■トヨタの中国販売は3か月連続で前年比超え、日産の中国販売は6月の過去最高、ホンダの中国生産も6月として過去最高
新型コロナウイルス(COVID-19)が経済に及ぼす影響は計り知れない状況ですが、世界経済は徐々にウイズコロナ、アフターコロナに向けて復活しなければなりません。自動車業界において、その復活におけるエンジンとなっているのは中国市場です。
2020年6月の生産・販売実績が各社から発表されていますが、その数字からも中国頼みの状況は明らかです。
たとえばトヨタの実績を見ると、国内での販売実績は前年比77.3%、グローバルでは84.0%と徐々に復活傾向にありますが、とくに海外販売においては中国が牽引しているといいます。なにしろ中国での販売台数は”3か月連続”で前年比を超えており、なかでも高級ブランドであるレクサスについてはグローバル販売6.4万台のうち、中国だけで2.2万台を販売したほど。これによってレクサスは6月単月の販売台数として過去最高を記録したといいます。
日産においても、中国市場が復活に重要な役割を果たしているのはトヨタ同様です。グローバル販売は前年比74.0%となっていますが、中国だけが104.5%と前年比超えをしています。この販売台数も、6月単月としては過去最高を記録したといいます。ちなみに、日産の販売実績でほかに前年比でプラスとなっているのは国内での軽自動車販売の103.8%くらい。こちらはスーパーハイトワゴンのニューモデル「ルークス」によるものといえますが、それよりも中国市場は成長しているというわけです。
最後に紹介するのはホンダ。同社は中国での現地生産に注力するというビジネスモデルをとっていますが、たしかに世界生産の数字をみると、全体としては前年比88.3%となっているにもかかわらず、中国だけは前年比124.1%の16万9547台と大きく伸びています。しかもこの数字は6月単月としては過去最高ということです。
こうして国産メーカー3社の実績を見ていると、中国市場は確実にコロナ禍を乗り切って、先んじてアフターコロナの時代に突入していることを感じさせます。コロナ以前から中国市場は巨大で、世界的にグローバルモデルの開発では、とくに押し出しの強いフロントマスクなどスタイリングにおいて中国市場の嗜好に合わせる傾向は強まっていましたが、今後はますます中国市場をメインに考えた”中華思想”のクルマづくりが加速していくのでしょうか。
(自動車コラムニスト・山本晋也)