豪雨時にこそ使用するべき「リアフォグランプ」の効果的な使い方と注意点

●晴天夜間にはNGだが、視界不良時は追突事故防止になるリアフォグランプの使い方

リアフォグランプは欧州車では1990年代に装着が義務化され、現在日本国内を走る輸入車では多くのクルマに装着されています。対して国産車では、寒冷地仕様オプションとセットになっていることが多く、存在や使い方を知らない方も多いのではないでしょうか。

教習所でもカーディーラーでもあまり詳しく教えてくれない、リアフォグランプの効果的な使い方や、使用上の注意点について考えていきます。

・リアフォグランプとは何か?

フォグランプというと、クルマのヘッドライトの下や、グリル中央部に並ぶライトの事を思い浮かべると思います。前部霧灯とも言われ、本来は、霧や豪雨や吹雪などの視界不良の状態で、他車に対して自分の位置を知らせるためのライトです。

リアフォグ
非常に強い光を出すリアフォグランプ、使い方を間違うと、大迷惑になることも(写真は30系プリウス)

リアフォグランプは、後方の車両に対して視界不良の際に自車位置を知らせるものになります。光の強さは35W以下と定められており、ストップランプとほぼ同等の強さです。

視界不良の天候ではないときに点灯させると後続車にとって非常に眩しく、迷惑な状況になるので、使用に関しては注意が必要になります

・無意識に付けている可能性も、リアフォグの点灯方法をおさらい

最近、夜間に幹線道路や高速道路を走行していると、晴れているのにリアフォグランプを点灯して走行しているクルマを多く見かけます。

真後ろで停車すると、真っ赤な強い光が常に目に入ってきて非常に不快なのですが、点灯しているクルマに「リアフォグついていますよ」と教える手段もないので、そのまま耐え忍ぶことが多いです。

リアフォグランプのスイッチは車種によって様々な場所にあり、単独でスイッチがあるものや、ライトスイッチに併設しているものなど、あらゆるパターンが考えられます。

輸入車で多いのは、ライトスイッチとは別にリアフォグランプのスイッチが用意されており、ライト点灯と連動してリアフォグランプのスイッチがONになってしまっているケースです。

この場合はリアフォグランプのスイッチを切る必要があります。スイッチの位置を確認し、常時点灯状態になっていないか確認しましょう。

国産車の場合は、ステアリングコラムの右側にあるウィンカーレバー(ヘッドライトスイッチ)に組み込まれていることが多いです。

レバー内側にある、フォグランプスイッチを、最奥まで回すと点灯する仕組みが多くとられています。半月のカタチの横に、縦の波線一本と、横の線3本が並んでおり、線が左側にあるのがフロントフォグで、右側にあるのがリアフォグのマークです。

フォグスイッチ
内側にある、回転式のスイッチで操作するタイプのフォグランプスイッチ。最上部まで回すと、リアフォグランプが点灯する仕組みになっています。

リアフォグの点灯位置までフォグランプスイッチを回すと、その場所では固定されずにフロントフォグの位置までバネで戻ってくることが多いですが、一度上に捻れば点灯、もう一度上に捻ると消灯する仕組みとなっています。

メーターインジケーターでも、フォグランプ点灯の状態は確認でき、線が左側にあるのがフロントフォグで、右側にあるのがリアフォグのマークは変わりません。一例としてトヨタ車では、フロントフォグは緑色で示され、リアフォグはオレンジ色のマークで表示されています。

リアフォグ表示
左上に橙色で表示されているのが、リアフォグランプ、右隣りがフロントフォグ、その隣が前照灯です。(一部トヨタ車の場合)

これらの表示を確認しながら、無意識にリアフォグランプを点灯させていないかを、しっかりと確認しておきましょう。

・豪雨、吹雪では身の安全を図るためにも点灯する

毎年のように豪雨災害が全国各地で発生しており、現在も九州地方で大雨の被害が深刻化しています。被害に遭われた方に対してお見舞い申し上げます。

このような雨の被害は、他人ごとではなく常に自分も身にも起きる可能性があり、ゲリラ豪雨や台風、冬季の吹雪によるホワイトアウトなど、視界不良の状態でクルマを運転しなければならない場合にはクルマのライト類をフル活用し、二次的な被害を防がなければなりません。

視界不良時に路肩にクルマを停車させ自分が動かない状況をつくり事故予防をしていても、後続車両や対向車両に追突されてしまい、二次・三次的な事故を誘発する可能性もあります。

雨や霧で視界が悪い際に停車する、もしくは徐行運転する場合などには、他車に対して「自分が今ここにいますよ」というアピールをしなければなりません。前照灯、前部霧灯、ハザードランプなどの点灯はもちろんですが、こういった時に利用するのがリアフォグランプです。

ストップランプと同じくらいの強い光を出せるリアフォグランプは遠くまで光が届き、周囲のクルマや人に対して自車位置を強くアピールすることができます。

リアフォグランプの本来の使い方を理解し、走行中に強い雨が降ってきた場合などには、しっかりと点灯する、必要なくなればすぐに消灯するという使い分けが、非常に重要になってくる装備になります。

・まとめ

日本国内ではまだまだ馴染みの薄いリアフォグランプは、使用方法をしっかり守らないと他車に対して迷惑のかかる装備でもあります。

また、バックランプを一つ削って装着されることも多いので、知らない人からは「バックランプ片方切れているよ」などと声をかけられることも少なくありません。機能の内容をしっかりと理解し、装着の有無を知ることから、リアフォグランプについての知識を深めていきましょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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