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■ベンツAクラスの「ハイ、メルセデス!」は、TV-CMでAI技術をアピール
●各メーカーは、自動運転とともにインフォテインメント(情報+娯楽)技術に取り組み中
AI(人工知能)のクルマへの主要な適用例としては、運転支援を含めた自動運転とインフォテインメント(情報+娯楽)などがあり、すでに多くのメーカーで採用が進んでいます。
主要メーカーのAIの取り組みとその内容について、解説していきます。
●AI(人工知能)とは
AI(Artificial Intelligence)は、一般には「人間の知能、あるいはそれ以上の知能を機械によって実現したもの」「人間の知的営みをコンピュータに行わせるための技術」などのことを指しますが、厳密な定義はないようです。
現在実用化されているAIの中心的存在は、ディープラーニングと呼ばれる機械学習です。ディープラーニングは、従来の機械学習に多層構造にしたニューラルネットワークの技術を応用して開発されました。
機械学習とは、人間のようにコンピュータに自ら学習する機能を持たせた技術です。また、ニューラルネットワークとは、人間の脳が情報を伝える仕組みをコンピュータプログラムで模倣した数学モデルです。
クルマへの適用例としては、画像認識、音声認識、自然言語処理、異常検知などがあります。
●主要メーカーのAI活用の取組み
現在クルマに搭載するAI業界を席巻しているのが、米国の半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)です。ゲームやパソコンのGPUで有名ですが、現在はクルマの自動運転に欠かせない存在です。
AIのディープラーニングによって、高速の画像処理など自動運転のためのプラットフォームを提供しています。ほとんどの欧州メーカーが採用し、日本でもトヨタやスバルが採用を発表しています。
・メルセデス・ベンツ
新型AクラスのTVコマーシャルで有名な「ハイ、メルセデス!」のように、NVIDIAのインフォテインメントシステムを採用しています。自然対話式音声認識機能によって、目的地や電話通話、音楽選択、メッセージ入力や読み上げ、室温、照明など多くのインフォテインメントが音声で行えます。
また、運転支援技術がパッケージングされたNVIDIAの自動運転プラットフォームを利用して、市街地での完全自動運転の実現を目指しています。
・アウディ
アウディとNVIDIAの連携は強く、法規上の問題から市場投入はできていませんが、世界初のレベル3システムのアウディA8を完成させました。
2020年の一般道路での自動運転実現に向けて、AI搭載自動車の共同開発を進めています。
・フォルクスワーゲン(VW)
VWは、AI開発強化のためNVIDIAのプラットフォームを利用して、次世代自動車の開発を進めることを発表しています。
また、ボッシュやコンチネンタルとともにVWグループの自動運転におけるネットワークや通信の標準化のアライアンスを締結しています。
・トヨタ
トヨタはAI研究のために子会社を設立し、ドライバーの感情を認識するAIシステムを搭載した「愛iシリーズ」を発表しています。また、新型アバロンにはAmazonのAIアシスタント「アレクサ」が搭載され、各種の音声操作ができるように設定されています。
一方、NVIDIAの自動運転のプラットフォームをトヨタとスバルも採用することを発表しています。
現在自動運転については、レベル3の法整備が整ったばかりです。しかし、技術的にはAIの急速な進化のおかげで、限定付きなら完全自動運転に近いレベルまで開発されています。
また、次世代モビリティを意識したアシスタント機能やインフォテインメント機能も着々と進んでいます。
(Mr.ソラン)