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■スマホのアプリによって、ルート検索や交通手段の選択に加えて予約、運賃などの一括決済
●自家用車は不要、渋滞の緩和やCO2削減、地域交通の充実などが図れる
MaaS(Mobility as a Service)は、自家用車以外の複数の交通手段を連携させ移動の効率化を図るモビリティサービスです。情報通信技術を活用して、自家用車以外のすべての交通機関を連携させ、効率的な移動を実現する手段です。
渋滞緩和やCO2削減に貢献して利便性も向上するMaaSについて、解説していきます。
●MaaSとは
MaaS(Mobility as a Service)は、マルチモーダル型のモビリティサービスの略称です。
自家用車以外のさまざまな種類の交通手段を要求に応じて1つの移動サービスとして、効率よく連携させた新たなモビリティ(移動手段)です。
例えばバスや電車、レンタカー、レンタルサイクル、飛行機など、自家用車以外のあらゆる交通手段がパッケージングされ、注目されているカーシェアリングやライドシェアリング、タクシーのオンライン配送サービスも構成要素です。
現在でも複数の交通手段を乗り継いで移動するルート検索はできますが、予約や運賃の決済は個別に行います。
MaaSでは、利用者はスマホのアプリを使って、ルート検索や交通手段の選択に加えて予約、運賃などの決済を行うことができます。
●MaaSのメリットは
MaaSによって人はクルマを持つ必要がなくなり、より時間を有効に使用することができるほか、多くのメリットがあります。
・都市部の渋滞緩和
・環境への貢献(CO2削減や排ガス低減)
・駐車場として使用していた駐車スペースの有効活用
・自動運転車を活用した地域の利便性の向上
MaaSが普及すればクルマを保有する必要がなくなるので、自動車メーカーはクルマの製造販売だけでなく、サービスを意識した戦略変更が必要です。
●MaaSのレベル分け
MaaSは、これから普及するサービスなのでサービスの度合いに応じて4段階に分けられています。
・レベル1:情報の統合
料金や所要時間、距離などに関する情報が収集できる、すでに普及しているレベルです。
出発駅や到着駅、時刻などを入力すると、鉄道やバス、飛行機などの乗り換え情報を含めた複数のルートと所要時間、料金が表示されます。
・レベル2:予約、決済の統合
交通案内からチケットの発券と決済ができるレベルです。
スマホのアプリで目的地までさまざまな移動手段を比較して、複数の移動手段を組み合わせて予約や決済ができます。
・レベル3:サービス提供の統合
公共交通をはじめレンタカーなど事業間の連携も含めたレベル2を高度化したサービスが可能なレベルです。
目的地に向かう際にどの交通手段を使っても一律料金が適用される場合や、月額料金で乗り放題になる場合も含まれます。
・レベル4:政策の統合
国家プロジェクトとして、都市計画や交通政策にMaaSの概念を組み込み、国や自治体、事業者が連携して、効率的な交通を進める理想的なレベルです。
●自動車メーカーの対応は
MaaSが普及すれば、自動車を保有する必要がない時代が来るので、自動車メーカーとして存続の危機になりかねません。まだ普及前の段階ですが、自動車メーカーはMaaSとの共生を考える必要があります。
トヨタは、ライドシェアリングを想定した自動運転のEVコンセプトカー「e-Palette Concept」を発表し、また米国の配車サービスUberに約5億ドルを出資することを決めるなど、新しいモビリティを意識した動きを始めました。
自家用車そのものの保有や存在を否定するような新しいモビリティやサービスが提案されている現在、自動車メーカーの戦略の方向転換が求められ、動き出し始めました。
これまでの電動化や環境対応技術、自動運転技術に加えて、新しいモビリティに対応できるクルマづくりやサービスの提供が求められています。
(Mr.ソラン)