ローン支払いの仕組み、元利均等と元金均等とは?【クルマとお金:金融知識編】

●ローンの仕組み、元利均等払いと元金均等払いの違い、知っていますか。

自動車ローンを組む時に、返済方法について考えたことはあるでしょうか。ローンの支払い方法には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。言葉としては一文字しか違いませんが、内容が大きく違う返済方法です。

今回は、ローンの組み方の中でも重要な返済方法、元利均等と元金均等について説明していきます。

クルマとお金
クルマを購入する際に、利用することが多い「ローン」について、知識を深めていいきませんか。

・元利均等返済は、もっとも馴染みのある方法

一般的に、給与所得者や年金受給者のように毎月決まった時期に決まった額の収入がある方に多く使われている返済方法が、「元利均等返済」です。多くの自動車ローンや、カードローン、住宅ローンでもスタンダードに使われている方法で、特徴としては、毎月の元金と利息を合わせた総支払い額が、常に一定になるということです。

毎月同じ額を同じ日に引き落とされるというのは、家計収支が組みやすく、資金も準備をしやすいというメリットがあります。返済計画の立てやすさもメリットの一つです。

デメリットとしては、ローン開始当初は支払額に対しての利息の割合が非常に高くなり、借入元金の減りが遅くなっていくという面があります。また、後述する元金均等返済比べると、借入期間全体で考えた際の総返済額が大きくなるというデメリットがあることも理解しておきましょう。

イメージとしては、4万円の返済金額の中の割合が、ローン期間の初めのうちは利息分が3万円、元金が1万円の合計4万円となっていて、元金の返済が進んでいくごとに利息金額が段々と小さくなっていき、利息2万円と元金2万円、利息1万円と元金3万円のように、一定額の4万円の中で利息と元金返済の割合が変わっていきます。

手元から出ていく金額は4万円で固定されるので返済計画が組みやすく、また給与所得者においては毎月の支出が固定されて計算できるので、生活にマッチしやすいローンの組み方となります。ローンの審査も、元金均等返済に比べて通りやすい傾向にあります。

お金の計算
元利均等返済は、毎月一定の収入が確保されている、給与所得者にとって利用しやすい払い方です。

・あまりメジャーではないが元金均等はメリットの多い返済方法

個人ローンではあまり聞き馴染みがない返済方法が「元金均等返済」です。筆者が昔、金融機関に勤めていたころには、法人の融資案件で多く使われていた返済方法でした。

特徴としては、毎月の支払金額における元金の金額が一定に保たれるという仕組みになります。すなわち、毎月の返済金額は一定の元金と変動する利息金額の両方となり、ローンを組み始めた初めのころは借入元金が大きいために支払利息も大きく、月々の支払額も大きくなります。徐々に元金が減ってくると、支払利息も小さくなるため、借入期間の後半に向けて月々の返済金額は小さくなっていく支払い方法です。

メリットとしては、借入元金の減りが早いため、元利均等返済と同じ借入期間で比べると期間内の総返済額が少なくなります。言い換えると利息の支払いが少なくて済むということです。

・利点を知って返済方法を選ぶ

一般に、個人ローンと呼ばれるマイカーローンや教育ローン、カードローンなどの類は、ほとんどが元利均等返済をとります。自動車ディーラーでのローンでも、元利均等返済の提案をされるでしょう。

その理由はいくつかありますが、収入量が一定にある個人には元利均等返済の方が、安心して利用しやすい、返済計画を立てやすいというメリットがあるためです。

また、返済方法として総支払額が小さく済むのは元金均等返済です。ローンを組む時点でお金の蓄えがある程度あり、初めのうちの大きな返済金額に耐えられる場合には、元金均等返済を選ぶのも一つの良い選択肢でもあります。

商談
ローンの支払い方法には2種類あることを理解し、自分に合った方法を選べる金融機関やお店を選びましょう。

ただし、現在のところ個人向けローンで元金均等返済を選べるところは非常に少なく、一部の自動車ディーラーローンや、地方銀行、信用金庫のマイカーローンなどに限ります。そもそも元金均等返済方式をとっていないというところも増えてきました。

どちらの返済方法が自分の生活にあっているのかを考えながら、返済方法が選べるところで、マイカーローンを組むという方法もいいでしょう。

・まとめ

一口にローンといっても、大きく二つに分けられます。多くの人が返済金額をできるだけ小さくしたいと願っている中で、元金均等返済はあまり知られていない、総返済額を小さくする方法です。

二つの返済方法があるということを理解しておき、自分に合った返済方法をとれる金融機関やディーラー、信販会社でローンを組めると、カーライフの充実度も高まっていくでしょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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