■ヤリスベースのクロスオーバーだけどかなり違った!
トヨタ・ヤリスクロス(プロトタイプ)のレポートを一生声変わり中のモノがお届けトヨタから、ヤリスをベースにしたSUV・ヤリスクロスのプロトタイプがお披露目されました。市販モデルの発表は9月前後になる予定です。
ヤリスクロスの全長は4180mm、全幅は1765mmで全高は1560mmになります。
名前から明らかなように、このクルマは先に発売されたヤリスをベースにしたモデル。新型TNGAプラットフォームのGA-Bタイプを使用しています。
ホイールベースはヤリスと同等の2560mmです。ヤリス比で10mm長くなっていますが、これはサスペンションアーム類やジオメトリーの違いから生じたもので誤差程度に捉えて良いと思います。
ホイールベースは同一ですが、前後のオーバーハングが伸びています。特にリヤが伸びていますがラゲッジスペースに当てられたのでしょう。
内装を見てみましょう。インパネは兄弟車のヤリスと上半分を共用していますが、下半分は新規で作られたものです。
シートに関しては着座位置が上がったこと、頭上空間が増えたことによって乗員の快適性は増しています。
とりわけリヤシートにおいて余裕ができたことがニュースです。
ラゲッジについては先ほど申し上げたリヤオーバーハングの拡大によって見違えるような変化ができました。
ラゲッジの最大幅は側壁部分の上手な空間形成によって約1.4mにも達します。このためフルサイズのゴルフバッグを2個そのまま積載することができます。
リヤのシートバックも可倒式ですが、これは4:2:4の3分割方式になっています。中央部のみを倒せば、スキーなどの長尺物を積んだ状態で4人が快適に移動できます。
搭載されているパワーユニットは1.5Lの3気筒NAのほか、このエンジンをベースにしたハイブリッドとなります。
出力に関してはヤリスと同じとされていますので、ガソリンは120ps、ハイブリッドの方はエンジン91ps+モーター80ps・システム出力116psのものになります。
駆動方式はガソリンとハイブリッドにそれぞれFFと4WDが設定されています。ハイブリッド4WDはE-Fourと呼ばれる、後輪駆動をモーターによってオンデマンドで行うタイプのものです。
早速試乗してみます。
3気筒のガソリンは非常に軽やかなフィーリング。スポーツエンジン風味のサウンドを響かせながら、高回転まで一気に回っていきます。トルクも低速から非常にたっぷりと出ており、使いにくい箇所がありません。
一方のハイブリッドで印象的なのは、出足や中間加速がスムーズなのはもちろん、全開加速でもモーターのアシスト力が強いおかげで車内が静かなことです。
いずれのユニットも全開シーンの多いサーキットでの試乗でしたが、パワー不足を感じることはありませんでした。
また秀逸なのはその乗り心地とハンドリングの良さです。
新型プラットフォームによって形成されたボディは大変頑強で大きな入力が入ってもびくともしません。前席ドア開口部をぐるりと一周補強するような形とした口の字構造や、ハッチゲート周りの環状補強構造などが効いています。
従来はそれぞれが独立していたフロアのセンタートンネル部分とリヤセクションを一体化するような構造にしたことも大きな効果を上げています。
フロント・ストラット、リヤ・トーションビーム(4WDモデルはダブルウィッシュボーン)のサスペンションは入力初期から動きがスムーズです。これは摺動ロスを大きく低減した新開発のダンパーを採用したことによるもの。
さらにステアリングギアボックスは、一般的にはブッシュを介して固定しますが、このヤリスクロスではサスメンバーにリジッド結合しています。これによってステアリングの応答性と剛性感も大きく向上しているのでした。
ヤリスクロスオーバーは広大な荷室をはじめとした使い勝手の良い車内空間を保ちつつ、スポーティなドライビング性能を併せ持つ、大変若々しいモデルでした。
(写真・動画・文/ウナ丼)