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●クルマの買い方は多種多様に変化している。今一度、マイカーローンの正しい組み方を考えよう
一昔前は、現金一括払いかローンを組むかという概ね2つの選択肢しかなかったクルマの買い方ですが、残価設定ローンの登場を皮切りに、残額2回払いやサブスクリプションの導入など、クルマの買い方にはいろいろな方法が出てきました。
今回は、多種多様なクルマの買い方の中でも、まだまだスタンダードな買い方のマイカーローンについて、効果的なローンの組み方を紹介していきます。
・クルマの購入は、高額な買い物としてはちょっと特殊な事例
クルマという商品は、高額な買い物の中でも少し特殊なものです。高額な買い物の多くは一生に一度というものが多い中で、クルマは数年ごとに買い替えが発生します。
高額な買い物の代名詞である「家」や「マンション」は、基本的に一度買ったら手放すことは考えずに一生を終えますが、クルマの場合はそうはいきません。購入後には手放す(売却や下取)の時期を考えて、いわば家電のような耐久消費財のような側面を持っているため、買い方が重要なポイントとなってくるのです。
そのため、現金一括で購入するよりも、ローンを組み、月々の支払いとすることの方が、生活を送っていく中での金融リスクを減らすことが可能になるケースもあります。ローンの仕組みと効果を理解して上手に使っていくことが、リスクを減らす一歩となります。
・ローンの種類と違いとは
それでは、普通のローン(均等払い)と残価設定ローン(残価クレジット)は何が違うのでしょうか。
一般的なローンは、設定期間内でクルマの購入費用を払いきります。3年、5年、7年など、ユーザーの任意で支払いを分割する期間を決めていきます。ローンの期間が満了すると、クルマを購入する際にかかった費用は全て支払いが完了し、その時点でクルマを購入した状態と同じことになります。
対して残価設定ローンは、当初決めた支払期間を終えてもクルマの購入費用を全額払いきったことにはなりません。ある一定額の支払いが残った状態になり、この支払いが残った部分を残価といいます。
残価は、支払期間によって車両本体金額の何%を残すか自動車ディーラーで決めていることが多く、当初決定した支払期間が長ければ長いほど、残価の割合は低くなる傾向です。この割合のことを残価率といいます。
残った残価は、2つの方法で精算することが可能です。
一つは、クルマを買い替える場合や今後の生活でクルマを使わなくなるケースで、販売店に乗っていたクルマを買い取ってもらい、残価を精算する方法です。ただし、買取や下取の金額が残価より低く、所定の条件をクリアしていない場合には、クルマを引き取ってもらう際に不足分の支払いが必要となるケースもあります。
もう一つは、乗っていたクルマを残価クレジットの満了以降も乗り続ける場合です。このケースでは、残価を一括払いで精算するか再度ローンを組みなおして、残価分を払いきりのローンで時間をかけて精算することになります。この時は残価設定ローン満了時の下取金額や買取金額は、関係ありません。
たとえば、車両本体金額100万円のクルマを、3年間の支払いで、金利0%でローンを組み支払っていくとします。払いきりのローンの場合は、100万円÷36回で、月々の支払いは27,777円となります。
これが残価クレジットとなると、計算方法は次のようになります。3年間の支払いの場合の残価率は50%程度となっている場合が多いです。100万円の50%は50万円なので、当初3年間のローンの支払いは、50万円÷36回で、月々の支払いは13,888円となります。
双方を比べると、月々のローン支払い金額が大きく違うことがわかります。
ローンの支払いというのは、毎月必ず決まった時期にやってきて、簡単に止めることはできません。生活する中で、クルマの支払い負担を最小限に抑える方法を考えて組んでいくことにより、マイカーローンの利用価値は高くなっていきます。
・均等払いローンの効果的な使い方
均等払いローンは、現金一括購入と似た側面をもっています。それは、クルマの購入にかかる費用をすべて払いきるということです。
つまり、ローンの期間満了を迎えればその後のローン支払いはなくなり、クルマが自分の資産として残ることになります。ただし、その資産もクルマを走行させ、年数が経過していくごとに価値は落ちていき、やがて価値はゼロとなるわけです。
均等払いローンで支払う形が向いている人は、一台のクルマを長く使い、クルマの価値がゼロになるまで乗り続け消費できる人です。つまりクルマの買い替えを頻繁に発生させないことが、効果的に均等払いローンや現金一括払いを使用する方法になります。
買い切ったものは、価値がなくなるまで使い切るという使い方には、均等払いローンが適しています。
・残価設定ローンの効果的な使い方
残価クレジットは、数年でクルマを乗り換える予定がある方や、ある程度大きなお金を手元に残しておきたい方、しっかり貯金できる方におすすめの買い方です。
特にライフスタイルの変化が大きい子育て家族では、子供の成長とともに、マイカーの大きさを変化させていくことが多々あります。こういったケースでは、数年後のクルマの買い替えがライフサイクルの中に組み込まれているので、残価クレジットを利用して、乗り換えをしやすくしていくカーライフはおすすめです。
ただし、最終回支払い額(残価)の精算方法はあらかじめ見通しをつけておくことが大切です。多くのメーカーでは残価設定クレジットに特別金利を設けていますが、契約期間が終了した後でも、そのクルマに乗り続ける場合には残価の一括清算もしくはローンの組み直しが必要となります。
この場合のローンの組みなおしでは、組みなおしたローンの適用金利は通常金利になることが多くなります。その分だけ支払いが割高になることも念頭に置いておきましょう。また、残価設定ローン終了後の再ローンをわざわざ組むのであれば、購入当初から均等払いローンを組むほうが、利息支払いが少なくて済むケースが多いです。再ローン前提の残価設定ローンは、金融リスクが大きくなります。
最終回支払い額を、あえて手元でストックしておき突然の出費に備えたり、しっかりとローン期間中に最終回支払い額(残価)に相当する額を用意することができ、そこで精算することができる場合には、期間が短く金利も低く設定されている傾向がある、残価設定ローンを上手に使えるケースと言えるでしょう。
・まとめ
ローンは金利がかかる、いつまでも支払いが終わらないなど、悪い側面ばかりが注目されますが、毎月一定の所得がある給与所得世帯では、生活スタイルの中に溶け込む、利用しやすい仕組みになります。
分割払いのメリットは、手元にお金を残して置けることです。虎の子ともいわれるお金の使い方を、クルマの買い方で、考えてみてはいかがでしょうか
(文:佐々木 亘)