N-BOX包囲網完成。軽スーパーハイトワゴンに渋滞対応ACCは必須アイテムになる【週刊クルマのミライ】

■スペーシアにも全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールが設定。N-BOXだけが渋滞対応ACCを非搭載

日本の自動車市場において欠かせない存在となっている軽自動車。

その販売ランキングにおいてトップ独走中なのがホンダ・N-BOXというのはご存知のことでしょう。直近、2020年7月のトップ3は次のようになっています。

1位:ホンダ N-BOX 1万6222台
2位:スズキ スペーシア 1万3338台
3位:ダイハツ タント 1万3108台

つまり、全高1700mm以上、後席スライドドアのスーパーハイトワゴンが売れているのが、いまの軽自動車マーケットというわけです。さらに日産ルークスも7958台でランキング6位と健闘しています。

ちなみに、4位はスライドドアのムーヴキャンバスを含めてダイハツ・ムーヴ、5位は元祖クロスオーバー軽自動車のスズキ・ハスラーだったりします。

スズキ・スペーシアカスタム
スズキのスーパーハイトワゴン「スペーシア」は、2020年8月の商品改良において全車速追従機能付のアダプティブクルーズコントロールを新採用した。センサーにはステレオカメラを使っている

というわけで、N-BOXを筆頭にスーパーハイトワゴンの販売競争が繰り広げられているのですが、2020年8月スズキ・スペーシアが「とある商品改良」を実施したことで、N-BOX包囲網が完成したといえる状況になりました。

その「とある機能」というのは、全車速追従機能付のアダプティブクルーズコントロール(ACC)です。高速道路での渋滞というストレスのたまるシチュエーションにおいて、前車との距離を一定に維持する機能のことを、渋滞対応ACCと呼ぶこともありますが、それがスペーシアにも搭載されたのです。

ダイハツ・タント
2019年7月に現行型へとフルモデルチェンジした「タント」。全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシスト機能をターボ車にオプション設定するが、写真の標準車では装着できないのはウィークポイント

じつは、この機能は軽スーパーハイトワゴンとしてはダイハツ・タントが初搭載していて、「プロパイロット」で知られる日産・ルークスにも当然ながら採用されています。しかし、なぜか軽自動車のリーダーたるホンダ・N-BOXには搭載されていません。

ホンダのADAS(先進運転支援システム)パッケージである「ホンダセンシング」では、車種によって渋滞対応ACCは搭載していますし、同じホンダの軽自動車でもN-WGNのACCは渋滞対応になっているので、技術的に不可能というわけではないのですが、N-BOXのACCは約30km/hでキャンセルされるタイプにとどまっています。

それでもN-BOXが売れ続けているので渋滞対応ACCはマスト機能ではないのかもしれませんが、いよいよスペーシアにも搭載されたといいことで、明確に軽スーパーハイトワゴンにおいてN-BOXとそれ以外を区別する象徴的機能となったといえます。

日産・ルークス
2020年3月にフルモデルチェンジ、ルークスと名前を改めた日産の軽スーパーハイトワゴン。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用したシステムにより全車速追従機能付ACCを実装。オートホールド機能付きEPBも備え、停止時にブレーキペダルから足を離すこともできる

その意味ではN-BOX包囲網が完成したともいえるのです。

いま、世の中ではADASへのニーズが高まっています。N-BOXがこのまま手をこまねいているのか、それともライバルを蹴散らすために渋滞対応ACCを搭載するのか。

ホンダにおいては渋滞対応ACCはEPB(電動パーキングブレーキ)とのセットがマストという方針があるので、容易に搭載することはできないかもしれませんが、このままN-BOXだけが渋滞非対応ACCという状況が続けば、せっかくのナンバーワンというブランドを失ってしまうかもしれません。

いずれにしても、渋滞対応ACCと車線中央維持機能は、数年内にスーパーハイトワゴンをはじめとした軽自動車においても必須アイテムとなることは既定路線といえそうです。

(自動車コラムニスト・山本晋也)