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●保証人と聞くと怖いイメージも。保証人とはどういう仕組みなのか
住宅ローンやマイカーローンなどの大きなお金を借りる時、普段聞きなれない言葉や、仕組みを耳にしたり目にしたりすることが多くあるでしょう。中でも「保証人の有無」というのは、ローンを組む側にとって、大きな障壁となる可能性があります。
今回は、マイカーローンやディーラーでのクレジット契約を結ぶ際の保証人という仕組みや役割について、金融業界にいた元自動車ディーラー営業マンの筆者が解説していきます。
・保証人とは一体何者なのか
保証人とは、主債務者が返済できなくなった債務を代わりに返済する義務を負う人のことを指します。
保証人と連帯保証人という2つの区分けがありますが、現在では一口に保証人というと「連帯保証人」のことを指すケースが多いです。販売店の営業マンや、銀行員から「保証人」という言葉が出てきたら、連帯保証人のことだと思ってさしつかえありません。
連帯保証人とは、借り入れの契約をした本人が返済を行わない場合(行えない場合)に、代わりに返済の義務を負う人のことを指します。
現在、多くの銀行で運用されているマイカーローンは無担保保証付きのものが多く、連帯保証人を付けるケースは非常に稀です。これは保証会社という連帯保証人の代わりをしてくれる存在があり、その会社と銀行が保証契約を結ぶことで、万が一債務者が支払いできない状況になっても保証会社へ債権の請求をできるようにする仕組みです。
保証会社があるため、連帯保証人を必要とするケースはかなり少なくなっているのが実情です。
自動車ディーラーでのクレジット契約では、クルマの所有権が留保される(ローンの期間中は自動車販売店などになる)ことで、クルマを担保にとっている状況になります。所有権留保が主流になっているので、こちらも連帯保証人を付けなければならない契約は少ないでしょう。
また、任侠映画などであるような友人の連帯保証人になってしまい借金の肩代わりをしなければならないといったような運用は、現在ほとんど行っていません。連帯保証人になるのは、債務者本人と非常に強い関係性を持つ人、もしくは親族などに限られて運用されているケースが多いようです。
・保証人が必要になるケースとは
現在、連帯保証人が必要となるケースは、大きく分けて2つです。
1.ローン契約者が未成年の場合
2.ローン契約者が法人の場合
1.の具体的なケースは「19歳になって仕事をするようになり、クルマが必要になりました。自分でローンを組んでクルマを購入しようとしましたが、連帯保証人を求められた」というケースです。
未成年者のローン契約の場合では、仕事をしていて安定した収入があっても、親権者が連帯保証人になることを求められます。学生やアルバイトなどの場合も同様に、親権者(保護者)が連帯保証人になることが多いでしょう。
2.の具体的なケースは、法人名義でのクルマの購入にかかるローン契約が発生した場合です。この場合、ローンを組む債務者は法人となりますが、法人の代表者が連帯保証人になることが求められます。このケースは必ずと言っていいほど連帯保証人が必要となります。
これ以外にも、借入金額が大きい、収入が足りないなどの理由で連帯保証人を求められるケースがありますが、現在ではレアケースになります。借入金額や収入の面で、審査上の問題がある場合は、頭金を増やすように促される(借入金額を減らすように促される)場合が多く、すぐに連帯保証人を要求されることは多くありません。
現在のクルマのローン申し込みから審査までのスキームでは、未成年・法人を除けば連帯保証人を追加するように言われることは、ほとんど無いと考えて良いでしょう。
・まとめ
クルマのローンと保証人について解説してきました。現在ではあまり使わることのない連帯保証人の仕組みですが、未成年や法人のケースに限っては、普通に使われている制度になります。連帯保証人の必要性と役割をしっかりと理解し、ローン契約を結ぶ必要があります。
連帯保証人といわれても驚かないように、しっかりとした知識を身につけておきましょう。
(文:佐々木 亘)