■積載量の増加や省メンテナンス化に寄与する超偏平シングルタイヤ
横浜ゴムは2020年7月31日、トラック・バス用ウルトラワイドベースタイヤに、新たにスタッドレスタイヤ「903W」を追加すると発表しました。
ウルトラワイドベースタイヤは、トラックやバスに装着される複輪(2本1組)を単輪(1本)に置き換えることができる超偏平シングルタイヤです。
「903W」は今秋から発売開始され、発売サイズは455/55R22.5 166Lの1サイズ、価格はオープンプライス。
ウルトラワイドベースタイヤは、単輪への置き換えにより、タイヤ組み換えや日常点検などの省メンテナンス化や軽量化が可能になります。
「903W」の場合、単輪への置き換えにより1軸当たり約111kg軽量化(11R22.5の同社製トラック・バス用スタッドレスタイヤ「ZEN 903ZW」+スチールホイール×2本に対し、455/55R22.5の「903W」+アルミホイール×1本の場合)され、後輪2軸の大型トラックでは、約222kg(1軸当たりの軽量化できる重さ約111kg×2軸=約222kg)の積載量を増加させることが可能としています。これにより、輸送効率の高効率化も図ることができます。
●2019年にはオールシーズンタイヤも導入済み
スタッドレスタイヤ「903W」の特徴は、タイヤの回転方向と平行にスチールコードを配置したベルト層を有する独自開発のベルト構造「SpiraLoop(スパイラループ)」の採用があります。
これにより、従来ベルト構造でウルトラワイドベース化を図った際に弱点になるショルダー部の成長とベルト部の歪みを抑制。優れた耐偏摩耗性と耐久性を確保することが可能で、タイヤの長寿命化に貢献するそうです。
また、トレッドパターンは、氷雪上性能重視型のスタッドレスタイヤ「ZEN 903ZW」をベースに、ブロックエッジ量を増加させる「小ピッチワイドグルーブ」やブロック剛性を維持して接地面積を確保する「6列トラクションZブロック」を用意。
これらをウルトラワイドベースタイヤ用に最適に配列することで、優れたスタッドレス性能を確保するとしています。
ブリヂストンやミシュランなどと同様に、横浜ゴムも近年のトラック・バス用タイヤのシングル化需要に合わせウルトラワイドベースタイヤの販売を加速しているそうで、日本ではトラック用オールシーズンウルトラワイドベースタイヤの「902L」を2019年に本格導入。
中期経営計画「グランドデザイン2020(GD2020)」を掲げる同社では、タイヤ生産財事業を次の100年の収益の柱とすることを掲げ、トラック・バス用タイヤの拡販に取り組んでいて、独自技術である「SpiraLoop」が採用された超偏平シングルタイヤを北米や日本で積極的に展開しています。
トラック、バスなど向けの超偏平シングルタイヤがスタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤにも及んでいて、はたらくクルマのタイヤ選択に幅が広がっています。
(塚田勝弘)