■日本の氷上・雪上で効く新スタッドレスタイヤ「MICHELIN X-ICE SNOW」
世界3大研究開発拠点のうちの1つを日本に構えるミシュランタイヤ(ミシュラン太田サイト)。
スタッドレスタイヤの研究開発にも注力し、日本初となるスタッドレスタイヤを1982年に発売。さらに、北海道のテストコースでもテストが重ねられています。
日本ミシュランタイヤは、新スタッドレスタイヤ「MICHELIN X-ICE SNOW(ミシュラン エックス アイス スノー)」シリーズを8月11日より順次発売するとアナウンスしました。サイズは14インチから22インチの計84サイズで、価格はオープン。
日本の冬道は、新雪、圧雪路、シャーベット路面、アイスバーン、ミラーバーン、ブラックバーンなどの凍結路、ドライ、ウエットなど路面状態が多岐にわたることで、世界の中でも厳しい雪道・冬道といわれています。
「MICHELIN X-ICE SNOW」は、こうした日本の冬季路面を時期や地域、時間帯などあらゆる角度から分析したそう。
こういった、想定されるすべての路面環境下で高いレベルの性能を発揮できるように開発したとしています。さらにはその性能が、新品時の装着初期だけでなく、履き替え時までより長く持続するように、コンパウンドや溝形状、サイプの深さや数なども全面改良を受け、安全性のみならず経済性も高めたといいます。
■アイスブレーキング性能が9%、雪上ブレーキング性能も4%向上
このように、アイス(氷上)、雪上、ドライ、ウェット路面など、あらゆる路面で安定したグリップ、ブレーキング、ハンドリング性能を発揮するという「MICHELIN X-ICE SNOW」は、とくに滑りやすいアイスブレーキング性能において「MICHELIN X-ICE3+」との比較で9%向上したそう。また、雪上ブレーキング性能も向上し「MICHELIN X-ICE3+」から4%向上。
経済性の向上では、性能維持力とロングライフ性能の向上により実現されています。アイス、雪上でのブレーキング性能の維持力を向上させながら、長期期間の使用に耐えられるようにロングライフ設計にすることで、安全性と経済性に貢献するとともに環境負荷低減にも配慮したとしています。
技術面では、新開発された「EverWinterGripコンパウンド(エバー・ウインター・グリップ・コンパウンド) 」が採用されています。このコンパウンドは、剛性の高いポリマーベースの材質が配合され、ベースコンパウンドとの摩耗差により、微小な凹凸を生成。
これにより、エッジ効果と水膜を破って接地するアイスグリップ性能を向上。一方の雪上では 雪踏み効果が発揮され、摩耗しても接地面の凹凸は再生され続けるため、高性能が維持できるそう。
タイヤの顔といえるトレッドも新しくなっています。新世代の「Vシェイプトレッドパターン」を新たに採用。サイプを従来品よりも28%長くすることで、エッジ効果が強化されています。氷上グリップ性能に貢献。
さらに、新トレッドパターンデザインにより増加したボイドレシオ(トレッドの接地面に対する溝の比率)がシャーベット路面やウェット路面において、効率よく雪や水を排出し、安定したグリップを発揮するそう。
トレッドでは、2つのフルデプスサイプテクノロジーの「VTS サイプ」の採用も特徴。「VTS サイプ」により、倒れこみを防止することで接地面を確保してアイスグリップを発揮しながら、厚みのあるサイプが雪上にしっかり食い込み雪踏み効果(雪柱せん断力)を発揮するとしています。
さらに「NewクロスZサイプ」も採用されています。これは、3Dサイプによる倒れこみの防止によって剛性を確保することで、あらゆる路面で安定したハンドリングを実現。接地面効果を最大化するとともにアイス路面の水膜を除去し、氷上グリップ性能の向上に貢献するそう。
また、ミシュランタイヤらしく、摩耗が進んでも高い性能が維持されるとしています。「EverWinterGripコンパウンド」を溝底部(プラットフォーム)まで採用することで、 スタッドレスの使用限界末期(50%摩耗)になってもトレッドブロックがしなやかさを保つことで、氷上性能が長期間継続するとしています。
「MICHELIN X-ICE SNOW」の開発では、3Dプリンターでタイヤ表面を模してメカニズムの解析が行われ、複数の材料候補からセラミック、ポリマー材に絞り込まれたそう。ポリマー材料ベースの設計として、タイヤ表面を3D顕微鏡で測定し、配合物サイズと形成される凹凸を分析し、特定。こうした開発により、アイス性能、スノー性能共に引き上げられています。
日本のユーザーの要求は世界の中でも厳しいそうで、こうした声に応えることで市場のニーズに応えるとしています。
(塚田勝弘)