトのロゴ。明るい未来を予見する

3つめの多様な働き方では「自分らしい働き方 with Honda e」に。近年の在宅勤務やコワーキングなどを想定、ローカルエリアへの移住を提案します。ここでは、山と海を持つ鎌倉市とコラボしつつ新しい働き方を提案していきます。

最後のアートでは「はじめての地元 with Honda e」を。自分が住む地域をあらためて探訪する「マイクロツーリズム」の流行は、街乗りにピッタリの「Honda e」にそのまま重なります。ここでは、アートを視点に金沢市とのコラボが計画されています。

Honda e・サイド
「シームレス ライフ クリエイター」をコンセプトとした新しい造形

●ブランディングの成功のために

新型車をテーマに、ある種の企業ブランディングを行うのはよくあることです。

実際ホンダでは軽自動車の「Nシリーズ」で先行実施しており、著名なクリエイティブ(アート)・ディレクターである佐藤可士和氏を起用して「N for life」を掲げ、グッズ展開も行っています。

他社では、ダイハツが2代目のコペンの登場に合わせて始めた「LOVE LOCAL」プロジェクトが有名です。偶然にも鎌倉に拠点店舗を設置するなど近い発想を見せますが、カーライフに止まらず、カフェとのコラボなど幅広い展開を行っています。

Honda e・スタッフ
「Honda e」 開発責任者 一瀬智史氏(右)、商品ブランド部 河津健男氏(左)

今回のホンダの取り組みは、開発コンセプトの「ライフ」や「クリエイター」に基づき、生活の中でもより創造的な面を押し出しているのが特長です。その点では、いま現在の時流により近い活動内容といえそうです。

肝心なのは、この流れを紹介の4つの活動で終わらせないことでしょう。「Honda e」は単に新型EVという存在ではなく、ここしばらく続いてきた開発の迷走を一新する新生ホンダのシンボルです。

すでに新しい流れを感じさせる新型N-WGNやフィットに続き、本当の意味での原点回帰を成し遂げるプロダクトを送り出し、その世界観を発信し続けることが必要である筈です。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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