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●現金一括、均等払い、残価設定型に続く、据え置き型ローンの使い方
クルマの購入代金支払い方法といえば「現金一括払い」か、頭金を支払っての月々の月賦となる「ローン」を組むのが一般的でした。
そこに、トヨタが「トヨタ3年分ください」というキャッチーなCMにより「残価設定型ローン」を提案。今や各ディーラーが残価設定型ローンを取り扱い、多くのユーザーが使用しています。
そして新たな支払方法の一つとして、トヨタが「残額据置払い」、日産が「乗ってからペイメント」と呼ばれる、据置払いの支払い方法が提供されています。今回は、据置型ローンの仕組みや、利用方法を解説していきます。
・日産の「乗ってからペイメント」は、当初支払猶予を行ったローンの形態
一般的なクルマのローンは、クルマの納車とともに支払いが始まります。クルマの使用とともに、支払いが始まるというローンの概念を転換したのが、「乗ってからペイメント」です。
乗ってからペイメントでは、クルマが納車されてから最大4か月間の支払いを0円とし、5か月目からローンの支払いが始まるプログラムになっています。
これまでニッサンオートクレジットが展開していた、Jプランやフリープランの変化形ともいえる支払いの方法です。今はお金をもう少し貯めておきたい、ただしクルマの買い替えは早急に行いたい、というユーザーの利便性を叶えた形になっています。
コロナ禍の現代で、先行きが不透明な状態から、クルマのローン支払いを始めるのには抵抗とリスクが伴うでしょう。こういったクルマの購入に対して二の足を踏むユーザーを助ける狙いがある、新しい形の据え置き型ローンが、乗ってからペイメントです。
・トヨタの「残額据置き払い」は2回払いでクルマに3年間乗る方法
他メーカーに先駆けて据置払いを行っていたのがトヨタです。こちらは、現金一括払いとローンの丁度真ん中をとったような仕組みになっています。
基本的な構造は、一般的なローンの仕組みに似ていますが、支払回数を大きく減らし、クルマを使用している間は、自動車ローンの支払いが発生しないようにしたのが大きな特徴となっています。
クルマの代金を支払うのは「購入時」と「3年後」の2回だけです。3年後のクルマの予定残存価値を計算し、購入金額全体から差し引きます。残りの金額を購入時に支払い、クルマを使っている3年間は支払いが発生しない仕組みです。
3年後に支払う金額は購入したディーラーが3年後に自分のクルマを買取してくれる価格と同じになり、3年間の総走行距離と内外装のダメージが規定範囲以内となっていれば、仮に購入車種の3年後の中古車市場価格が大暴落していても買取保証額として提示されるものです。
この方法は残価設定ローンと仕組みが似ています。ユーザーが3年後に選択肢をもつことになり、もちろんクルマを継続して乗り続けることも可能です。
その場合には、買取保証金額と同額を2回目の支払いとして払うことにより、クルマ自体の全ての清算が終わり、その後も乗り続けることができます。また、2回目の支払いを行わず、クルマを手放す(買い取ってもらう)ことにより、2回目の支払いを行わずに3年間のクルマの使用を終えるという方法を取ることもできます。
・据え置き期間中も利息は発生しているがメリットは十分
乗ってからペイメントも残額据置き払いも、据置期間中にもしっかり利息がかかっていることは理解しなければなりません。
実際に支払いが生じていない期間でも、ローン契約の期間中であることにかわりはありませんので、借り入れた金額に対して利息はかかります。
しかし、大きなお金が動くクルマの購入に際して、現在のような経済情勢や雇用情勢では先行きが見通せず、車両購入に踏み切れないというユーザーは多いでしょう。そんなときに、この据置払いローンの仕組みは有効に働くものと考えられます。
ローン払いの最も大きな問題点は、簡単に月々の支払額を変えることができない点です。一度決めたローン支払い額は、何が起きようと自動的に銀行口座から毎月引き落とされていきます。
この固定された大きな支出を毎月考えながらクルマを使うという形は、ユーザーからすると大きなストレスの要因ともなるでしょう。
クルマを使いながら据置期間にお金について考える時間をとり、自分に合ったカーライフを探すことができるのは、良い時間の使い方だと思います。
ほとんどの場合、クルマを使いながらお金についても考える、かなり忙しいカーライフとなってしまうので、クルマとの共生を考える暇も無くなってしまいがちです。
時代が変化し続け、今までの当たり前が当たり前でなくなってきた現代では、据置払いのメリットを有効に使いながらクルマを使った生活を送っていく必要が出てきているのかもしれません。
・まとめ
コロナ禍での先行き不透明な社会情勢から、経済活動の停滞も長引いてきています。特に大きな買い物を避ける傾向にあり、自動車メーカーや販売店も苦労をしている状況です。
新しい日常の提案が行われ、これまでの生活様式が見直される時代にもなりました。クルマの買い方や所有の仕方についても、変化していく時代なのかもしれません。
据置払いの方式は、今後のカーライフを考える中で、新しい様式として受け入れられていくのか、注目していきましょう。
(文:佐々木 亘)